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【SaaS World 2009 in 大阪】

「SaaSは中小企業におけるIT化の低迷を打開するカギ」――経産省安田氏

各種業務アプリをSaaSで提供する「J-SaaS」の取り組みを披露
(2009年04月10日)

 4月8日、SaaS(Software as a Service)をテーマとしたコンファレンス「SaaS World 2009 in 大阪」が開催された。開幕基調講演では、経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 課長補佐の安田 篤氏が、同省が推進する「J-SaaS」を紹介した。

特に小規模企業を対象に
IT化の支援をSaaSで推進

 J-SaaSは、従業員数20人以下の企業を対象に、SaaS型の各種業務アプリケーションを提供しようとする取り組みである。経済産業省が用意したSaaSプラットフォーム上で、SaaSベンダー各社がアプリケーションを提供する。ユーザーは、共通ポータルから各SaaSアプリケーションを購入して利用するかたちになる。


経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 課長補佐 安田 篤氏

 講演に際し、安田氏は、このJ-SaaSの提供に至った背景から話を切り出した。同氏は、中小企業の景況感が悪化しているという現状に触れたうえで、中小企業のなかでも20人以下の小規模企業とそれ以上の企業との間で、IT活用の格差が広がっていることを指摘した。

 安田氏によれば、小規模企業でも電子メールは広く利用されているものの、販売管理や財務会計、さらにはERPやCRM/SFA、EDIといった、より高度な業務におけるITの活用度合いが低いという。

 「ITベンダーにとっては、販売費用などとの兼ね合いから、20人以下の企業はターゲットにしにくい。その結果、小規模企業とそれ以上の企業の間でのIT活用の格差はますます広がっている」(同氏)

 一方、小規模企業のユーザーにとっては、業務にITを取り入れたいと考えても、IT製品/サービスのコストが高額なうえ、それらを適切に運用できるスキルを持った人材を確保するのが難しいという事情がある。また、情報漏洩などセキュリティ面での不安も、小規模企業におけるIT活用の進展を阻害する要因の1つだと、安田氏は指摘する。

 小規模企業のIT化を推進するためには、これらの課題を克服しなければならない。「その解決策となりうるのがSaaSだと考えている。SaaSは、中小企業のIT化を進めるうえでのカギだと言える」と、安田氏はSaaSへの期待を語った。

 こうした背景を受けて開始したJ-SaaSだが、経済産業省にはもう1つの思惑がある。「中小企業において財務の電子化が進めば、国の電子申請との連携が可能になり、行政の効率化にもつなげていける」(安田氏)。同省は、電子政府の推進という面についても、J-SaaSに期待を寄せているという。

中小企業が必要とする
アプリの網羅を目指す

 J-SaaSは、3月31日より本サービスが開始され、本講演の時点で16社24種のアプリケーションが共通ポータル上で提供されている。SaaSプラットフォームには、シングル・サインオンや課金・決済などの機能が用意されており、複数のSaaSを利用する場合にも一括して請求を受けることができる。なお、このSaaSプラットフォームの構築は富士通が行った。

 共通ポータルに掲載されているSaaSを見ると、月額料金が3,000円から5,000円程度のものが多いことがわかる。この金額は、小規模企業が想定しているSaaSの月額料金を調査した結果から導き出したもので、前述した小規模企業のIT化推進に際してのコストという課題を解消することをねらった価格設定だ。

 また、J-SaaS上で提供するサービスには、経済産業省が定めたSLAガイドラインを満たすことが求められる。このガイドラインには、サービス稼働率や障害復旧時間、サポート提供時間、バックアップ・データの保存期間、セキュリティ・レベルといった項目が設定されており、経済産業省ではサポートやセキュリティに関する不安の払拭につなげる構えだ。

 このほか、同省は、セミナーなどを通してJ-SaaSの普及啓蒙活動を行うインストラクターの養成も進めている。このインストラクターは、ベンダーの社員やITコーディネータ、中小企業診断士など、さまざまな職種の人々が務めている。現在は約600名のインストラクターがおり、今年の1月から3月にかけて全国各地で計370回のセミナーを開催した。その参加人数は約1万5,000人に上るという。

 今後、経済産業省では、J-SaaS上で提供するアプリケーションの拡充を図っていく。「中小企業が必要とするアプリケーションを網羅することが、J-SaaSの理想的な形だ。まだ十分とは言えない状況なので、今後もアプリケーションを増やしていくつもりだ」と安田氏。今年の夏には、アプリケーションの第2弾を公開する予定だという。

(Computerworld.jp)

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