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事例に見るSaaS導入・運用のポイント

オンデマンドCRMで基幹業務システムを刷新
(2006年12月07日)

個人事業主として活動するITエンジニアとソフトウェア開発ベンダーやSIベンダーなどのクライアント企業との仲介を行う首都圏コンピュータ技術者協同組合。同組合は、将来的に組合員の数を3,000名にまで拡大するという方針の下、新たなIT基盤としてセールスフォース・ドットコムのオンデマンドCRMである「Salesforce」を導入した。本稿ではMRM(組合員リレーションシップ・マネジメント)システムをはじめとする各種システム間での連携を図りながら、SaaS(Software as a Service)で基幹業務システム刷新をすることに成功した同組合の取り組みを紹介する。

 “個人事業主エンジニア”に有利な就業環境を提供


USER PROFILE
首都圏コンピュータ技術者協同協会
http://mcea.jp/
所在地: 東京都港区
設立: 1989年5月
出資総額: 7,000万円
代表者: 真杉幸市(代表理事)
業務: 組合員のための会計、庶務事務の代行、ソフトウェア共同受注/受注斡旋、組合員の事業に関する経営/技術の向上など

 現在、社員や派遣ではない、新しいタイプのIT技術者が増えている。それは、個人事業主としてフリーランスで活動しているIT技術者だ。彼らは、何らかの組織に属しているIT技術者とは異なり、専門分野のスキルをベースに仕事を選び、能力と交渉力次第で、高収入を得ることもできる。

 とはいえ、これまで企業に勤めていたIT技術者が、独立して継続的に仕事を獲得していくのは容易なことではない。その技術者がどんなにすぐれた技術を持っていたとしても、一個人としての立場は弱く、クライアント企業と直接契約を交わすのは難しいのが現実である。

 もっとも、クライアント企業の立場からすれば、これはある意味、当然のことだ。猫の手も借りたいほど忙しく、のどから手が出るほどIT技術者が必要だったとしても、過去にまったく取り引きのない、かつ、スキル・レベルもわからない、フリーのIT技術者に仕事を発注するわけにはいかない。そうしたなか、個人事業主であるIT技術者の就業に関してユニークな取り組みを展開し、IT技術者とクライアント企業の双方から注目されているのが、首都圏コンピュータ技術者協同組合(以下、同組合)である。

 同組合は、個人事業主として活動するIT技術者を組合員とする協同組合で、組合員に営業支援(案件紹介、契約代行、請求・回収業務ほか)や福利厚生(資格取得補助、無料健康診断、共済会ほか)、事務処理(確定申告サポート、税務相談ほか)などのサービスを提供している。その一方で、IT技術者を必要としているソフトウェア開発ベンダーやSIベンダーなどクライアント企業に対して、組合員の中から最適な人材を選んで紹介している。

 一見、派遣ビジネスと同様のビジネスにも思えるが、クライアント企業と契約する主体があくまでも個人事業主という点で根本的に異なる。そのため、契約内容はもちろん報酬もすべてガラス張りであり、成果はそのままIT技術者本人に還元される。同組合は、各IT技術者から契約金額の数%を手数料として受け取り、それで活動を維持する仕組みとなっている。

 現在、同組合には約1,400名のIT技術者が組合員として登録。現在も拡大を続けており、まずは組合員を3,000人程度にまで増やしていきたいという意向だ。規模が大きくなればなるほど、組合の社会に対する影響力が増し、組合員に対してより多くの利益を還元できるようになるからだ。将来は、大きな案件を組合として一括して受注し、コンサルタントやマネジャーも組合員として集結することでプロジェクトをまるごと担えるような体制を整えていく考えも持っているという。

組合員の拡大を背景に次期システムを構想

 しかしながら、組合員の数が増えれば増えるほど、その管理には膨大な手間が必要になる。同組合では、組合員のための情報管理システムを2002年に構築し、運用を続けてきたが、組合員の増加に伴い、機能や処理能力の面で限界が見え始めた。

 そこで同組合は、2004年9月から約半年の期間をかけて業務分析を行い、次期システムがどうあるべきかについて案を練ってきた。

写真1:首都圏コンピュータ技術者協同組合事業統括本部情報システム課マネジャー、有吉雪廣氏

 では、そもそも既存システムにはどんな問題があったのか。事業統括本部情報システム課のマネジャーを務める有吉雪廣氏(写真1)は、次のように語る。

 「機能単位に作られた小さなシステムが乱立し、それぞれが独自のデータベースを有している状態で、ほとんど連携が行われていなかった。そのため、紙の帳票を見ながらデータの突き合わせを行ったり、同じデータを別なシステムに再入力したりといった無駄が生じていた」

 ちなみに、同組合のシステムは、大別すると、組合員管理の全般を担う「業務システム」、請求や支払いなどの処理を担う「会計システム」、コールセンターや情報ポータルなどの機能を提供する「コミュニケーション・システム」、同組合の活動を支援する「事務局支援システム」の4つから成る。

 上記のような問題を改善するため、同組合はこの4つのシステムでバラバラだったデータベースを統合し、マスタ・データを共通化することを考えた。アプリケーション間の緊密な連携を実現し、業務プロセスを効率化していこうというわけだ。また、その基盤の上で、MRM(組合員リレーションシップ・マネジメント)やCRM(顧客リレーションシップ・マネジメント)、eラーニングなど、組合員やクライアント企業向けの、より充実したサービスを展開していこうという新たな方向性も打ち出した(図1)。

首都圏コンピュータ技術者協同組合の新システムのプラン

 「独自開発するにせよ、パッケージを導入するにせよ、合理的な形でビジネス・プロセスを改革していくことが、システム再構築の最大の狙いだった」と有吉氏。これまでバラバラに管理されていた各種のデータを統合データベースに集約していくことで、例えば、案件やIT技術者について詳細かつ多角的な分析を行うことができるようになり、より的確なマッチングや戦略的なマーケティングを展開することが可能となる。「拡大を続ける組合の活動を支えていく基盤として、この新システムはぜひとも実現したいテーマだった」(有吉氏)

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