「環境よりもパフォーマンスを優先」――米国企業のIT投資動向
景気悪化やエネルギー価格高騰などの影響で、グリーンITへの投資が後回しにグリーンITが叫ばれる昨今だが、最近の調査によると、ITバイヤーの多くはいくら環境に優しくてもパフォーマンスを犠牲にしてまでグリーンITに投資するつもりはないようだ。
ホスティング・プロバイダーの米国Rackspaceが昨年と今年、同社の顧客3,000社を対象に調査した結果、企業がグリーン・テクノロジーに興味を失いつつあることが明らかになった。
今年の調査では、63%の顧客がサーバのパフォーマンスを犠牲にしてまで地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出量を減らすつもりはないと回答した。昨年の調査では、二酸化炭素排出量を減らすためにパフォーマンスを犠牲にするつもりはないとした顧客は41%だった。
また、再生可能エネルギーやリサイクル、エネルギーの節約、カーボン・オフセットなど、環境を考慮した製品やサービスに割増料金を払いたくないとした顧客は8%だったのに対し、今年は30%に増加した。
さらに、昨年は“グリーン”ベンダーのサービスには5〜10%高くても払うという回答が半数以上あったが、今年は41%に減少した。
環境に及ぼす影響をまったく考えておらず、今後も気にしないと回答した企業も11%に上っている。
RackspaceのCTO(最高技術責任者)、ジョン・エンゲイツ(John Engates)氏は、これほど多くの企業が環境よりもサーバのパフォーマンスを優先するとは驚きだとしながらも、「今年になってグリーン・サービスに割増金を払いたくない企業が増えたことは理解できる」と述べた。
同氏は加えて、「昨年は少しくらいならパフォーマンスを犠牲にして割増金を払ってもよいとした企業も、今は景気の悪化やエネルギー/燃料価格の高騰もあり、グリーン化が後回しになっているようだ」と指摘している。
環境に優しいテクノロジーは、理論的にはエネルギー効率を改善してコスト削減につながるはずなので、こうした見方は近視眼的に思える。Rackspaceのほとんどの顧客は自社でデータセンターを運用しているわけではないため、この調査結果は若干割り引いて考えるべきかもしれない。ちなみに、Engates氏によると、Rackspaceはまだエネルギー価格の高騰を料金に反映させてないそうだ。
とはいえ、Engates氏は、自前のデータセンターを持っている企業でも、グリーン・テクノロジーの採用には同じように消極的かもしれないと推測する。というのも、一般にITマネジャーはエネルギー・コストの責任を負わないからだ。
「通常、機器の購買部門と電気料金の支払い部門は別だ。ガソリンのように使う側と買う側が同じなら、もっとグリーン・テクノロジーを真剣に考えるのではないか」とEngates氏は分析する。
Rackspaceの調査は、5、6台のサーバをレンタルしている小規模な企業から、フォーチュン500企業の事業部に至るまで、大口顧客3,000社を対象としたものだ。ほとんどの顧客はRackspaceのサーバをWebサイトのホスティングに利用している。Rackspaceは、顧客がどういう製品を欲しがっているかを調査するため、主に電子メールを通して調査を行った。
非営利団体の米国BPM Forumが実施した最近の調査では、150人のIT専門職のうち、環境への影響を懸念していると回答した割合が86%に上ったものの、具体的なグリーンIT戦略を策定していたのは41%にすぎなかった。
IT専門職の中には、グリーン・テクノロジーは初期投資が高すぎるうえ、実際にはそれほど環境に優しくない製品に“グリーン”タグをはり付けているだけではないか、と疑問視する声もある。
今年4月、オレゴン州運輸局のエンタープライズ・アーキテクト、サミュエル・ラモス(Samuel Ramos)氏は、Network World米国版の取材に対し、「古い製品を少し改良しただけでグリーン製品と呼んでいるベンダーがある」と不満を漏らしていた。
米国Forrester Researchのアナリスト、ジェームズ・ステーテン(James Staten)氏も、「大げさな広告が多い。古い製品を『グリーン・ウォッシュ』したITと、本当にグリーンなITとの見分けがつきにくい」と現状を訴えている。
(Jon Brodkin/Network World米国版)



























