CW_Welcomeバナー

SaaS

RSS

Salesforce.com Dreamforce '07リポート

新オンデマンド開発基盤「Force.com」でPaaS戦略の攻勢を強めるセールスフォース

目玉機能の「Visualforce」でGUI開発環境まで“サービス化”
(2007年10月26日)

2007年9月16日〜19日(米国時間)の4日間、米国カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニ・コンベンション・センターで、米国セールスフォース・ドットコムの年次ユーザー/ディベロッパー・コンファレンス「Dreamforce '07」が開催された。昨年、この場で「Apex」を発表して以来、オンデマンド開発プラットフォームに注力する同社は、今回のコンファレンスで、「Force.com」という新名称の下に、この領域にいっそう注力するスタンスを示した。本稿では、セールスフォース会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏の基調講演を中心に、同コンファレンスの模様をリポートする。



大川 泰
Computerworld編集部

38カ国から7,000人が参加し過去最大の開催規模となる

 ここ数年、企業におけるアプリケーション利用モデルとして、SaaS(Software as a Service)の人気は高まる一方だ。SaaSが好調な理由としては、さまざまな要因が考えられる。だが、その最大の立役者がセールスフォース・ドットコムであることに異論を唱える人はないだろう。現在、オラクルやSAP、マイクロソフトといったビッグ・ベンダーまでもがSaaSに取り組んでいるのは、創業時からオンデマンド・アプリケーションを専業とするセールスフォースの成功と、その成功を可能にしたSaaSというビジネス・モデルに危機感を抱いたことが大きいはずだ。

 SaaSが企業コンピューティング領域で重要度を増すのに伴い、セールスフォースへの注目度も高まっている。Dreamforce '07にもそうした状況が見てとれた。今回で5回目の開催となる同コンファレンスには38カ国から7,000人以上が参加。昨年の5,000人から大幅に伸び、開催規模は過去最大となった。

「Apex」発表から1年間開発プラットフォームに注力

 毎年秋ごろに行われるDreamforceでは、「Salesforce」次期バージョンの概要とともに、以降のセールスフォースの方向性を決定づける新たな戦略やテクノロジーの発表が恒例となっている。昨年を振り返れば、オンデマンド開発プラットフォーム/言語「Apex」が発表され、オンデマンド提供の範疇をアプリケーションから開発プラットフォームにまで拡大するという同社の方針が明らかにされた。

 以降の1年間、セールスフォースは、オンデマンド・プラットフォーム・プロバイダーとしての側面に注力してきた。なかでも、その姿勢が特に明確に示されたのは、今年4月の「Platform Edition」のリリース、そして7月の「PaaS(Platform as a Service:サービスとしてのプラットフォーム)」という新コンセプトの発表である。

 Platform Editionは、CRMやSFAといったアプリケーションのユーザーでなくても、Apexをはじめとするオンデマンド・アプリケーション開発のための各種機能を利用できるエディションだ。

 一方、PaaSは、「Salesforce Summer '07」のリリースとともに披露されたコンセプトである。Summer '07以前、Apexは開発者向けのプレビュー・リリースという形で提供されてきたが、このバージョンから正式リリースとなった。そうしたタイミングで発表されたPaaSコンセプトは、オンデマンド・モデルに基づく同社のビジネスが次のステージへと本格的に移行したことを印象づけるメッセージとなった。

 このような経緯から考えると、今回のDreamforce '07における最大の注目ポイントは、オンデマンド・プラットフォーム・プロバイダーとしてのセールスフォース、そしてSaaSという企業コンピューティングのあり方が、今後どのような方向に進もうとしているのかという点にあったと言える。

米国でも注目が集まった郵政公社4万5,000ユーザーの事例



写真1:セールスフォース会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏。Force.comが発表された同氏の基調講演では、PaaSにいっそう注力する姿勢が明らかにされた

 開催2日目となる17日、セールスフォースの会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏が基調講演を行った(写真1)。

 基調講演に登壇したベニオフ氏は、セールスフォースの業績に言及し、その好調ぶりをアピールした。同氏によれば、Salesforceの採用企業数は3万5,300社を超えたという。その中には、3万ユーザーが利用するシスコシステムズ、4万ユーザーのデルといった大規模ユーザーも含まれている。

 そして、ベニオフ氏が最も誇らしそうに披露したのが、4万5,000ユーザーが利用するアプリケーションのためにSalesforceを導入した日本郵政公社である。この事例については、同氏以外のセールスフォースのキーパーソンたちもさまざまなシーンで話題に出し、プレス向けのQ&Aセッションでは「ジャパン・ポスト(日本郵政公社)とは、そんなにすごい組織なのか」という質問が出たほどだ。郵政公社のSalesforce導入は、同社にとって相当のインパクトがあったことが理解できる。

「Force.com」という新名称でPaaSへの注力をあらためて強調

 いよいよ本題――Salesforce次期バージョンの概要と新たな戦略/テクノロジー――に入ろうというときにベニオフ氏は、「例年であれば、これからアプリケーションの新バージョンを紹介するところだが、今年はプラットフォームに関する話題から始めたい」と話を切り出した。

 ベニオフ氏は、「もともとセールスフォースのビジネスは、SFAのオンデマンド提供というシンプルな形態だったが、多くの顧客のさまざまなニーズにこたえようと、多様なアプリケーションを追加していった。例えば、カスタマー・サポートやコンタクト・リスト、モバイル対応といったものだ」と、Salesforceの進化過程を振り返った。その進化の1つが開発プラットフォームのオンデマンド提供、つまりPaaSである。

 「業種や業務によって必要とする機能が異なるのは当然だ。だが、当社だけですべてのニーズにこたえることはできない。そこで、開発プラットフォームの提供に至ったのだ」(ベニオフ氏)。パートナーやユーザー企業が必要なアプリケーションを容易に開発できる環境を提供するとともに、オンデマンド・アプリケーション共有サービス「AppExchange」を通してカスタム・アプリケーションを流通させることで、より広範かつ詳細なニーズにこたえようとするのが現在の同社のねらいだ。

 ところが、その一方で、アプリケーションの多様化によってSalesforceの機能群を把握しづらくなっているという弊害が出てきた。「Salesforceがどのような機能を持っているのかを知らないユーザーが多いことがわかった。これは、われわれにとって非常にショックなことだった」とベニオフ氏。そうした状況を改善するために、「もっと適切な名称が必要だという考えに至った」のだという。

 こうした意向の下に、セールスフォースがオンデマンド開発プラットフォームの新名称として選んだのが、「Force.com」である。従来は開発プラットフォームが「Apexプラットフォーム」、開発言語が「Apexコード」と呼ばれていたが、次期バージョンからForce.comという名称が開発プラットフォームに適用される。なお、開発言語は、“コード”という語は含まないが引き続き「Apex」という名称で呼ばれることになる。

記事詳細テキストバナー

ページの先頭へ戻る