IT投資のカギはオープン・スタンダードにあり――FLOSS促進に向けたIPAの取り組み
TRM策定、認定プログラム制度などの新施策も打ち出す独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が行っている事業の1つに、オープンソースの活用支援を目的とした基盤整備がある。IPAの田代秀一氏は5月30日、東京ビッグサイトで開催されたLinux/OSS関連コンファレンス「LinuxWorld Expo/Tokyo 2008」(主催:IDGジャパン)のセッションで講演し、オープンソースを活用し効率的なIT投資を行ううえでのオープン・スタンダードの重要性を訴えた。
オープンソースの先にあるオープン・スタンダード
官民ともにFLOSS(Free/Libre and Open Source Software)の採用事例が増えている。例えば、東京証券取引所は次期証券取引システムにLinuxの採用を決定しているし、法務省でも次期登記情報システムにLinuxを採用する予定だ。
FLOSSの採用が増えているのは、オープン・スタンダードの考え方が浸透しつつあることの表れでもある。これは、仕様を共有することでソフトウェアの選択肢を拡げるという考え方であり、オープンソースのさらに先にあるものと位置づけることができる。
「オープン・スタンダードが大事だ。オープン・スタンダードがしっかりしていなければ、オープンソースを導入しても意味がない」と、IPAのオープンソフトウェアセンターでセンター長を務める田代氏は、オープン・スタンダードの重要性を訴えた。
オープン・スタンダードの下でIT投資を行い、ベンダー間に適度な緊張感を持たせることでコストダウンを実現し、品質維持や早期立ち上げを図る。自由にならないIT投資はIT消費でしかないため、ベンダーに縛られてしまうような状況は改善していく必要があるのだ。
FLOSSの採用が進む理由としては、金銭的価値の高さも挙げられる。
2004年EU政府発表資料文書によると、統合ウィンドウ・プラットフォームであるKDEには2億5,500万ドル、Gnomeには4億ドルの金銭的価値があり、OSであるFreeBSDには3億2,500万ドルの価値が、Debianには36億2,500万ドルの価値があるとされている。実際、自治体におけるFLOSS導入のメリットとして、ソフトウェア・ライセンス費用の節減やシステム開発コストの削減が挙げられており、金銭的価値の高さは確かなところだろう。
IT活用で後れを取る日本
わが国におけるIT活用の現状に目を向けると、米国よりも遅れていると報告されている。IT活用を次の4段階に分類した場合、日本は第3段階が26%なのに対し、米国は54%だ。米国と比較すると、組織内におけるITの活用が遅れていると言われている。
- 第1段階:情報システムの導入
- 第2段階:情報システムを部門間で活用
- 第3段階:情報システムを部門を超えて企業内で最適に活用
- 第4段階:情報システムを取引先・顧客等関係者も含め企業を超えて最適に活用
日本と似た傾向にある韓国と比較すると、日本のほうが第1段階が多いという。「ITの活用度を引き上げ、国としての効率を上げていくのが、日本の当面の課題」(田代氏)というわけだ。
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