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SOA

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【解説】

「SOAとBPM」の相関を理解する

システム俊敏性のさらなる向上を図るためのアプローチ
(2008年04月25日)

ビジネス環境の目まぐるしい変化に企業の情報システムが迅速に対応できるようにする「俊敏性」を備えるための手法として、SOA(サービス指向アーキテクチャ)が注目を集めて久しい。本稿では、SOAがなぜシステムの俊敏性というメリットをもたらしうるのかをあらためて確認したうえで、そのメリットをより向上させるためのアプローチである、SOAとBPM(ビジネス・プロセス管理)の組み合わせについて考察する。

俊敏性──今日の情報システムの真の差別化要素

 情報システムの差別化要素について考えてみると、過去においては、処理性能の高速化が一義的だった時代や、低コスト化が一義的だった時代があった。そのあと、ERPなどの統合業務アプリケーション・パッケージが台頭し、タイム・ツー・マーケット(アプリケーションをサービスインできるまでの期間)の短縮に力が注がれることとなった。

 現在でも、これらの条件の重要性は変わることはなく、情報システムが差別化を図るための必要条件としてあり続けている。しかし、これらの条件は、いわば「あって当たり前」であり、差別化のための十分条件とは言えない。今や情報システムの真の差別化要素となっているのは俊敏性(アジリティ)、すなわち環境の変化に迅速に対応できる能力と、柔軟性、すなわちシステム自身が変化できる幅である(図1)。

図1:情報システムの差別化要素の変化

 つまり、「アプリケーションを構築するまでの速度」だけではなく、「アプリケーションを構築してからの速度」が重要視されるようになってきたというわけである。これは、多くの業界で、ある時点ではベスト・プラクティスであったビジネスのやり方が、半年後には競合他社の追い上げにより陳腐化するような状況が頻繁に見られることから当然のことである。

 特定の時点のビジネス要件に応える形でアプリケーションやシステムを構築し、構築した後は保守として最小限の変更作業を行っていけばよいなどという過去の考え方はもはや成り立たない。ビジネスと情報システムの整合性確保(一般に「IT/ビジネス・アラインメント」と呼ばれる)の重要性に変わりはないが、今日では、アプリケーションの設計構築時の1度限りのアラインメントだけではなく、アプリケーション稼働開始後の「継続的アラインメント」が必要とされているのである。

 情報システムは、そのライフサイクルを通じて、ビジネスの要求に合わせて変化し続けなければならない。ビジネス上の新たな要件が生じたにもかかわらず、既存の情報システムが障害となって必要な変化が実現することができないような状況、いわば、ITがビジネスの変化の足かせとなることがあってはならないのである。

SOAが俊敏性を実現する仕組み

 当然ながら、上記した俊敏性の議論は、ITインフラだけではなく、アプリケーション層において特に重要である。

 ITインフラにおいて俊敏性を実現するための重要なポイントは、標準化と部品化である。いわゆる一枚岩型のインフラ、あるいは、部品化されていても標準化がなされていないインフラであれば、何か変更を加えるたびに多大な作業が必要になる。一方、インフラが標準化された部品群で構成されていれば、部品の変更・交換・追加・削除により、変化の要請に迅速に応えることが可能になる。

 このことは、アプリケーション層においても同様だ。そして、アプリケーション層においてこのような標準的な部品化を提供するための考え方がSOA(サービス指向アーキテクチャ)にほかならない。

 SOAにおけるソフトウェアの部品化という考え方自体は、従来からあるコンポーネント指向などと共通のものだ。しかし、SOAではビジネス・プロセスの部品(サブプロセス)をできるだけそのままに、ソフトウェア部品(サービス)として実装するという点に特徴がある(注1)。つまり、ビジネス要件に変化が生じた際には、ビジネス・プロセス部品に必要な修正・交換・追加・削除を行うのに伴い、対応するソフトウェア部品も同様に修正・交換・追加・削除を行えばよい。これにより、アプリケーションの俊敏性を大きく向上できる。

 なお、SOAには既存部品の活用(再利用)によるアプリケーション開発生産性や保守性の向上などのメリットもあるが、このビジネスの俊敏性向上こそが、このアーキテクチャを採用する最大の戦略的価値と言ってよいだろう。

 もちろん、このような俊敏性の実現はあくまでも理想であり、SOAを導入すれば自動的にこのような理想が達成できるわけではない。とはいえ、一枚岩型のアプリケーション、標準化が行われていない部品化、あるいは、ビジネス・プロセスをほとんど考慮しないシステム都合の部品化に基づくアプリケーションといった構築手法と比較して、SOAが本質的にすぐれているのは確かだ。

注1:SOAの定義は時代と共に変わってきており、現時点でも多少の定義の相違がある。筆者は、ここで述べた「ビジネス・プロセス部品をソフトウェア部品として実装する」という点が、SOAの最も本質的なポイントであると考えている

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