Hyper-V Server 2008導入ガイド + Q&A[Part1]
“無償”の仮想化専用Windows Serverを使い倒す!「Hyper-V Server 2008」は、サーバ仮想化のために作られた、Windows Server 2008ベースの無償のオペレーティングシステム(OS)である。本企画では、Hyper-V Server 2008の導入手順から管理方法までを解説する。
マイクロソフトでは初!
サーバOSの無償提供
マイクロソフトは2008年10月1日より、「Hyper-V Server 2008」(以下、Hyper-V Server)の無償ダウンロード提供を開始している。念のため説明しておくと、Hyper-V Serverは、Windows Server 2008にHyper-Vの役割を追加するアドオン製品ではない。サーバ仮想化のために作られた、Windows Server 2008ベースの無償のオペレーティングシステム(OS)である。
仮想化ホスト専用のOSではあるが、マイクロソフトのOSとしては、おそらく初めて無償提供されたものになるだろう。Hyper-Vの仮想化テクノロジーを“タダ”で利用できることは、導入コストを抑えたい企業にとって大きなメリットがある。
マイクロソフトはこれまで、Hyper-Vとは別に、デスクトップ版の「Virtual PC 2007 Service Pack(SP)1」と、サーバ仮想化向けの「Virtual Server 2005 R2 SP1」を無償提供してきたが、これらはx86ベースのコンピュータをソフトウェア的にエミュレートするホスト型の仮想化テクノロジーである。
一方、Hyper-Vはハイパーバイザ型を採用しており、Virtual PCやVirtual Serverとはまったく異なるアーキテクチャを持つ。両者の違いについては、Part2のQ&Aで詳しく解説する。
まず、誤解しないでいただきたいのは、Hyper-V ServerはWindows Server 2008にHyper-Vを追加するためのアドオン製品ではないという点だ。Hyper-Vは、Windows Server 2008の標準機能である(画面1)。
Hyper-V Server 2008のベースは
Windows Server 2008の「Server Core」
では、Hyper-V Serverとは何か。Hyper-V Serverはもともと、サーバハードウェアへの仮想化テクノロジーの組み込み提供を想定して、ボリュームライセンスおよびOEMハードウェアへのプレインストールライセンスで有償提供される予定で、Windows Server 2008とは別に準備されていたものだ。
Hyper-V Serverが無償化されたのには、仮想化市場で競合関係にあるヴイエムウェアの動向が大きく影響したと容易に想像できる。ヴイエムウェアは、同じくハイパーバイザ型を採用した組み込み向けの仮想化製品「VMware ESXi Server」を、2008年7月末に無償化している。
Hyper-V Serverは、Windows Server 2008 Standard Editionの「Server Core」をベースに開発されたHyper-V専用のOSである。Server Coreとは、Windows Server2008に追加された新しいインストールオプションで、Windows Server 2008のコア部分を抜き出したサブセットだ。フルインストールがさまざまなサービスや機能を提供するアプリケーションサーバであるのに対して、Server CoreはファイルサービスやWebサービス、ドメインコントローラなどの一部の役割のみを担う専用サーバである。
Hyper-Vは、64ビット版のServer Coreがサポートする役割の1つになっている。要するに、Hyper-V Serverの正体は、Server Coreからさらに役割や機能を削り、Hyper-Vの役割を提供することに特化した64ビットOSなのである(画面2)。
導入前の注意点「Hyper-V Serverの導入
= OSの新規インストール」と心得よ!
Hyper-V Serverの無償化により、だれでも無料でHyper-Vテクノロジーを利用できるようになったことは朗報だ。しかし、同じく無償のVirtual PCやVirtual Serverのように手軽に利用できるものと考えてはいけない。Virtual PCやVirtual Serverは、Windows上で動作するソフトウェアであるが、Hyper-V ServerはOSそのものである。Hyper-V Serverの導入は、OSを新規にインストールすることと同じなのだ。
Hyper-V Serverのシステム要件は、ディスク領域を除けば、Hyper-Vと同じである(表1)。
まず、「インテルVT」または「AMD-V」を備え、「ハードウェアデータ実行防止機能(DEP)」を持つ64ビットプロセッサが必須になる。具体的には、インテルVTに対応したPentium 4、Xeon、Core 2 Duoプロセッサ、またはAMD-Vに対応したOpteron、Athlon 64、Athlon X2プロセッサのいずれかを搭載したコンピュータでなければ、Hyper-V Serverは動作しない。
Windows Server 2008のServer Coreインストールに必要なディスク空き領域は2GB程度であるが、Hyper-V Serverの場合はもう少し多く、約3.25GBの空き領域が必要になる。ただし、これにはページファイルの領域は含まれていない。実際にはページファイル用に、さらに物理メモリと同容量から2倍程度の空き領域が必要になる。
なお、Hyper-V Serverのシステム要件では2GBとなっているが、これは英語版のシステム要件である。日本語版を利用するには、日本語を含む10言語に対応したマルチユーザーインタフェース(MUI)版を選択することになるので、より多くのディスク領域が必要になる。メモリ要件は1GB以上、最大32GBまでで、最大4プロセッサまでをサポートする。これらの上限値は、Windows Server 2008 Standard Editionと同じである。
Hyper-V Serverを試してみたいという人の多くは、専用のハードウェアではなく、Windows VistaやWindows XPとのデュアルブート環境で利用することになるだろう。その場合は、Hyper-V ServerのOS用に別の空きディスクまたは空きパーティションを用意していただきたい。空きパーティションを利用する場合は、最低でも「3.25GB+ページファイル領域」を確保しておこう。仮想マシン用には、既存のデータ領域を利用することができる。
また、Hyper-V Serverが動作可能なコンピュータを持っていたとしても、これとは別にもう1台のコンピュータを持っていなければ仮想環境を管理することができない点にも注意しよう。Hyper-V ServerはGUIを持たないServer Coreベースであるため、Hyper-Vの標準管理ツールである「Hyper-Vマネージャ」は利用できない(Hyper-V ServerはHyper-Vマネージャを含まない)。
Hyper-V Serverの管理は、フルインストール環境のWindows Server 2008またはWindows Vista SP1上で動作するHyper-Vマネージャをリモートから接続して行うことになる。あるいは、Hyper-Vの管理に対応した「System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)2008」を使用する。これらの環境が用意できない場合は、残念ながらHyper-V Serverのインストールはできても、仮想マシンを作成することはできないだろう。
Hyper-VはWMI(Windows Management Instrumentation)の管理インタフェースを持つため、難易度を別にすれば、ローカルのコマンドライン環境からある程度の管理は可能だ。しかし、ローカルからは仮想マシンのコンソールにアクセスする手段がないため、仮想マシンにゲストOSをインストールするのは不可能だろう。





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