セキュリティ・ベンダー各社、2009年は「マルウェア検出手法の刷新を図る」
マルウェアの急増に対し、シグネチャ・ベースの検出技術はもう限界ウイルス対策ソフトウェア業界は長年にわたり、「シグネチャ・ベース」の検出技術によってウイルスと戦ってきた。だが、一部の大手ベンダーは、マルウェアの急激な増殖を背景に、2009年にはこの方法論の重要性が低くなると見ている。
「新たなマルウェアは
毎日1万2,000種類も現れる」
ステップ1:コンピュータ・ウイルスの検体を発見。ステップ2:ウイルスを検出、駆除するための「シグネチャ」を作成し、シグネチャ・ファイルをコンピュータに配布。ステップ3:新しいウイルスとその亜種についてステップ1と2をひたすら繰り返す――。
長年にわたり、ウイルス対策ソフトウェア業界ではこうした「シグネチャ・ベース」によるウイルスとの戦いが行われてきた。しかし現在、一部の大手ベンダーは、マルウェアの急激な増殖を背景に、2009年にはこの方法論の重要性が低くなると見ている。
シグネチャに基づくスキャンは「ダイナミックではなく、古くさいやり方だ」と、米国Symantecのセキュリティ技術/レスポンス部門の製品管理ディレクター、ジェリー・イーガン(Jerry Egan)氏は語る。「検出/駆除すべき新しいマルウェアが毎日1万2,000種類も現れるようになった現在、われわれは、シグネチャ・ベースの方式は役目を終えつつあると考えている」(同氏)。
しかも、現在のマルウェアは巧妙な設計がなされており、20〜30台のマシンに拡散したのちに突然変異するのだとイーガン氏は指摘する。「そのため、同じシグネチャで対処していても、マシンによっては効果がないこともある」(同氏)。
イーガン氏の話によれば、Symantecはシグネチャ・ベース方式の検出をすぐにやめるつもりはないが、来年はほかのマルウェア対策技術、例えばビヘイビア検出、ヒューリスティクス、評判分析、さらにはホワイト・リスト/ブラック・リストといった技術とのハイブリッド化が進む見込みだという。
“ポスト・シグネチャ”の検出手法を巡り
多種多様な取り組み
他のセキュリティ・ベンダー、米国Trend MicroやロシアのKaspersky Labも、シグネチャ・ベースの検出についてはSymantecとあまり変わらない見解を示している。
「今年はマルウェアの件数だけでも昨年の8倍に増えていると見られる。こうなると、従来のシグネチャ・ベースによるアプローチでは対処が極めて難しい」と、Kaspersky Labのシニア製品マーケティング・マネジャー、ピーター・ビアードモア(Peter Beardmore)氏は語る。
ビアードモア氏も、自社製品の検出モデルが変わっていくことを予想している。「マルウェアのコードが持つパターンよりも、そのコードが実行する“呼び出し(コール)”のパターンがポイントになる。例えば、コールしようとしている対象がプリンタなのか、レジストリなのかで判断は大きく変わるだろう。したがって、今後はビヘイビア・ベースの手法によりマルウェアが特定されるケースが増えるはずだ」(ビアードモア氏)。
また、Kasperskyは、すべてのデスクトップ製品にホワイト・リスト/ブラック・リストのアプローチを導入しようとしている。同社は米国Bit9との提携により、今年の夏、コンシューマー製品でこのアプローチを試験導入している。なお、現状では、このアプローチはデスクトップ製品により適していると考えられるため、Kasperskyはそれらをサーバ製品で使う方針は示していない。
Trend Microのコア技術ソリューション担当副社長、ジョン・マディソン(John Maddison)氏も、マルウェアの大増殖は、従来のシグネチャ・ベースの対策では対応が困難な問題だと考えている。
「われわれの予想では、2015年には、マルウェアの増殖に追いつくためだけでも、1時間ごとに2万5,000件以上の新たなシグネチャが必要になる」(マディソン氏)
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