フロリダ州立大学の研究者、超強力な暗号化チップの素材となる結晶を発見
ストレージ・デバイスの大幅な大容量化を実現する可能性も米国フロリダ州立大学の研究者が、きわめて強力なセキュリティ・チップの開発につながる結晶を発見した。この結晶は、ストレージ・デバイスを飛躍的に大容量化する可能性もあるという。
この結晶を用いたセキュリティ・チップが実用化できれば、電子的および磁気的に作成された暗号化データを保存できるようになるという。これにより、データの抽出が複雑になり、攻撃者にとって解読が著しく困難になるとのことだ。
また、この結晶を用いた新しいストレージ・メディアの開発が成功すれば、現在の1GBストレージ・コンポーネントと同等のサイズのデバイスに、エクサバイト(EB:10の18乗バイト)のデータを保存できる可能性がある。
フロリダ州立大学の教授でノーベル賞受賞者のハリー・クロート(Harry Kroto)氏と、同じくフロリダ州立大学教授のナレシュ・ダラル(Naresh Dalal)氏によれば、発見された結晶は、鉛を含む現在のチップ材料よりも毒性が低く、入手しやすい材料で製造できるという。具体的には、マンガンと鉄が使われる。
クロート氏とダラル氏の研究チームは、デジタル回路に使用できる結晶構造を持つ材料を発見することを主な目的としている。クロート氏は、データを保存するキャパシティを材料自体が提供する“ボトムアップ設計”と呼び、データの電子的保存に必要な構造が別の媒体の表面に形成される“トップダウン設計”と対比させている。
両氏は、このボトムアップ・エンジニアリングを支える2次元構造を探求する過程で、電流に影響される特性と磁界に影響される特性を併せ持つ3次元結晶構造を発見した。このように、強誘電性と強磁性を持つマルチフェロイックな材料は珍しい。
これまでのところ、研究チームはそうした結晶を4種類発見しているが、実用化までにはいくつかの障害がある。1つの大きな障害は、結晶のマルチフェロイック特性が、およそ摂氏150度でのみ発生することだ。このため、結晶を実用化するには、高温下で同様の特性を示す別の結晶も発見しなければならない。
シリコンの後継としてコンピュータ・チップの主材料となる2次元結晶を実現する道のりは、まだ始まったばかりだ。「今は、トランジスタでいえば、最初に発明された段階だ」とクロート氏。「シリコンがコンピュータ・チップの材料として使われるようになるまでには、長い年月と莫大な資金が費やされている。われわれはシリコンに追いつかなければならない。それは長く困難な道のりだ」
(Tim Greene/Network World米国版)



























