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【インタビュー】

リーナス・トーバルズ氏、「オープンソースのアイデンティティ」について語る

Windows 7、ネットブック、ファイルシステム、Git、KDE 4.0――
(2009年02月16日)

 Linuxの“生みの親”リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏は、今年も、1月にオーストラリアで開催される年次イベント「linux.conf.au」に参加した。Computerworld Australiaのインタビューに応じた同氏は、Linuxカーネルの「ポイント・リリース」やファイルシステムについて、また自身のKDEからGNOMEへのデスクトップ環境の乗り換え経験について語った。Microsoftの次期OS「Windows 7」についても展望している。

 リーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏は、1月のオーストラリアの常連客だ。彼の目的は日光浴、そしてLinux Australia(オーストラリアのユーザーズ・グループとして最大の組織)が主催する年次イベント「linux.conf.au」に出席することにある。

「linux.conf.au」のWebサイト(http://linux.conf.au/)。今年は1月19日〜24日に開催された

 今回、トーバルズ氏はComputerworld Australiaのインタビューに応じ、Linuxカーネルのポイント・リリースやファイルシステムについて、またKDEからGNOMEへのデスクトップ環境の乗り換えについて語った。Microsoftの「Windows 7」についても展望している。

Linuxカーネル開発における自分の仕事は 「ただバージョン番号を割り振っているだけ」?

――あなたがLinuxの開発を始めた1991年から数えると、Linuxの歴史はそろそろ20年の節目を迎えようとしている。あなたはこの20年間をどう振り返るだろうか。

 わたしはごく自然体でLinuxの開発に取り組んできたし、その気持ちが消えることはないと思っている。特に「やり終えた」という感覚はない。

 (Linuxカーネルのメンテナンス作業から)手を引いたわけではないが、さまざまな決定事項については信頼のおける人々に任せている。彼らに対して後からとやかく言うと、物事が進まなくなるし、周囲に無駄な時間を使わせてしまうから、そんなことはしない。サブ・メンテナーたちは皆、自分のGitツリー(開発中のコード)とメインのコードを同期させているので、わたしは彼らがむちゃくちゃなことをしていないかどうかをチェックしている。もっとも、そんなことはめったにないのだが。

――近年のLinuxカーネルでは、大規模なアップグレードではなく、“ポイント・リリース※注”が頻繁に行われるようになった。状況はどうか。

※注:Linuxでは、かつては長期間をかけ、大規模な修正や多数の追加機能を含む新版カーネルを開発/リリースしていた。現在はその手法を改め、小さな修正や少数の機能追加を行ったカーネルを、短いサイクルで定期的にリリースするようになっている。これを「ポイント・リリース」と呼ぶ。

 ポイント・リリースという手法はうまく機能しており、現在は新機能の追加もポイント・リリースで行っている。やっかいな仕事だが、同時に愉快な仕事でもある。

 ポイント・リリースは、それまで開発してきたカーネルをすっかり台なしにしてしまわないために有効な手法だ。そもそも安定性を損なうほどのスピードでコードが追加できるような体制でもないのだが、この手法のおかげでLinuxカーネルは安定していると言えるだろう。ポイント・リリースを重ねるごとにコードは増え続けているが、リリース間隔は2〜3カ月に一度と一定に保たれている。数年前よりも現在のほうが、(コードの量が増えたので)2〜3カ月の間になすべき修正作業は多いが、開発プロセスの見積もりはうまくいっていると思う。

 開発をしくじる可能性や、深刻な不安定化を引き起こしてしまう不安は常にある。アンドリュー・モートン(Andrew Morton、カーネル開発の主要メンバーの1人)は、いつもこう言う――「クオリティが下がっていないことを確認しなければ」と。我々には、品質が低下した部分に関する統計資料や、その修正に要する時間、安定版カーネルを待つ人がどれだけいるかといったデータがある。品質低下個所の中には、奇妙な動作を見せるようなものもある。それはハードウェアの問題かもしれないし、あるいはどこかに隠れている古いバグのせいかもしれない。

 わたしは、ポイント・リリースという現在の形態に満足しているし、2.6系カーネルは最良の出来だと思っている。だから、さしあたっては何もすることがない。極端に言えば、ただバージョン番号を割り振っているだけだ。数年間に渡って進歩を妨げるような、「開発版ツリー」というやり方に逆戻りするのはごめんだ。ゆくゆくはアーキテクチャの書き換えが必要になるかもしれないが、ポイント・リリースの中で十分対応できるはずだ。したがって、今のところはバージョン番号を大きく上げる必要があるような(バージョン番号を「2.6.x.y」から「2.7.x.y」や「3.0.x.y」に上げるような)、大きな変化が起きる可能性はない。開発者向けには別途、不安定版を提供することができるので、一般ユーザーに影響を与えることはない。

――カーネルのコード・ツリーに残っている、古いコードを削除するつもりはあるか。

 古いコードはもっと積極的に削除していくべきだという考えの人もいるが、まだ誰かがそのコードを使っているならば、残しておくべきだと思う。大抵、古いコードのメンテナンスは自由にできるのだから、力の及ぶ範囲で我々は維持していくつもりだ。ただし、古いデバイス・ドライバに関しては時々削除している。

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