新兵募集にSaaSを活用する米国陸軍
政府機関におけるSaaS導入の「効能」と「課題」米国陸軍は、新兵募集のパイロット・プログラムにおいて、Salesforce.comのCRMアプリケーションを利用している。Army Experience Center(陸軍体験センター)という新施設の開設にあたって、同アプリケーションを導入したのだ。
Army Experience Centerは、2008年秋にフィラデルフィアのショッピング・モールの中に開設された施設である。同センターの広大な敷地には、シミュレーターやゲーム、陸軍でのキャリアを検索する端末などが用意されている。
従来のリクルート・センターは、リクルーターと入隊希望者が面談を行うだけの味気ないものだったが、陸軍はArmy Experience Centerによって「気軽な体験型施設」という新たなアプローチを新兵の募集に取り入れた。それと同時に、IT活用についても、SaaS(Software as a Service)という新たなアプローチを取った。
このパイロット・プログラムを指揮するのは、陸軍少佐のラリー・ディラード(Larry Dillard)氏である。同氏は、「政府によるSaaS利用の新しいかたちだ。陸軍の他の業務にもSaaSを利用できるだろう」とSaaSに期待を寄せる。
ディラード氏によると、このプログラムでは、募集活動を積極的に展開するのではなく、陸軍への理解を深める場の提供に専念していくのだという。「われわれ陸軍は、多くの人にすばらしい機会を提供できると考えている」と同氏。
陸軍は、Salesforce CRMの利用により、入隊の見込みが高い潜在的志願者を特定し、採用活動を効率化しようとしている。年齢、学歴、両親の軍隊経験の有無といった、センター来訪者が記入する基本情報から、入隊の見込みが高いと思われる人物を把握しようというわけだ。
陸軍は、米Acumen Solutionsと協力して導入作業にあたった。同社は、米国連邦政府のSaaS導入もサポートしている。
ディラード氏は、SaaSについて導入の容易さを評価している。「ソリューションの採用、設定、導入を終えるまで、およそ4週間程度しか要しなかった。わずかなコストと時間で、非常に堅牢で高性能なシステムが完成したのだ」と同氏。なお、導入コストは公表されていない。
連邦政府では、SaaSの利用が徐々に浸透しつつある。市場調査会社のInputは、政府の今会計年度IT支出予測額834億ドルのうちSaaSへの支出予測額は7,400万ドルと見てiいる。これは、前年同期の約2倍にあたる数字だ。
ただし、Inputは、政府のIT支出におけるSaaSの割合は、比較的わずかな部分にとどまるとの予測も示している。だが、その比率も、オバマ政権のITへのアプローチによって変わる可能性がある。
ディラード氏によると、他のリクルート・センターへのSaaS導入については、何も決定されていないという。
連邦政府がSaaSを導入するにあたり、主要な問題となったのは、第三者がデータを管理することへの抵抗とセキュリティへの懸念だった。
陸軍はセキュリティに関する問題から、SaaSを利用する範囲を限定している。社会保障番号のような個人の特定が可能な情報を扱うシステムにはSaaSは利用せず、入隊希望者が実際に入隊を決めた際の処理もSaaSでは行わない。
陸軍はSNSの利用も試みており、例えば、リクルーターがFacebookのページを持ち、入隊希望のFacebookユーザーからさまざまな情報を得るといったことを行っている。「われわれは、若者が陸軍兵士と交流できるように努めている」(ディラード氏)
(Patrick Thibodeau/Computerworld米国版)



























