SOA時代のリーダーとして存在感を増す
ソニック ソフトウェア
新・代表取締役の横川 健氏が語る、Sonic ESB新版とSOAへの取り組み
来るべきSOA時代をにらみ、さまざまなベンダーがビジネス・チャンスをつかむべく群雄割拠するなか、ソニック ソフトウェアは主力製品「Sonic ESB」の新版を投入するなど、SOAベンダーとしての存在感を遺憾なく発揮している。本稿では、6月にソニック ソフトウェアの代表取締役兼ゼネラルマネージャに就任した横川 健氏へのインタビューを基に、Sonic ESB新版やSOAへの取り組みなどを紹介する。
ESBによる全体最適こそSOAの本懐

- ソニック ソフトウェアの代表取締役兼ゼネラルマネージャに就任した横川 健 氏
SOA(サービス指向アーキテクチャ)を用いた企業システム開発が主流になる日も、そう遠くはないだろう。SOAをとらえどころのない抽象概念と見る向きもあったが、それも過去の話だ。特に“ESB(Enterprise Service Bus)”は、システムの俊敏性や柔軟性、経済性といった、企業の情報システムに求められるさまざまな課題をSOAで解決するための「最も現実的なテクノロジー」として認知されつつある。
こうしたなか、いち早くESBを企業システム構築に取り入れてきたのがソニック ソフトウェアだ。同社は、米国プログレス ソフトウェアの事業部門である米国ソニック ソフトウェアの日本法人で、「Sonic ESB」を主力製品とするソフトウェア・ベンダーである。
Sonic ESBは、高い開発生産性と信頼性を実現した、SOAのためのシステム統合基盤であるESBを業界で初めて実装した製品。その新バージョンとなるのが、5月29日に発表されたばかりの「Sonic ESB 7.5」だ。
そして時期を同じくして、同社の新しい代表取締役兼ゼネラルマネージャに横川 健氏が就任した。横川氏は、1999年にソニック(当時はオブジェクトデザイン・ジャパン)に入社後、主にデータベースの技術サポートの面から同社を支え、ESBやイベント駆動処理、セマンテック・データ統合といった新技術の国内への展開、問題解決などに尽力してきた。
Sonic ESBは、分散環境における管理性やコストに問題のあるアプリケーション・サーバを必要としない“システム統合型ESB”の代表的な製品だ。横川氏によれば、ソニックが考えるSOAに最も必要なIT基盤の要件は、サービスによるアプリケーション統合だという。「ESBにより部分最適のために構築されたシステムを統合し、全体最適を実現することこそSOAの本懐」(横川氏)というわけだ。
業界でいち早くWS-BPEL 2.0に準拠
ESBのリーディング・ベンダーを標榜してきたソニックにとって、今回のSonic ESB 7.5は非常に重要な製品だ。この新バージョンのいちばんの目玉は、OASISで承認されたWS-BPEL(Web Services Business Process Execution Language)2.0に準拠した「Sonic BPEL Server」のサポートにある。これにより、Sonic ESBが備える信頼性、柔軟性などのさまざまなメリットをすべて享受しつつ、BPELのサービス・オーケストレーションによって業務プロセスの自動化や統合が可能になるという。
WS-BPEL 2.0に完全準拠したことは、ソニックが標準仕様を重視していることの表れであり、同じく標準ベースの他社製品と必要に応じて組み合わせることを容易にする。これは、単一ベンダーによるロックインから解放されることを意味する。
「SOAは本来、1社占有ではなく“ベスト・オブ・ブリード”であるべき。選択の自由という顧客の権利を尊重しつつ、自社製品の品質を高めていくことが、当社にとって重要なミッション」と横川氏は力説する。
標準に対する同社の真摯な姿勢は、JBI(Java Business Integration)やSCA(Service Component Architecture)といったSOA関連仕様の策定に参画していることからも伝わってくる。「Javaの世界でSOAの標準化を目指すJBIの仕様策定で、当社は中心的な役割を果たした。JBIは、Sonic ESBの基礎技術を拡張したものになっている」(横川氏)
また、同社が提供するESBの統合開発環境「Sonic Workbench」に備わる特許出願中の分散デバッギングも特筆すべき技術だ。これを利用すれば、高度に分散したSonic ESB環境の上で動作する、BPELベースのオーケストレーションを広範囲にわたってデバッグできるため、開発からテスト、配備に至る作業効率が大幅に向上する。
一方、Sonic ESB 7.5と同日に発表された「DataXtend Semantic Integrator」は、システム統合の際に必ず問題となる“データの意味上の不統一”を解決に導くソフトウェアだ。異なる情報やフォーマットを必要とするアプリケーションの統合を、モデル・ベースのアプローチによって実現する。M&Aや、異なるシステム、技術の融合が盛んに行われるSOAの時代において、この製品が持つ価値から目を離すことはできない。
“SOA管理とガバナンス”にフォーカスした「Actional」も、Sonic ESBファミリーの一員として欠かせない存在だ。その特徴は、ESBを含むサービス・ネットワークの可視化にある。複雑なSOA環境下で分散したサービスを管理するうえで、Actionalの果たす役割は大きいはずだ。
そのほか、SOA基盤を補完する製品として忘れてならないのが、CEP(複合イベント処理)というコンセプトを具現化した「Apama 3.0」である。CEPは、ビジネス・プロセスで発生する膨大な量のイベントをリアルタイムに処理・分析するという新しいパラダイムだ。最近では他社もCEPへの対応を表明しているが、Apamaはこの分野の草分け的な製品であり、当分の間優位は動きそうもない。
まずはESBをベースに部分的な導入から
ESB製品で世界シェア1位(2006年、ガートナー調べ)を誇るソニックにとっては、SOAを普及させることも大きな命題である。「それには、費用対効果の高いSOAのメリットを具体的にどのように享受すべきか、ユーザー企業を啓蒙することが欠かせない」と横川氏は語る。
横川氏はまず、SOAの部分的な導入から始めることをアドバイスする。「SOAというと、全社的な導入が必須のように思われるが、実際はそうではない。ベンダーが高度な分散指向と標準技術による相互運用性にコミットしていれば、部分的にSOAを導入し、適用範囲を徐々に広げていくことは可能だ。もちろんその際にオープンなESBを基盤とすれば、必要な機能をアドオンすることで、より簡単に低コストの導入シナリオを具現化できる」(横川氏)
また、ソニックはSonic ESBのオープンな強みを生かし、NTTデータ イントラマートやインフォア・グローバル・ソリューションズなどのビジネス・パートナーの製品にESBを組み込むという独自のSOAソリューション戦略を推進中だという。
品質の高い製品の提供、SOA市場の拡大に向けた尽力、仕様の標準化に関する貢献――SOAへの取り組みを全方位的に続けるソニックは、これからも要注目のベンダーである。
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