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【解説】

クラウド・アプリケーションの“隠れたコスト”

サービス利用料以外にはどんなコストがかかるのか?
(2009年11月13日)

 大抵のクラウド・サービス・プロバイダーは、「1ユーザー当たり年額100ドル」といった具合に、自社サービスのコスト面でのメリットを強調する。だが、クラウド・コンピューティングには、サービス利用料以外の「隠れたコスト」も存在する。

 企業のCIOやITプロフェッショナルたちは、そうしたコストが存在することはよく理解しているだろう。だが、まだ歴史の浅い「クラウド利用」モデルの中から支出費目を見つけ出し、そのすべてについて説明責任を果たすのは容易ではない。

 したがって、プロバイダーと契約を結ぶ前には、アプリケーションの移行/運用にかかわる人やプロセス、アーキテクチャが必要とするコストを分析し、綿密な計画を立てなければならない。

 クラウド・コンピューティングの「隠れたコスト」を見つけ出すために、CIOやITプロフェッショナルは次の4つのポイントを注意深く検討する必要がある。

  • [ポイント1]既存アプリケーションをクラウドに移行する(あるいはクラウド・アプリケーションで置き換える)ための現実的な手段とは何か。
  • [ポイント2]クラウド・アプリケーションと非クラウド・アプリケーションを統合する際に不可避となるアーキテクチャ面の課題にはどんなものがあるか。
  • [ポイント3]調達、プロビジョニング、管理にまつわるこれまでとは異なるモデルを生かすため、技術や作業プロセスをどのように変更すればよいのか。
  • [ポイント4]プライベート・クラウド(特定の企業だけが利用するために構築されたクラウド)は、現在のホスティング・モデルやパブリック・クラウド・モデルよりも高い柔軟性を実現できるのか。コスト面でのデメリットはないのか。

 こうした問題は、個別のクラウド・ベース・アプリケーション群を組み合わせ、より複雑なシステムを構成していく過程で生じることが多い。

 例えばSalesforce.comのような、事業開発、販売、顧客関係管理サイクルなどを通じて目標や見通しを追跡管理することができるアプリケーションが、組織内でしっかりと定着しているとしよう。これを作り替えるとなると、議論はたちまち「システム」――この場合はCRMシステム――レベルのものとなってしまう。そうすると、次のような新たな疑問が生まれてくる。

  • [疑問1]Salesforce.com上の顧客データと、社内にあるCRMアプリケーション、請求アプリケーション、さらに6つの製品管理システム上の顧客データとを確実に同期させるにはどうすればよいか。
  • [疑問2]顧客情報や企業情報をマスター・リストと照合して確認するため、Salesforce.comにカスタム・アプリケーション・ロジックを追加する必要があるのか。それとも、外部で照合を行ったうえで、出来上がったシステムやプロセスを統合する方がよいのか。
  • [疑問3]顧客管理システムをサポートするITスタッフのスキルや組織はどのようなものが適切か。

 わたしは、幅広い業界で導入されているという理由からSalesforce.comを利用してきたが、今後エンタープライズ・アプリケーションの問題を議論する際には、上述したようなポイントを踏まえておくことが肝要だ。

 クラウド・アプリケーションと、その基盤となるクラウド・アーキテクチャが堅牢性を増すにつれて、このテクノロジーを利用したビジネス・システムの「真のコスト」を巡る議論も、より一層厳しいものになっていくはずだ。つまり、クラウド・サービスの利用料金だけではなく、人やプロセス、アーキテクチャの移行や実装、統合、訓練、再設計にまつわるコストを、十分に時間をかけて総合的に把握することが大切なのだ。

 筆者のクリス・カラン(Chris Curran)氏は、米国Diamond Management & Technology ConsultantsのCTO(最高技術責任者)。同社のブログ「CIO Dashboard」で執筆活動を行う。Twitter:@cbcurran

(Chris Curran/CIO.com)

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