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【連載】

サイバー・セキュリティ[罪と罰]

トロイの木馬を仕込んで児童ポルノを摘発
(2008年05月13日)

毒をもって毒を制す──。急速に普及したインターネット社会で暗躍する犯罪者を“あぶり出す”ためには、時として法律に抵触する危険もあるようだ。サイバー犯罪の最新動向を探る本連載で、最初に紹介するのは、ネット上に蔓延する違法な児童ポルノを摘発するため、「トロイの木馬型プログラム」を第三者のコンピュータに仕込んだ青年(当時)のケースである。法律を犯せば罰せられる。しかし、だれが彼の“罪”を非難できるのだろうか。

70人の児童性愛犯罪者をムショ送り

 それはブリティッシュ・コロンビア州在住のブラッド・ウィルマン(Brad Willman)氏が、緊急車両のネットワーク機器をメンテナンスしている時のこと。数年来の知人でもある警察官がやってきて、Willman氏に任意同行を求めてきた。Willman氏はさしたる不安も抱かず警察官に従ったという──警察署で米国の警察官2人を“紹介”されるまでは──。この瞬間、Willman氏の“自警活動人生”に幕が下ろされた。

*  *  *


 Willman氏が米国警察に引き渡されたのは2000年、同氏が19歳の時だった。罪状は「第三者のコンピュータへの無許可アクセス」。実は、Willman氏は数年前から違法な児童ポルノの摘発を目的に、1,000台以上のPCにトロイの木馬型プログラムを仕込んでいたのである。Willman氏の“功績”によって、総勢70人の児童ポルノ犯罪者が刑務所送りになったという。

 しかし、その中に、米国カリフォルニア州オレンジ郡の上級裁判所判事(当時)のロナルド・クライン(Ronald Kline)氏が含まれていたことで、Willman氏の活動は一変する。

 Willman氏は、Kline氏が大量の児童ポルノ画像を自分のPCにため込んでいただけでなく、若い男の子をたらし込もうとする内容の日記を書いていたことを突き止めたのだ。この事件は広く世間に知れ渡り、エロ判事の悪行を突き止めたWillman氏の名前も世間に知られることになった。しかし、それは同時に「自警活動家」としての人生の終わりでもあったのである。

 Computerworld米国版は最近、Willman氏に当時のことを電話取材した。同氏は、自警活動家としての人生を以下のように語ってくれた。

 「もちろん自分のやっていることは違法だと認識していたよ。でも合法か違法かなんて、そんなの関係ねぇっていうスタンスだったな。だって、児童ポルノを摘発することは、多くの人を助けることだから。自分では格好よいことだと思っていた」

 ちなみにWillman氏はKline判事の一件が明るみになるまで、匿名を貫いていた。

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