高速処理に特化したサーバOS、Windows HPC Server 2008が正式リリース
ウォール街で発表イベントを開き「金融機関にとっての魅力的な機能」を強調米国Microsoftは9月22日、ニューヨーク・マンハッタンのウォール街で開催したテクノロジー・コンファレンスにおいて、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)に特化したサーバOS、Windows HPC Server 2008の製品版を発表した。同OSは、米国の経済不安の折、政府の緊急支援を求めている金融機関にとって魅力的な機能を備えているという。
Windows HPC Server 2008は、現行のWindows Compute Cluster Server 2003(Windows CCS 2003)の後継OSである。その導入/移行コストは2〜2,000以上のサーバ・ノードまで拡張でき、各ノード(1〜4のプロセッサ・ソケット)あたり475ドルである。今の金融機関にしてみれば、サブプライム・ローン(低所得者向け住宅ローン)での不良債権に比べれば微々たるものと言えよう。
新OSは、企業のシステム管理者がシステムの遅延や根本的な原因など、パフォーマンス上の問題を以前より容易に特定できる新しい管理/診断機能を備えている。また、デスクトップ・アプリケーションとも統合されており、ユーザーは、例えばMicrosoft Excelで作業しているときに印刷ジョブを立ち上げるのと同じように、1回のマウス・クリックで処理ジョブをHPCクラスタに送ることができる。
また、ユーザーはアプリケーション・コードを書き直さなくても、複数のサーバ・コアを並列動作する環境で、投資ポートフォリオのリスク判断に使われるアルゴリズムなど、複雑なアルゴリズムを高速に実行できるという。
MicrosoftがWindows HPC Server 2008のRTM(Released To Manufacturing:製造工程向けリリース)の提供時に述べたとおり、現在、HPC技術を採用する金融機関は増えているようだ。同社のプレス・リリースには、米国の大手投資銀行Morgan Stanleyで機関投資家向け株式投資部門の戦略/テクノロジー担当グローバル・ヘッドを務めるジェイ・ドウェック(Jay Dweck)氏の以下のコメントが掲載されていた。「われわれは、これまでどおり競争力を維持するため、MicrosoftのWindows HPC Server 2008を詳しく評価しているところだ」(ドウェック氏)。なお、Morgan Stanleyは9月21日、米国連邦準備理事会(FRB)からより規制の厳しい銀行持ち株会社になる許可を受けている。
そして、金融機関にとってWindows HPC Server 2008における最も重要な特徴は、MPI(Message Passing Interface)通信プロトコルをサポートするために既存のアプリケーション・コードを書き直さなくてもそのまま実行できることだろう。
「異なるサーバで実行している演算プロセスの各部をお互いに通信させなければならない並列アプリケーションでは、MPIのサポートが不可欠だ。だが、金融サービスのワークロードでは、演算プロセスをお互い独立して実行できる“超並列ワークロード”を使うことが多く、そうしたワークロードにMPIは不要だ」と、MicrosoftのHPC担当ゼネラル・マネジャー、キリル・ファエノフ(Kyril Faenov)氏は説明する。
ユーザーがアプリケーションを書き直さなくても並列実行できるようにすれば、HPC技術がさらに普及していく、というのがファエノフ氏の見解だ。「Microsoftにとって、この機能は並列処理をいっそう簡単にしていくための長い道のりにおける最初の第一歩だ」同氏は語った。
Microsoftは、並列処理の改善をHPCの主要目標の1つに設定した。例えば、同社は最終的に「Visual Studio 2008」に統合予定の関数型プログラミング言語「F#」を並列開発に使えるようにする作業に取り組んでいるところだ。
22日よりMicrosoftのHPCサイトからWindows HPC Server 2008の評価版のダウンロードが可能になっている。また、HPCシステム・ベンダーの米国Crayは先週、同OSが動作するデスクトップ型のスーパーコンピュータ(価格は2万5,000ドルから)を提供するため、Microsoftおよび米国Intelと提携したことを発表している(関連記事)。
(Patrick Thibodeau/Computerworld米国版)
















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