「SaaSはSIパートナーにもメリットが大きい」――Salesforce.comのSo氏
競合ベンダーの動きが活発化するなか、PaaS戦略にいっそうの自信を見せるSalesforce.comは、開発プラットフォームを「Force.com」に刷新し、いっそうPaaS(Platform as a Service:サービスとしてのプラットフォーム)への注力度合いを高めている。編集部では、SaaS World 2007の基調講演のために来日した米国Salesforce.comのCMO(最高マーケティング責任者)、クラランス・ソー(Clarence So)氏にインタビューを行い、顧客・パートナーのForce.comに対する反応や、パートナー戦略などについて聞いた。
大川 泰
Computerworld編集部
――「Force.com」と「Visualforce」の発表から2カ月ほど経過した。顧客およびパートナーからはどのような反応があったのだろうか。
So氏:顧客からもパートナーからも非常にポジティブな反応が返ってきている。特にVisualforceに関しては、そのプレビュー版を見た数多くの開発者が賛同の意向を示し、すでにアプリケーション開発への適用を試みている。
すべての開発状況を把握しているわけではないが、例えば、Codaというパートナー企業はERPの開発にVisualforceを活用しているし、Callidus Softwareはセールス・インセンティブ・アプリケーションに適用している。このほかにも、数多くのパートナーが、アプリケーションのインタフェース開発にVisualforceを使っている。
――開発プラットフォームを提供するネットスイートが日本国内でも本格展開するなど、競合SaaSベンダーの動きも活発化している。こうした動きをどのように見ているのか。
So氏:われわれとしては、多くの競合企業が出てくることを望んでいる。SaaS市場に多数のプレーヤーが登場するのはユーザーにとって有益なことであり、また、それによってわれわれも強くなることができる。もちろん、そうした状況の中でわれわれは、SaaS市場におけるリーダーとしての地位を維持していくつもりだ。
開発プラットフォームに関して言えば、そのプラットフォームを活用している顧客を有しているのか、また、セキュリティからユーザー・インタフェースまであらゆるレベルで対応しているのか、そして、実際に顧客の成功に貢献しているのかといった点に目を向けていただきたい。われわれはさまざまな競合企業に直面することになるだろうが、そうした点が差別化要因になると考えている。
――SIerなどのパートナー企業にとっては、SaaSよりもパッケージ・ソフトを販売したほうが利幅が大きいと想像できる。パートナーがSaaSを提供するメリットはどのような点にあるのだろうか。
So氏:まずは、マージンにフォーカスするのは間違った戦略だと思う。パートナーが戦略として集中すべき点は、あくまでも顧客の成功である。顧客が成功すれば多くのマージンを獲得できるようになり、パートナー自身の成功につながる。
かつては複雑な手法で長期にわたって開発業務を行うのが常だった。だが、現在の顧客は、より迅速に成功を収めることを求めている。そのためには、インフラの開発・提供に終始するのではなく、顧客のイノベーションに焦点を定めなければならない。そうした点から、今日の顧客ニーズに応えるにはSaaSモデルが有効であり、これはパートナーにとって強力な武器となるはずだ。
また、CRMのようなアプリケーションは、かつては大規模企業だけが使えるものだったが、SaaSモデルの登場によって、あらゆる規模の企業が利用できるようになった。つまり、パートナーにとっては顧客の裾野が広がったわけだ。
例えば、マイクロソフトは非常に大規模なパートナー網を有している。その中には、小・中規模の顧客を対象にSI業務やトレーニングを行っている企業もあれば、より高度なマイクロソフトの技術を実装している最大手のSIerも含まれている。今日のSaaS市場では、このように多様な顧客と取り引きできるチャンスが生まれてきているのだ。そして、今後のPaaSの普及を考えれば、そうしたチャンスはより大きなものになるだろう。
――SaaSの普及に向けた障壁があるとすれば、どのようなものだろうか。
So氏:それは、教育と認知度の問題だけだろう。現在、最も普及しているSaaSアプリケーションとしては、Webメールが挙げられる。すでに多くの人が、専用のメール・クライアント・アプリケーションを捨てて、Yahoo!メールやGmailを抵抗なく受け入れている。教育を通してSaaSの認知度を高めれば、メールという用途から、予定表、コンタクト情報、アカウント情報、CRMといったところまでSaaSの活用範囲を広げることができるはずだ。
























