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ストレージ

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【Storage Strategy 2011 Report】

ビッグデータ時代の企業ストレージ戦略とは

ストレージ利用環境の変化にどう向きあうべきか
(2011年12月05日)
IDC Japanの森山正秋氏は、「画像や電子メールなどの非構造化データは年率53.5%で増え続ける」と説明する

データの増大と多様化により変化するストレージの選択基準

 閉幕セッションでは、最初にIDC Japanの森山氏が、国内のストレージ投資の最新動向について講演した。同氏は、まずストレージ投資の重点項目(2011年度)に関する調査結果を紹介。投資の重点項目とは何かという質問に対して、最も多くの企業が「データ量増大への対応」をあげており、企業が限られた予算の中でデータ量の増大に対応してきたことが浮き彫りになった。

 実際、外付け型ディスク・ストレージへの国内投資額を見ると、ITバブルが崩壊した2001年から減少傾向が続いており、リーマン・ショック以降には、さらなる落ち込みを見せている。

 森山氏は、そうした中でも企業の消費データ量は増加し続けており、それを支える要因の1つとして、ハードディスク装置の単価の低下をあげる。また、ITバブルが崩壊以降、ストレージ技術に関して、2つの大きなパラダイム・シフトがあったと指摘する。

 その1つは、ITバブル崩壊以降に進展した、サーバ直付けのストレージ装置であるDAS(Direct Attached Storage)からネットワーク・ストレージSAN/NASへの移行。そして、2つ目は、リーマン・ショック以降に本格化してきた仮想化などの新技術の普及である。

 国内企業が使用するデータは、今後もさらに増大し続け、多様化が進むという。国内ディスク・ストレージ・システム市場の2010~2015年の年間平均成長率(CAGR)予測では、データベースやERPなどに使用される構造化データの伸びが年率21.7%にとどまるのに対し、画像や電子メールなどの非構造化データは年率53.5%、バックアップやアーカイブなどの複製データは年率40.6%、サービス・プロバイダーが提供するコンテンツ・デポは年率84.7%で伸びると見られている。

 森山氏は、こうした市場の変化に伴い、ストレージ製品の選択基準も変化すると見ている。IDC Japanが発行する国内企業のストレージ利用実態調査2011年版では、「次回更新時に何を重視するか」との質問に対して、「サーバ仮想化環境の運用性」「容量削減技術(重複排除など)」「シン・プロビジョニング」「外部ストレージの仮想化機能」「階層型ストレージ」が急浮上している。

閉幕セッションの後半では、パネル・ディスカッションが行われた

ストレージ利用の現場から見たデータ・マネジメント環境の変化

 セッション後半では、ストレージ利用という観点から、ストレージ環境の変化や課題、注目されるストレージ技術などについてパネル・ディスカッションが行われた。

 まず、ストレージ利用環境の変化についての議論では、帝京大学の澤氏が、医療現場でデータ量が増大する現状について紹介した。帝京大学医学部附属病院では2011年4月に、電子カルテ・システムを核に各種医療関連システムとの連携を実現する新たな統合システムの稼働を開始している。

 新システムでは、当初から5年後を見通してストレージ容量を確保していたが、データ量の増大に伴って、5年を待たずにストレージ・システムの増設を必要とする可能性が出ているという。その要因の1つが、医療機器の進化に伴う医療画像データの高画質化、カラー化、高密度化によるデータ量の増大だ。

帝京大学の澤智博氏は、「医療画像データの高画質化やカラー化などにより、データ量が予想を上回るペースで増加している」と説明する

 もう1つ要因は、データ管理ニーズの変化である。例えば、カルテの保存義務期間は法令で5年と定められているが、医療現場では、将来的なデータの活用や社会的責任を考慮して、可能な限り長期にわたってデータを保存する動きが出ているという。この点について、澤氏は、「C型肝炎のように長い期間にわたって未知だった病気も存在するわけで、そうした病気に対応するためにはデータの長期保存が不可欠になる」と説明する。

 「価格.com」や「食べログ」「フォートラベル」など12のサービス・サイトを運営するカカクコムは、月間利用者数で7,400万人、月間総ページ・ビューで16億のアクセス規模を誇っている。カカクコムの杉山氏によると、同社が扱うデータ量は月間4%の割合で増加し続けているという。最近になって、スマートフォンからのアクセスがフィーチャーフォンからのアクセスを超え、スマートフォンから画像のアップロードも可能になったことも、データ量の増加につながっていると見られている。

 同社では現在、秒間2万トランザクションの処理能力の実現を目指し、データベース・サーバに半導体ディスク装置(SSD)を採用するなど、ストレージ・システムの増強に取り組んでいる。SSDの採用によって、データベース・サーバの台数を大幅に削減できるという。

 一方、IDC Japanの森山氏は、ストレージ環境の変化について、データの量だけでなく、質の変化が進みつつあり、これまでのように、人が作るデータだけでなく、マシンが作るデータも増加すると指摘する。例えば、スマートグリッドの導入が本格化すれば、各家庭にスマート・メーターの設置が進み、これによって膨大な生成される。そうしたデータを効率的に管理できる環境が必要になるとしている。

カカクコムの杉山真也氏は、「重複排除技術にも関心がある」と説明する

ビッグデータ時代に求められる
ストレージ・テクノロジーとは

 では、将来に向けてどのようなストレージ・テクノロジーに期待しているのだろうか。

 カカクコムの杉山氏は、「最も重視しているのは、99.999%の可用性と1.5秒未満のアクセス・タイムを実現するためのテクノロジーである」と強調する。また、ストレージ容量の削減を実現してくれる重複排除技術にも関心があるという。

 そして、杉山氏がもう1つ注目しているのが、クラウド・サービスの活用である。サービスを迅速に立ち上げることができる同時に、迅速に撤退できるのが魅力的であるという。ただし、現時点では、セキュリティや契約条件などの問題があり、導入には踏み切れないとしている。

 帝京大学の澤氏は、使用頻度の高いデータを高速なストレージへ、使用頻度の低いデータを安価なストレージへ自動的にリロケーションしてくれる機能に注目している。「放射線画像データの場合、1年以上来院していない患者のデータが8割に上っており、これを安価なストレージにリロケーションできれば、コストを大幅に削減することができる」(澤氏)

 IDC Japanの森山氏は、仮想化技術によって、物理ディスクに実際よりも多くの容量を割り当てることが可能なシン・プロビジョニングの機能に注目する。これより、スモールスタートで事業を開始して、必要に応じて事業を拡張することができるからだ。アプリケーションによっては、こうした新しい投資手法を検討することも重要になるという。

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