第3回 混乱した情報システム部門、からみ合った業務プロセスを整理する
ヘルプデスク以外にも役立つ、業務サービス管理前回はERPの導入プロジェクトを契機にして、ヘルプデスク業務のインシデント管理などを見える化した事例を紹介した。システム運用監視の自動化に片寄りがちな情報システム部門において、人とプロセスの見える化こそ、組織のボトルネックやパフォーマンスを改善して、業務効率化とサービスレベルの向上という面で大きな効果を上げるきっかけとなるだろう。
業務プロセス管理は、システム運用に関わる様々な業務サービスに応用できる。そこで今回は、インシデント管理以外の事例として、PC資産管理業務とインフラ運用業務での活用例を紹介する。まずは、それぞれの状況と課題を整理してみよう。
● 現状把握とトラブル対応に奔走するPC資産管理
今やデスクワークでは、ひとり1台のPCが必要不可欠なものになっている。このため、多数の従業員を抱える企業にとって、数百台~数千台というPCを全社に配備する「PC資産管理業務」は非常に重要なテーマだ。最近では、通常のPC以外に、スマートフォンやタブレットなどのモバイル・デバイスや、デスクトップ仮想化によるPCのサービス化、シンクライアント導入に取り組む企業も登場し、さらには、業務効率の向上はもちろんのこと、的確なスペックのPCを適時・適切に配備することがIT統制の面からも不可欠となっている。
このような「PC資産管理業務」では、マシンの調達から納入・設置、運用・サポート、破棄といった一連の流れをライフサイクルとして把握していくのが一般的だが、図1のように整理されていれば、混乱は少ないだろう。どちらかというと、管理すべき項目が膨大で、かつ関連する部署・業務・問い合せが多く、現状の把握と対応に多くの手間をかけているのが現状ではないだろうか。
● 仮想化と自動化で、人の手間が増大するインフラ運用管理
さて、情報システム部門にとってもうひとつ重要な業務に、大規模な情報システムを稼働させるシステム基盤の運用管理がある。ここ数年続いてきたコスト最適化や、仮想化・クラウドや自動化技術の進歩により、システム基盤管理の実務現場は次のような状況に陥っていないだろうか(図2)。
● 共通の解決策は、業務サービス管理
以上、「PC資産管理業務」と「インフラ運用業務」という2つの業務の状況を俯瞰してみた。前回のヘルプデスク業務でのインシデント管理と合わせて、これらは共通の課題を持っていることに、お気づきだろうか。それは、
業務手順(プロセス)と状況(ステータス)が関係者間で見える化できていない
という点だ。そのために、業務が属人化し、トラブル対応が必要になっても優先順位付けがきちんとできず、場当たり的になってしまうのだ。現状を定性的・定量的に把握できていなければ、業務のボトルネックやパフォーマンスを改善も難しい。
そこで、前回紹介した、ヘルプデスク業務のインシデント管理などを見える化した事例を思い出してほしい。ここでは、ステータス管理型のワークフローにより業務サービス管理を実現していた。ワークフローといっても、申請承認などのワークフローではなく、ソフトウェア開発などに使われる案件管理/課題管理に近いものだ。
前回ほとんど説明しなかったが、この業務ステータス管理はたとえば次のようになっている(図3)。ヘルプデスクへの問い合わせなどを、このようなプロセスに従って管理していく。
このような業務管理プロセスは、PC資産管理業務のインシデントやインフラ運用業務のインシデントでも利用できる。ただし、PC資産管理業務とインフラ運用業務では、それぞれ異なるステータスを持つ。また、外部の協力企業など情報を共有する相手も異なる。そこで、部門ごとに異なる業務プロセスとして独立して管理することになる。
● 業務プロセスが連鎖する
業務プロセスを独立して管理するといっても、まったく別々のシステムに行うのではない。各業務は、疎結合の部分があるからだ。たとえば、ヘルプデスクに対する問い合せを、PC資産管理にエスカレーションすることもあるだろうし、インフラ運用と連携する場合もあるだろう。
そこで、各業務プロセス間でエスカレーションを可能にする(図4)。この業務プロセス間の連携により、業務間の連携ミスも防止できる。ヘルプデスクとPC資産管理で、問い合わせ情報を2重入力するといった2度手間も解消できる。
このようにして、情報システム部門における人と業務プロセスの多くの部分について、見える化・システム化が実現できる。このとき、大々的にワークフロー・システムを導入しなくても、必要最小限の業務からスモール・スタートして、徐々に適用業務を増やしていくといったアプローチも可能になることは、前回説明したとおりだ。また、クラウド型ツールを利用することで、本社の情報システム部門のほかに、ヘルプデスクを担当するグループ会社、システム運用の実務を担当するグループ会社など、複数の組織・拠点に分散している場合でも、情報共有が容易になる。
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このような業務プロセス管理は、ベンダー管理にも広げることが可能だ。次回は、業務プロセス管理と、アウトソーシングを活用したコスト最適化をどのように両立させるのか考えてみたい。






























