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[米国]
「家電メーカーを目指すのか?」──アップル社名変更の真意とは

(2007年01月12日)

 今週、サンフランシスコで開催された「Macworld Conference & Expo」では、家電製品に注目が集まったが、企業顧客からは自分たちが軽んじられているといった苦情もいっさい出なかった。

 アップルは、携帯電話「iPhone」や、コンピュータからテレビに映画を送信するためのセットトップ・ボックス「Apple TV」を鳴り物入りで発表するとともに、社名から「コンピュータ」の文字を取り除くなど、コンピュータ・メーカーから家電製品企業へと大きく舵を切ったことを参加者に印象づけた。

今年のMacworldでは、鳴り物入りで発表された携帯電話「iPhone」に注目が集まった

 今年のMacworldでアップルが発表した主な製品は、いずれも消費者に関するものだった。ある記者が、アップルの社員に、企業向け製品について取材を申し込んだところ、この分野の担当者はだれも来ていないと断られたという。

 しかし、今年も企業Macユーザー向けの「MacIT Conference」がMacworldと同時に開催され、サーバOSのMac OS X Server、ネットワーク・セキュリティ、仮想化など、企業コンピューティングをテーマとするプログラムも粛々と進められた。

 コンピュータ・ネットワーク上でアプリケーション・トラフィックを管理する製品を提供しているコヨーテ・ポイントシステムズのCEOで、MacIT Conferenceでプレゼンターを務めたビル・キッシュ氏は、「家電製品にスポットライトが当たっても、危惧する必要はない」と自信ありげに語る。

 またMacITの会長であるショーン・レーガン氏は、家電製品はビジネス・ユーザーにとっても魅力的だと強調する。

 Macプラットフォーム・トレーニング会社、ITインストラクション・ドットコムのCEOでもあるレーガン氏によると、Apple iPhoneには、電話会議機能が搭載されているほか、強力なカレンダー機能や電子メール機能、音声メール・プログラム、ビデオiPodもサポートされており、いずれもビジネス用途に活用できるという。

 例えば、ITインストラクションの従業員が会社の作成したトレーニング用のビデオを見る場合、会社の会議室に行かなくても、iPhoneで見ることができる。またApple TVは、家庭のリビング・ルームだけではなく、企業の会議室にも設置することができる。

 レーガン氏は、「大きなプロジェクターが設置された会議室で、プレゼンテーションを行っている様子を想像して欲しい」と語る。Apple TVを使えば、デジタル・コンテンツをラップトップ・マシンからApple TVに無線転送し、テレビに映し出すことができる。「ビジネスの世界は、プレゼンテーションを中心に成り立っている」(同氏)

 今年春に登場する予定のMac OS X Leopardには、Wikiプログラムが搭載されることになっている。Wikiは、だれでも編集できるコンテンツが登録されているWebサイトで、企業にとっても重要なコラボレーション・ツールになる可能性を秘めている。

 しかし、企業にとっても魅力的な製品で、企業向けの販売部門があるとはいえ、アップルの主な関心が企業に向いていないことは明らかだ。

 ガートナーのアナリスト、マーク・マージビシウス氏は、「アップルは、自社の技術を、企業向けとして位置づけていない。私は、企業ユーザーのほうを向く可能性があるか問い続けているが、彼らの答えは、『今のところ、この市場はターゲットではない』というものだ」と語る。

 Macに焦点を絞ったWebサイトを運営しているザ・マック・オブザーバーの編集者ジョン・マーテラーロ氏によると、企業向け市場にも目を向けるようアップル経営陣を説得するのは、以前から『困難な戦い』だったという。

 マーテラーロ氏は、以前アップルで働いており、米国政府向けに製品を販売していたという。「売上げを伸ばすよう強く求められており、積極的な営業活動を行っていた」と同氏。

 しかし、消費者重視の方針が、政府機関でのビジネス・チャンスを狭めてしまうこともあった。ノート型コンピュータにWebカメラを搭載したときには、セキュリティを重視する連邦政府機関に販売することができなくなってしまった。クラッカーからコンピュータを守るためにさまざまな対策を講じたとしても、だれかが機密文書をWebカメラの前にかざすだけで、その内容を簡単に漏洩させることができてしまうからだ。

 しかし、アップルのコンピュータは、安全性や安定性が高く評価されており、これからも一部の企業ユーザーを引き付けるだけの先進性を備えている。

 ガートナーのアナリスト、マイク・マクガイア氏は、今年のMacworldでは家電製品が脚光を浴びたが、競争力を維持するため、アップルは引き続きコンピュータとサーバの改善に取り組むはずだと指摘する。

 iPhoneやiPod、Apple TVなど、消費者に重点を置いた製品も、コンピュータと組み合わせて使わなければ、データを同期させたり、Webからコンテンツをダウンロードしたりすることができないからだ。

 「コンピュータを取るか、家電製品を取るか、という話ではない。どの製品も、生態系の一部であり、この生態系を機能させるには、すべての製品のバランスを取らなければならない」とマクガイア氏は分析している。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)






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