IT ProのためのWindows Azure Platform運用管理ガイド――[1]機能概要
第1章:Windows Azure Platformの位置づけ「Windows Azure Platform」の位置づけを正確に理解するには、SaaSやPaaSといったサービスの提供形態(サービス・モデル)だけでなく、システムの運用形態(デプロイメント・モデル)も合わせて理解する必要がある。ここではそれぞれについて簡単に紹介し、Windows Azure Platformの位置づけについて解説する。
【Windows Azure Platform運用管理ガイドについて】
本ガイドでは、対象読者をインフラの設計、導入および運用管理を担当するIT Pro(IT担当者)に絞り、マイクロソフトが提供するパブリッククラウドのプラットフォームである「Windows Azure Platform」について、その位置づけとWindows Serverとの違い、そしてIT Proに求められる作業項目について解説しています。本ガイドにより、IT ProがWindows Azure Platformを使用したインフラストラクチャーの設計方針を理解するとともに、具体的な管理手法を身に着けることを目的としています。
【1.1】クラウドのデプロイメント・モデル
クラウドの運用形態(デプロイメント・モデル)は、大きく分けて以下の3つに分類される。
・パブリッククラウド ・プライベートクラウド ・ハイブリッドクラウド
[1.1.1]パブリッククラウド
パブリッククラウドとは、クラウドベンダーが保有するデータセンターに大規模に展開されたサーバーやネットワーク機器群およびそこにホストされた各種サービスであり、オンプレミス(企業内)にはサービスを提供するための資産を持たない。ゆえに、クラウドベンダーの提供するサービスを購入し利用することでシステムの実装を実現する。
パブリッククラウドのサービス提供形態(サービス・モデル)はクラウドベンダーによって異なり、クラウドの議論に頻繁に登場するSaaSやPaaS、およびIaaSなどがこれに該当する。ただし、サービス・モデルは必ずしもパブリッククラウドに包含されるものではなく、後述するプライベートクラウドであっても、社内利用者への提供形態をSaaSやPaaS、IaaSとして分類することもある。
いずれのサービス・モデルであっても「ハードウェアの購入、セットアップおよびメンテナンスにかかわるコストは提供側のベンダーが負う」という共通の概念が存在するため、オンプレミスと比較した場合にハードウェアの購入費用やメンテナンス費用を確実に削減できるというコストメリットがあげられるほか、通常数週間程度を要する社内稟議の承認を待たずに、クラウドベンダーへの利用申請さえすればプラットフォームを利用できるため、スピードが要求されるIT投資への判断を速やかに実行できるといったビジネス上のメリットもあげられる。もちろん、必要のなくなったサービスを廃棄したり、不要になったサーバーを縮小したりするといった操作も容易に行えるように設計されているので、これまで課題として取り上げられることの多かった需要と供給のかい離を解消する手段としても注目されている。
マイクロソフト以外にもパブリッククラウドを提供するベンダーは多く、それぞれに課金方式や機能的な特徴を持っている。マイクロソフトが提供しているパブリッククラウドのプラットフォームは以下の通りだ。
・BPOS(Business Productivity Online Suite) ・Office 365(BPOSの後継製品、2011年4月現在 ベータ版提供中) ・Microsoft Dynamics CRM Online ・Windows Intune ・Windows Azure Platform
BPOS、Office 365、Microsoft Dynamics Online、Windows IntuneはいずれもSaaSに属するサービス・モデルであり、すでにリリースされているものは契約すればすぐにその機能を使い始めることができる。Windows Azure PlatformはPaaSとして提供されているアプリケーションプラットフォームの総称であり、大きく分けて「Windows Azure」「SQL Azure」「Windows Azure AppFabric」「Windows Azure Marketplace」の4つのプロダクトに分類される。これらについての詳細は後述する。





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