レッドハット、「ユーザーが自ら開発を行う時代へ」
レッドハットフォーラム2011基調講演レッドハットは6月15日、経営の視点からのOSSイベントである「レッドハットフォーラム2011」を開催した。同フォーラムの基調講演では、同社社長の廣川裕司氏によるレッドハットのこれまでの実績や今後の戦略、そして米国レッドハットのCEOジム・ホワイトハースト(Jim Whitehurst)氏によるクラウド時代を後押ししたオープンソース・ソフトウェアについて語られた。
廣川氏は、2008年から2015年までのサーバOS市場の動向について調査資料を使って語った。それによると、2009年日本市場のサーバOSシェアは、Windowsやメインフレーム、UNIXが軒並みシェアを落としたのに対し、唯一Linuxのみがシェアを伸ばした、という。2011年にはメインフレームを越えて、2015年にはWindowsと拮抗するシェアを確保できる、と同氏は語る。
また、メインフレームやUNIXからの移行ではなくWindowsからLinuxへ移行したと回答したユーザーが52.6%となった調査結果について、廣川氏は「ユーザーがLinuxを信頼し、利便性を理解してくれたからこそ、Windowsからの移行が増えたのかもしれない」と見解を語った。
ホワイトハースト氏は、レッドハットのこれまでの歩みからオープンソースについての期待を語った。同社は2007年から各年20〜30%の成長を遂げているという。順調な成長を続けている理由について同氏は、「金融不況により企業のIT部門は予算を取れなくなってしまった。そのため、コスト削減と要求に対して柔軟に対応できるオープンソースに目を向けた企業が多かった」と分析。
レッドハットは、Linux OS市場では82%という大きなシェアを持っている。だが、ホワイトハースト氏は「Linux OSだけではなく、様々な領域に挑戦をしてきた」と語る。その1つに同社が2006年から提供を開始した企業向けのミドルウェア「JBoss」がある。2008年には、サービス指向アーキテクチャ「JBoss Enterprise SOA Platform」の提供を開始し、オープンソース・ソフトウェアのソリューション化への体制を整えた。
そしてホワイトハースト氏は、Linuxベースの仮想化技術「KVM(Kernerl-based Virtual Machine)」など、Linuxが時代に遅れることなく進化し続けてきたことを強調する。同氏は「こうした努力が、ITテクノロジーで最先端を行く企業に早くから注目を浴び採用された」と語る。
初期のLinuxはIT関係企業だけが注目していたが、現在ではITに関係しない企業にも導入されている。その一例として証券会社の例を挙げた。現在、世界の証券取引所では、1日数兆ドル規模で取引が行われているが、このうち50%(世界の26の証券取引所、APACのトップ5証券取引所の全てを含む)以上がレッドハットベースで行われている、という。「銀行、保険、証券取引所など、元々保守的だった企業がオープンソースのセキュリティの高さを認め、使っている」(ホワイトハースト氏)。
また、ホワイトハースト氏はクラウド・コンピューティングについて「初めてユーザーが問題を解決できる力を持った」と、自身の見解を語った。これまで同氏の下には、世界中のベンダーからクラウドの話が持ち込まれたというが、「ベンダーが話す“クラウド”は、Google、Amazon.com、Facebook、Yahoo!、Salesforce.comなど、IT系のユーザー企業が自社の問題を解決するために開発した技術ばかりだった」という。
さらに、「自社開発を支えたのはオープンソース」とホワイトハースト氏は付け加えた。「ユーザーが自らの課題を解決するための技術をパッケージングして販売している」と、同氏はクラウド市場について改めてこう指摘した。
このようにLinux、そしてオープンソースは着実に実績を重ね、ユーザーの信頼を勝ち得てきた。最後にホワイトハースト氏は「クラウドは、イノベーションの新しい方法である。ユーザーによって動かされるのがクラウド。これに対し、選択肢を増やす事がイノベーションを起こす後押しとなる」と、Linuxのリーダー企業としての責務を語った。
※お詫びと訂正: 当初掲載していた説明に誤りがありました。「世界の証券取引所では1日数兆ドル規模で取引が行われているが、現在これがすべてレッドハットベースで行われている」と表記しておりましたが、正しくは「世界の証券取引所では、1日数兆ドル規模で取引が行われているが、この50%(世界の26の証券取引所、APACのトップ5証券取引所の全てを含む)がレッドハットベースで行われている」となります。お詫びして訂正いたします。(2011/06/16 16:09 編集部)
(Computerworld.jp)



























