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[米国]
クアルコム製チップの輸入禁止命令、CTIAが大統領に拒否権行使を要請

「禁止命令はモバイル業界と消費者に多大な損害を与える」

(2007年06月22日)

 米国セルラー通信工業会(CTIA)の会長兼CEO、スティーブ・ラージェント氏は6月20日、ジョージ・W・ブッシュ大統領に書簡を送り、米国国際貿易委員会(ITC)によるクアルコム製チップの輸入禁止命令に拒否権を行使するよう要請した。

CTIAの会長兼CEO、スティーブ・ラージェント氏

 ITCによる輸入禁止命令とは、クアルコム製の3G(第3世代)対応モバイル・チップを搭載した携帯電話およびPDAの新製品を対象に、米国内への輸入を禁止するというもの。ITCは、ブロードコムの特許をクアルコムが侵害していると認定し、6月7日に同命令を下した(関連記事)。

 大統領は命令決定後60日以内に拒否権を行使できる。ただし、歴史的に見ると、大統領がITCのこの種の決定を覆したことはほとんどない。

 CTIA会長のラージェント氏は大統領あての書簡で、今回の輸入禁止命令は無線ネットワークのイノベーションを凍結し、公安機関に悪影響を与えると訴えている。

 「禁止命令は、公安機関の基本的な通信能力を低下させるだけでなく、モバイル産業による911(米国における警察、救急車、消防署の呼び出し番号)緊急電話サービス改善の取り組みを妨げる。禁止命令は将来の電話機種のみを対象とし、その一方で既存電話の普及を許すからである。禁止命令が実行に移されると、911電話をかけた人間の正確な位置を特定する新技術は輸入できないことになる」(書簡)

 またラージェント氏は、輸入禁止命令はモバイル業界と消費者に多大な損害を与えると記している。「禁止命令が容認されたら、(企業による)多額の投資が宙に浮く。問題の半導体を使用するすべての携帯端末は再設計を強いられ、それには18カ月ないし2年の期間と数百万ドルのコストがかかる可能性がある。その過程で米国企業の国際競争力は低下し、コストは消費者に転嫁される」

 ITCは今回の命令に先立って、クアルコムとブロードコムの双方を召喚して聴聞会を開き、業界の意見を考慮した。しかし、知的所有権の侵害が判明した製品の米国内への輸入をITCが許可することは、まずない。これまでで唯一の例外は、入手不能になった場合に人命に直接被害が及ぶ可能性のある製品が関係するケースだった。

 大統領が輸入禁止命令を拒否しない場合、クアルコムは米国連邦巡回控訴裁判所に提訴し、命令の執行延期を要求できる。しかし、裁判所がこの種の命令の延期決定を出すことはまれだ。

 クアルコムは6月7日、輸入禁止命令に対して拒否権を行使するよう大統領に要求する意向を示した。大統領が拒否権を行使しないときは、決定を不服として裁判所に上訴する方針を表明している(関連記事)。

(ナンシー・ゴーリング/IDG News Service シアトル支局)






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