米国Salesforce.comのCMO、SaaS World 2007で同社の取り組みを披露
「SaaSの真価はインフラ提供ではなくイノベーションの実現にある」11月28日〜29日の2日間、都内でSaaS World 2007が開催されている。初日の基調講演には米国Salesforce.comのCMO(最高マーケティング責任者)、クラランス・ソー(Clarence So)氏が登壇し、開発プラットフォームをオンデマンド提供するというPaaS(Platform as a Service)をはじめ、同社の取り組みを披露した。
Salesforce.comは現在、日本を含む世界20カ国に40の拠点を持ち、3万8,100社以上の顧客企業において90万以上のユーザーを抱えている。So氏はまず、同社が創業した1999年当時を振り返り、多くの企業が「ソフトウェアの終焉」を望んでいたと指摘、そのために新たなプラットフォームが必要とされていたと語った。そうしたニーズに応えようと登場したのが同社のオンデマンド・アプリケーション「Salesforce」である。
SaaSという形態で提供される同サービスがユーザーに受け入れられた理由としてSo氏は、「単一のコードを複数ユーザーで共有する『マルチテナント』と『サブスクリプション(従量課金制)』という2点が大きなメリットとして認識された」と指摘した。マルチテナントで低価格化を図れることに加え、サブスクリプション方式によって使った分だけ料金を支払えば済むようになる。
現在のSalesforceは、顧客からの要望を反映させながら、「絶え間ないイノベーションの結果として構築されたものだ」とSo氏は語った。8年間で24回のバージョンアップを重ね、1回のバージョンアップで100以上の新機能を追加してきたとのことだ。このような迅速なバージョンアップもSaaSだからこそ可能だと言える。
So氏は、SaaSの利用を検討する際には2つのことを考えてほしいと語った。その1つは「何を使うか(What will you run)」ということ。もう1つは「プラットフォームの上で何を作るか(What will you build)」ということである。
近年の同社はPaaS戦略に注力しており、9月には新たなオンデマンド・プラットフォームの「Force.com」を発表した。Force.comでは、CRM/SFAなどのSalesforceアプリケーションのカスタマイズが可能なほか、必要とするアプリケーションを自由に開発・実行することができる。「ユーザーが使いたい機能を提供できる」とSo氏は強調した。
ここで重要なポイントは、プラットフォームとして必要な機能、すなわちアプリケーション・サービスや運用サービス、受発注のようなビジネス・サービスなどはForce.comがすべて提供し、ユーザーはその上で何をやりたいのかだけに力を注げばいいということだ。このメリットをSo氏は、「楽しいことだけを考えればよい」と表現した。ユーザーが技術面の問題に心を砕くことなく、イノベーションだけに集中できるようにするのがForce.comであるというわけだ。
So氏は、Force.comの事例も紹介した。その1つが米国Walt Disneyが利用するキャラクター管理アプリケーションである。Disneyでは、例えば同じ時間に別の場所でミッキーマウスが登場しないようにするなど、キャラクターの管理を徹底している。そのためのアプリケーションは当然、独自に開発する必要があったが、Force.comを利用することでおよそ96時間で構築できたという。
また、Force.comの目玉機能となる「Visualforce」についても、デモを交えて披露された。これは、ユーザー・インタフェース(UI)をカスタマイズするための機能で、モバイル端末やキオスク端末といったPC以外にも、SalesforoceアプリケーションのUIを提供可能とするものだ。
「いずれにしても、共通となるテーマはインフラではなくイノベーション。今後のビジネスにおいて重要なポジションとなるのは、整備されたインフラの上でイノベーションを起こすことができる“Chief Innovation Officer(最高イノベーション責任者)”だろう」(So氏)
(杉山貴章)
























