クラウド・モデルの見極めとデータセンターの効率向上――今、CIOに求められる“視点”とは
プライベート・クラウドを軸に、各業種・領域における適用モデルを提示する日本IBMIBMがワールド・ワイドで実施した調査によれば、クラウド・コンピューティングに対する日本のCIOの関心は、他国より抜きんでて高いという。ただし、実際に導入している企業は少数派のようだ。Green Cloud Solutions 2010の特別講演には、日本IBMでクラウド・コンピューティング事業 チーフ・テクノロジー・オフィサー 技術理事を務める山下克司氏が登壇。クラウドに対する企業の“心得”と、クラウドの進展に伴って顕在化するデータセンターのエネルギー効率問題について言及した。
クラウド・コンピューティングとは
“より賢く”の原則をITに適用すること
日本のCIOの約半数がクラウド・コンピューティングやSaaSに大きな関心を寄せている――。講演冒頭、山下氏はIBMがワールド・ワイドで行ったCIO意識調査の結果を紹介した。それによると、日本のCIOのクラウド・コンピューティングに対する関心度は他国よりも抜きん出て高く、その利用形態や、IT資産管理にまつわる課題などを検討し始めているという。
一方で同氏は、今日の企業ITインフラを取り巻く課題を、「ITリソース利用の非効率や情報量の爆発的増加、保守コストの肥大化、セキュリティ対策の不徹底などが挙げられる」と指摘し、「ITインフラに対しては、これまでの常識とは違った変革が求められている。変革のキーワードは“自動化”と“工業化”であり、製造や金融、通信といった他業界で実践されてきた『より賢くの原則』をITの世界でも適用していことが大切だ」と説いた。
また同氏は、IBMのクラウド・コンピューティングへの取り組みとして、製品/サービス体系や自社事例、ユーザー事例などを紹介した。その中には、日本IBMが「業際クラウド・モデル」と呼ぶ、複数の業種/企業間でシステムを共有する事例も示された。
今回紹介されたのは、豊田通商と日本IBMが共同で開発した廃棄物管理業務システムである。これは排出事業者、収集/運搬業者、中間処理業者、最終処分業者といった、資源の廃棄/循環のサプライチェーン上の各業者が同一システムにアクセスし、課金モデルで利用することができるというものだ。
「複数の業界をまたいだ共用システムは、これまでは実施主体を定めることができないといった理由から実現が困難だとされてきた。しかし、今ではクラウド・コンピューティングの特性を生かす形で構築できる。今後は、自動車生産など、他の業際サプライチェーンにおいても、こうした動きが広がっていくことになるだろう」(山下氏)
最後に山下氏は、「クラウド・コンピューティングの本格的な進展に伴って、今後、データセンターがさらに大規模化していくことが予想される」とし、データセンターのエネルギー効率向上に向けた施策を、施設面から検討していく必要があると力説した。
●Green Cloud Solutions 2010 講演レポート
○開幕記念講演: 収益効率向上の“結果”として達成されるグリーンIT(ライブドア 伊勢幸一氏)
○省電力技術と自動階層化によって実現される高効率のストレージ環境(EMCジャパン 雨堤政昭氏)
○クラウド・モデルの見極めとデータセンターの効率向上――今、CIOに求められる“視点”とは(日本IBM 山下克司氏)
○閉幕記念講演:仮想化とグリッドが、グリーン・クラウドの実現において重要な役割を果たす(産総研 伊藤 智氏)



























