科学研究ツールもオープンソース化――マイクロソフトが計画
LinuxドライバとMoodleプラグインに続いて「Project Trident」も先ごろ、Linuxドライバと「Moodle」プラグインのソースコードをGPLv2(GNU General Public License 2)の下でリリースしたMicrosoftが、今度は科学研究分野向けのツールをオープンソース化することを計画している。
米国カリフォルニア州サンノゼで開催中の「OSCON(O'Reilly Open Source Convention)2009」(7月20-24日)で、Microsoft Research外部リサーチ部門のコーポレート・バイスプレジデント、トニー・ヘイ(Tony Hey)氏が23日午前に基調講演を行い、科学研究分野における同社のオープンソースへの取り組みを紹介した。
講演の中で同氏は、ITが科学者の問題解決を支援できることを強調。「科学は、データを情報へ、情報を知識へと昇華させなければならない」と語った。
また、エネルギーや環境、健康などの分野で問題解決を支援するため、MicrosoftはWordやExcelといった同社のツールを、科学者にとって一層有益なものに拡張するオープンソース技術に取り組んでいるという。
そうした取り組みの1つが「Project Trident」である。このツールは、センサ・ネットワークから収集されるデータを使って研究を行うためのワークフロー・ワークベンチを提供する。MicrosoftのWebサイトによると、このツールではWord、.NET Framework、SQL Serverデータベースなどのソフトウェアが利用されている。
また、同じく開発中の「Project Zentity」は、セマンティック・データのストレージを提供する。同社のWebサイトで「研究結果のリポジトリ・プラットフォーム」とされているZentityは、ASP.NET Webインタフェースを特徴としており、SQL Server 2008とMicrosoft Entity Framework上に構築される。
さらに、ネットワークを分析・可視化するためのExcel用ビジュアル・ツール「Node XL」や、クラウド・プラットフォーム「Windows Azure」に対応したサービスとして開発された研究ツール「PhyloD」もある。
PhyloDは、HIV感染者の調査でHIVのDNA解析に使われている。「PhyloDをAzureサービスとして利用すれば、科学者はその運用管理に煩わされることなく、データをアップロードし、分析して結果を得ることができる」(ヘイ氏)
このPhyloDとNode XLは「Microsoft Public License」の下で提供されている。一方、ZentityとProject Tridentは、それとは別のオープンソース・ライセンスで提供される予定だ。
オープンソース・コードの「公開量」を調査しているグーグル
23日午前のセッションでは米国GoogleとCanonicalの幹部も基調講演を行い、それぞれオープンソース・コードの公開量とクラウド・コンピューティングについて語った。
Googleのオープンソース・プログラム・マネジャー、クリス・ディボナ(Chris DiBona)氏は、インターネット上で公開されているオープンソース・コードの量を同社が調査していることを明らかにした。この調査はGoogle Code Searchサービスのクロール機能を利用して行われている。
同調査により、GPLv3の採用が進んでいることや、オープンソース・プロジェクトで使われているPHPコードの総行数がPerlコードよりも3,700万行多いことなどがわかった。また、Adaコードの総行数はActionScriptコードを約400万行ほど上回っているという。
「オープンソースのActionScriptコードは非常に少ない」とディボナ氏。そのほか、オープンソース・プロジェクトで使われているCコードの総行数はC++より多いこと、Pascalコードの総行数はFortranコードより3,000万行、Rubyコードに比べると8,000万行も多いことなどを紹介した。
一方、Canonicalのソフトウェア・サービス・マネジャー、サイモン・ウォードリー(Simon Wardley)氏が基調講演のテーマに選んだのは、クラウド・コンピューティングだった。同氏は、クラウド・コンピューティングの定義が多数見られるにもかかわらず、このモデルへの移行は不可避であることを強調した。
「実のところ、クラウド・コンピューティングに関しては選択肢はない。クラウド・コンピューティングは、サービス・ベースの枠組みに基づくITの新たなあり方を指す一般的な言葉であり、経済的および技術的条件を背景に、このあり方への転換が進んでいる」(ウォードリー氏)
(Paul Krill/InfoWorld米国版)



























