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【ITアーキテクト特別セミナー】

「SOA+Web 2.0」がもたらした、人・組織・システム間の連携――カシオのSOA事例

プレゼンテーション層でAjaxなどを活用したマッシュアップ・ポータルを採用
(2008年09月29日)

「SOAを生かすにはWeb 2.0技術が必要だ」――。カシオ計算機は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)基盤を構築するにあたり、Web 2.0技術を積極的に活用し、人・組織・システム間の連携を実現していることを強調した。9月26日に東京都内で開催された「ITアーキテクト特別セミナー『SOA ユーザー企業自身がデザインする、導入のかたち』」(主催:ITアーキテクト編集部)の基調講演で、その実際がプロジェクト責任者によって語られた。



齋藤公二

競争優位を実現する領域と、ガバナンスを強化する領域を区分



カシオ計算機 業務開発部 情報技術グループ リーダーの大泉博昭氏

 ITアーキテクト特別セミナーの基調講演に登壇したのは、カシオ計算機で業務開発部 情報技術グループ リーダーを務める大泉博昭氏だ。大泉氏は最初に、カシオにおけるIT戦略の位置づけを説明。同社では、「ミッション・クリティカル/非ミッション・クリティカル」という軸と、「コア業務/ノンコア業務」という軸の2つの軸を用いて、他社との差別化を図り競争優位を実現する領域と、統合化・標準化を図ってガバナンスを強化する領域とを区分しているとした。例えば、SCM(サプライチェーン管理)、 PLM(製品ライフサイクル管理)、CRM(顧客関係管理)などは、同社のミッション・クリティカルなコア業務として競争優位を実現する領域となる。

 そのうえでカシオは、競争優位を実現する技術基盤を、サーバの集約・仮想化、標準システムとしてのERP、連携とモジュール化基盤としてのSOA、ユーザー・インタフェース(UI)統合という4つのレイヤで構成されるピラミッドとして整備・標準化してきた。以下で、同社が行った開発プロセスを見ていく。


カシオのIT戦略における2つの軸。ミッション・クリティカルとコア業務で領域を区分したうえで(左)、競争優位を実現するための技術基盤を4つのレイヤで整備した(右)

EAIによる連携からSOAによる連携へ

 最下層の基盤として、カシオは2004年から2007年にかけて、サーバの集約と仮想化を進めてきた。さらに、その上の基盤として、ERPを標準システムとして展開し、サブシステムをEAI(Enterprise Application Integration:企業アプリケーション統合)ツールで連携する基盤を構築した。

 「これらの取り組みは、競争優位を実現するための準備段階にすぎない。ビジネス・スピードと顧客満足度の向上のためには課題が残されていた。例えば、EAIによる連携では、データ連携の前後がバッチ処理になるなど即時化の効果が出なかったり、エンドユーザーが複数のページをそのつど開かなければならなかったりといった課題があった」(大泉氏)

 大泉氏の言う課題をクリアするために同社は、ERPによる標準システムの上に、各システムの違いを吸収するための基盤としてESB(Enterprise Service Bus)を利用したSOA基盤を構築することを決めた。具体的には、既存のERPパッケージやデータベースを「コンポーネント層」とし、それらの機能をサービスとして公開する「サービス層」を、さらにサービスを組み合わせた「コンポジット・サービス層」を設け、ESBによってサービスを統合管理できるようにすることをめざした。

 その一方で、エンドユーザーが利用する「プレゼンテーション層」についても、ASP.NETやAjaxを活用したマッシュアップ・ポータルを採用するとともに、ポータルからの情報をWebサービス標準のBPEL(Business Process Execution Language)を用いて連携できるように「ビジネス・プロセス層」を明確に分離した。これは、コンポジット・サービス層とビジネス・プロセス層がESBを通して疎結合される仕組みとなっている。(次ページに続く


コンボジット・サービス層を設けているのが特徴のSOAレイヤ(左)。マッシュアップ・ポータルは、Webサービス標準を通して各種システムと連携する(右)

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