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【解説】
近未来コンピューティングの競演――「CES 2008」に見る各社の技術革新

超薄型ディスプレイ、ホーム・ネットワーキング、 UMPCなどに進展

(2008年03月06日)

世界最大規模の家電展示会「2008 International CES」が1月7日から10日まで、米国ネバダ州ラスベガスで開催された。今年のCESには全世界から2,700社の企業が出展。業界関係者を含め約14万人が来場する年始恒例のビッグ・イベントだ。特筆すべきは日本からの出展社数が昨年に比べて10%増加したことで、今日のデジタル家電分野において日本企業が主要なポジションを担っていることを裏づけるものとなった。本稿では、CESの基調講演、展示会場を通じて、注目された製品や技術などを紹介しよう。

大河原克行

 今年のCESは、開幕前からいくつか大きな話題が上がり、論議を呼んでいた。

 まず、1つは毎年恒例となっていた米国Microsoft会長のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏による基調講演が、今回限りで最後になりそうだという話題だ。

 このことが報じられたことで、2008年7月に経営の第一線から退くことが明らかになっているGates氏の“最後の講演”を聞こうと、開演4時間前から長蛇の列ができ、開演時には4,000人以上が聴講するという、過去に例がない異例の盛り上がりとなった。

 2つ目は、超薄型ディスプレイなどの新技術が、主要ベンダーから展示されることが見込まれていた点だ。事実、松下電器産業、シャープ、日立製作所、パイオニアといった日本の主要メーカーが、薄さ0.9cm〜3cm台の超薄型プラズマ・パネルおよび液晶パネルを展示。また、Samsung Electronics、LG Electronicsといった韓国勢が、液晶パネルや有機ELパネルなどの超薄型パネルを展示し、まさに“超薄型技術”の競演となった。

 さらには、CESの開幕直前、米国Warner Bros. Entertainmentが、次世代光ディスクにおける今後のソフト・タイトルの発売をBlu-ray Disc(BD)規格に一本化するというニュースが駆け巡った。これによって、ハリウッドの映画会社における次世代光ディスク規格別の販売構成比はBD陣営が77%を占めるようになり、規格競争の流れがBDに一気に傾くことになった。CES会期中に予定されていたHD DVDプロモーション・グループの会見は急遽中止となり、影響の大きさを物語るものとなった。

Gates氏、最後の講演で「次の10年」を示唆

 注目されたGates氏の基調講演では、同氏は冒頭でみずから、最後の講演になることを宣言し、会場は正に、「さよなら、Bill Gates」といったムードに覆われた。そしてGates氏の「Microsoft最後の日」をコミカルに描いたビデオが上映され、会場が爆笑の渦となったところで、同氏は次のように語った(写真1)。

写真1:ファイナル・ステージとなったMicrosoft会長のBill Gates氏は、コンピューティングの次の10年を示唆した

 「これからの10年は、つながっていること(Connected)が重要な要素になる。ユーザーどうしをつなぐ技術とともに、これまで以上にユーザー主導の提案が求められる。HD(High Definition)、リッチな操作環境を実現するデバイスとサービス、そして、より自然なユーザー・インタフェースがますます重視されるだろう」

 恒例のデモンストレーションも行われた。ラスベガスの景色を携帯電話のデジタルカメラで撮影すると、その画像から場所を認識して関連情報を表示したり、画像に映っている映画タイトルのチケットを購入したりといった、近未来のデジタル・ライフスタイルをみずから披露してみせた。

 こうして、最後の講演でも、コンピューティングの未来の伝道者を演じたGates氏だったが、来年はこの“スペシャル枠”でだれが講演することになるのか、今から興味深い。

 Gates氏のほか、開幕初日に行われた講演では、パナソニックAVCネットワークス社社長の坂本俊弘氏の講演も多くの来場者の関心を集めた(写真2)。

 今年、松下電器産業が提唱したのは、「Digital Hearth(デジタルいろり)」というコンセプトだ。人間は、大昔から火のあるところ、いろりや暖炉のあるところに集まり、そこで家族や友人が会話をしながら生活してきたという歴史を紹介しながら、坂本氏は、「今、その役割を大画面テレビが果たす」と語り、家電の王様と呼ばれたテレビの新たな役割について言及した。そこでは、大画面薄型テレビを居間の中心に置き、それにさまざまなAV機器をリンクさせて、家族が楽しい時間を過ごすというシーンが想定されている。

 この提案の中で松下は、この時点で世界最大となる解像度4,096×2,160ドットの150型プラズマ・ディスプレイを初公開した。また、同社製薄型テレビ「VIERA」による「YouTube」の視聴や、Googleの写真共有サービス「Picasa」が利用可能な様子をデモ。さらには、WirelessHD(注1)によるビデオカメラとの接続や、壁一面をディスプレイとし、あらゆる操作をここから行う「Life Wall」を実演してみせた。

注1:WirelessHDは、1月3日にバーション1.0が発表された、60GHz帯でのHDTV非圧縮映像伝送を可能とするAV機器/コンテンツ向けのワイヤレス通信規格。Intel、LG、松下、NEC、Samsung、SiBEAM、ソニー、東芝の8社によるWirelessHDコンソーシアムによって策定された

 このあとの1月10日、松下はグローバル・ブランドの統一を図るため、2008年10月1日より、社名をパナソニックに変更するという発表を行った。同社の米国におけるブランド・イメージは、なじみやすいが、先進性には欠けるというものだった。今回の坂本社長の基調講演は、社名変更を前に、従来のイメージを一掃する“のろし”になったと言えそうだ。

写真2:パナソニックAVCネットワークス社社長の坂本俊弘氏は、150インチの巨大プラズマ・テレビを披露した

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