EMC、「VFCache」でサーバ向けフラッシュ・ストレージ市場に進出
サーバ/ストレージ間のI/O速度を大幅に改善するキャッシュ・メモリ製品米国EMCは2月5日、PCIe(PCI Express)規格のNANDフラッシュ・メモリ・カード「VFCache」の概要を明らかにした。サーバ筐体内でストレージ・キャッシュとして動作し、外部ストレージとのI/Oパフォーマンスを最大4,000倍向上させるという。
EMCは昨年(2011年)5月のユーザー・カンファレンスで、“Project Lightening”という名称で同製品の開発を明らかにしていた。同社はすでにストレージ分野で数多くのSSD搭載モデルを販売しているが、サーバ向けのフラッシュ・メモリは初めてとなる。
VFCacheカードは、一般に普及しているMLC(マルチレベル・セル)フラッシュ・メモリではなく、SLC(シングルレベル・セル)NANDフラッシュ・メモリを使用している。SLCはパフォーマンス(速度)や耐久性(書き換え可能回数など)に優れているが、1セルあたりの記憶容量はMLCよりも劣る。
すでにEMCは、同社のストレージ・アレイ向けにSAS(Serial Attached SCSI)インタフェース搭載の2.5インチSSD(Solid State Drive)を提供している。現在はSLCベースのSSDを採用しているが、同社のフラッシュ事業部門バイス・プレジデント、マーク・ソレンソン(Mark Sorenson)氏は、「EMCは今年、ストレージに搭載するSSDをMLCベースのものに移行していく。SLCと比べて安価であり、特別なファームウェアと組み合わせれば、MLCでもエンタープライズ・クラスの耐久性を達成できる」と述べる。同社ではこれまで24PB(ペタバイト)のストレージ向けNANDフラッシュを出荷したという。
新製品のVFCacheカードは、当初は容量300GBのものが提供される。「わたし自身は300GBが“スイートスポット”(最も需要のある容量)だと考えているが、今夏には700GBのVFCacheカードも出荷予定だ」(ソレンソン氏)。
ソレンソン氏は、VFCacheカードを「プライマリ・ストレージとして考えるべきではない」と強調する。VFCacheはサーバ/ストレージ間のキャッシュであり、データの「Read(読み出し)」処理が集中するデータベースやアプリケーション・サーバに適している。「(Write=書き込みの多い)プライマリ・ストレージには、引き続きネットワーク・ストレージを採用すべきだ」(ソレンソン氏)。
VFCacheは、カードをサーバのPCIeスロットに装着し、ホスト・サーバにフィルタ・ドライバをインストールすれば動作する。ホスト・サーバでI/O処理が発生すると、VFCacheドライバがそれをインターセプトして(I/Oに割り込んで)、該当するデータがキャッシュされているかどうかをチェックする。フラッシュ・メモリ上にデータがあれば、サーバにデータを提供する。該当するデータがキャッシュされていなければ、ドライバが外部のEMCストレージにRead/Writeを要求する。
ソレンソン氏によれば、他社製ストレージの動作確認はしていないが、「動作しない理由はない」という。しかしながら、VFCacheはEMC製ストレージとの組み合わせに最適化されていると付け加えた。「この製品に関しては、ベンダー・ロックインはない」(同氏)。
またソレンソン氏は、VFCacheは仮想デスクトップ・インフラストラクチャ(VDI)やサーバ仮想化環境には最適とは言えず、そうした用途では従来のネットワーク・ストレージを使うほうがよいと示唆した。
「通常、VDI環境では(Readよりも)Writeのほうが多くなるので最適な条件とは言えない。また、(サーバ)仮想化環境においては、ユースケースとアプリケーションに依存する」(ソレンソン氏)
VFCacheカードは、米国Fusion-ioが販売しているNANDフラッシュ・メモリ・カードと似ているが、Fusion-ioの製品と比較するとはるかにキャパシティが小さい。Fusion-ioは、10TB、130万IOPS、スループット6.7GB/秒のスペックを持つPCIeベース・フラッシュ・カードを販売している。一方、EMCではまだVFCacheの価格を公表しておらず、「競合他社に対して挑戦的なプライシング」であるとだけ述べている。
Fusion-ioのCEO(最高経営責任者)、デビッド・フリーン(David Flynn)氏は、今回のEMCの発表によって、Fusion-ioがこの数年間やってきたことが正しかったと証明されたと語った。
「EMCは、GB単価で(MLCの)3倍以上高価なSLCを使っている。たぶんそれを優れた製品にしようと試みているのだろうが、エンタープライズ領域においても、MLCと比べてSLCはいささか時代遅れだ」
フリーン氏は、EMCがSLCを使っているのは、MLC型NANDフラッシュに対する専門知識や技術がFusion-ioほどにはないMicronやその他の部品ベンダーに依存しているからだと皮肉を言った。「(EMCが)Micronから部品を調達しているのであれば、――部品に対して我々の4倍から6倍のコストを支払わなければならない」(同氏)。
EMCのソレンソン氏は、Fusion-ioはフラッシュ・メモリをDAS(Direct Attached Storage)として販売するため、大容量の(つまり高価な)ものしか販売できないのだと反撃する。EMCのVFCacheは、あくまでネットワーク・ストレージの働きを補完するキャッシュであるため比較的小さな容量で済む。
EMCの広報担当者は、VFCacheは「Fusion-ioよりも少し安い価格で」提供する予定だと述べたが、カード1枚あたりの価格については回答しなかった。
「我々はFusion-ioに敬意を表する。彼らは最初にPCIe市場に参入した。そして優秀な製品を世に出したが、(現在は)大手企業がより考え抜かれたソリューションを携えて参入してきている。フラッシュ製品ベンダーの中には、将来的にはコモディティ化するであろうコンポーネントに追いやられる企業もあるのではないかと心配している」(ソレンソン氏)
なお、EMCは今回、ストレージ・アプライアンスの新製品となる“Project Thunder”の発売計画も明らかにした。これはPCIe規格のNANDフラッシュ・メモリ・カードを搭載したアプライアンスで、InfiniBand経由でサーバと接続する。EMCによれば5枚、10枚、15枚のPCIeカードを搭載したモデルがあり、容量は15TB以上になるという。リリースは2012年第2四半期を予定している。
「“Project Thunder”アプライアンスは、大容量、共有型、スケーラブルなVFCacheカードだと考えればよい。数億(IOPSのスペック)を検討している」(ソレンソン氏)
(Lucas Mearian/Computerworld米国版)





























