米国GEの大規模SCMにSaaSが選ばれた理由
「50万サプライヤーとの全取り引きの把握」のためにGEがSaaSを採用もともと小中規模向けと見られがちだったSaaSだが、最近は大規模導入に対する抵抗感が薄れてきたようだ。その一例が米国General Electric(GE)である。50万社で構成されるサプライチェーンを持つ同社は、その管理のためにオンデマンドSCMアプリケーションを導入した。本稿では、GEのCIOへの取材を元に、同社が大規模サプライチェーンの効率化にSaaSを選んだ理由を解説する。
100カ国以上にまたがる
大規模SCMでSaaSを活用
米国General Electric(GE)のサプライチェーンは単に巨大なだけではない。調達パートナーが世界中に点在するため、複雑極まりないのだ。同社が抱えるサプライヤーは50万に上り、100カ国以上、14の言語にまたがる。
GEのCIOを長年務めるゲイリー・ライナー(Gary Reiner)氏は、この複雑さを知り尽くした人物だ。同氏は、年商1,730億ドルの同社において年間調達コスト550億ドルの管理を任されており、その圧倒的な購買力を生かして職務に取り組んでいる。例えば、年間1億5,000万ドルにも上るPCの調達に際しては、サプライヤーをDellの1社に絞ることで購入価格を抑えるのだという。
GEのグローバル調達事業部は、50万サプライヤーすべてとの関係を理解し、サプライチェーン全体の動きを正確に把握するという困難な課題に何年も取り組んできた。この課題の解決に向けては、サプライヤー契約、コンプライアンス、各種の認定などに関する重要データを一元的に格納・管理し、それらを世界中の何千もの場所からアクセスできる状態にする必要があった。
以前使用していた「Global Supplier Library」という自社システムは、「基本的な機能」(ライナー氏)しか備わっておらず、同氏らはよりよいシステムの必要性を感じていた。具体的には、導入・運用が容易で中央リポジトリに膨大なサプライヤー情報を統合でき、多言語に対応し、さらにはサプライヤーが自社のデータを管理できる“セルフサービス”機能を持つ新システムである。
新システムの目標は明らかだった。共通のビューを用意し、データのバージョンを統一させるということだ。その目標に向けて、ライナー氏とIT部門および調達部門は、ごく小規模なベンダーが提供するSaaS(Software as a Service)アプリケーションを採用した。その結果、かつてない規模でSaaSが導入されることになった。
SaaSかオンプレミスかは
重要な選定基準ではない
GEが導入したSaaSは、米国Aravoの「Supplier Information Management(SIM)」である。GEのCIOとして13年間、導入するソフトウェアを決めてきたライナー氏は、「これまでと同じ基準の下にSIMを選んだ」と語る。同氏にとって、ソリューションがSaaSかオンプレミスかは重要な問題ではなかったのだ。
「ソリューションは機能と価格で選択する」というのがライナー氏のやり方だ。同氏は、SaaSとオンプレミスを比較した結果、コストと機能の両面で大きな違いを見い出すことはできなかったという。「リプレースのコストも運用管理のコストも、さして変わらなかった」と同氏。
実装コストについては、「そのほとんどが、既存システムとの連携、プロセス変更、データ・クレンジングのために要するものだ」としたうえで、「これの3つのコストは、アプリケーションをホスティングする場所に関係なく発生する」と指摘する。
ライナー氏はSaaSの導入に及び腰になることはなかったが、調査データを見る限りでは、そうしたIT意思決定者は多くはないようだ。米国Forrester Researchが2008年に実施した調査では、「SaaSを導入もしくは試験導入している」との回答は16%にとどまった。「導入に興味がある、もしくは試験導入を計画している」という答えが46%に上ったが、「まったく興味がない」という回答も37%だった。
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