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「夢のチケット買いませんか」——Webサービスが覆す映画業界の“常識”

株式会社Bluem
(2011年11月30日)

映画専門共同購入サービス「ドリパス」とは?

 「ドリパス」は、フラッシュマーケティング(期限付きの共同購入)方式を採用した映画チケットの販売サービスだ。ただし、そこで販売されるのは、一般的な封切映画のチケットではなく、ドリパスが独自に上映を企画した、ほかでは購入できないオリジナルの「上映企画チケット」である。

 チケットの販売期間中に購入者が一定数に達すれば、その上映企画が成立し、購入者は映画を見ることができる。一方、購入者が不足していた場合は、企画は流れて上映も行われない(その場合、購入費用は発生しない)。

 上映企画として取り上げるのは、すでに劇場公開が終了し、通常は映画館では見られない作品が中心となる。また、企画によっては、関係者の舞台挨拶やグッズのプレゼントといった特典が付く場合もある。このほかにも、特定の映画の製作資金を支援するための「映画製作支援チケット」の販売も行っている。

映画の「編成権」を観客に渡したい

——まずは、「ドリパス」を始めた理由から教えてください。

Bluem 代表取締役 五十嵐壮太郎氏

五十嵐
 私自身、映画が好きでよく見に行きます。その中で、映画館で上映される作品はどう決まるのか興味を持ったのが最初のきっかけでした。調べてみると、実は上映作品の最終的な決定権は「小売り」に当たる映画館にある。しかし、ほとんどの映画館では、興行収入を手堅く得られる新作の上映に偏りがちで、結果として多くの映画館で同じ映画を上映してしまっているのが実情です。

 そこで、いっそのこと、上映する作品を決める「編成権」を観客自身が持つことはできないかと考えたのです。

——ドリパスでは、作品を上映するか否かをチケットの販売数で決めています。こうした「共同購入」の仕組みを取り入れた背景は何でしょうか。

五十嵐
 「期限付きの共同購入」という方式は、米国でのグルーポンの普及などを見て以前から注目していました。単なる決済モデルとしてだけでなく、不特定多数の人間が集まって何かを実現するための仕組みとして優れていると感じたからです。

 一方で、グルーポンや他の多くの共同購入サイトでは、購入する商品やサービスの「値引き」という手法を多用しています。こうした値引きを用いる集客手法は、映画ではあまり有効ではないとも考えていました。映画を見るときには、映画館への往復も含めて数時間を要します。その時間を割いてもらうための「動機付け」のほうが大切ではないかと思ったのです。

 その1つの答えが共同購入です。ドリパスでチケットを購入した人は「自分が見たい映画を上映する」という目的を互いに共有することになります。こうした企画実現に向けたプロセスに参加する「当事者感覚」は、その作品を好きな人に強くアピールするでしょうし、単なる値引きよりも映画館に足を運んでもらうきっかけになると考えています。

——前例のないサービスです。それゆえ、映画館とのコネクション作りなど、起業当初は苦労も多かったのでは?

五十嵐
 確かに、最初は一部の映画館を除いて、「お客さんが上映作品を決めるなんて、ありえない」と映画館側の理解をなかなか得られませんでした。これについては、地道に1館1館説得して回りました。また、ありがたいことに、そうした中で、すでに付き合いのある映画館の方に、別の映画館を紹介してもらうケースも出てきました。

 一方、サービス開始当初は、チケットの販売数が伸び悩み、上映するまでに到らない企画が少なくなかったことも大きな問題でした。

——販売不振を打開するきっかけは何だったのでしょうか。

ドリパストップページ(クリックでリンク)

五十嵐
 ユーザーから受け付けていた見たい作品のリクエストが、大きなヒントになりました。当初考えていたいわゆる「往年の名画」の再上映よりも、例えば怪獣映画の名作といった比較的マニアックな作品のリクエストが多いこと、また公開時の興行成績の善し悪しにかかわらず、その作品や監督自体に一定のファン層がいると、再上映を実現するための人数が集まりやすいことなどがわかったのです。現在は、こうしたリクエストの傾向も参考にしながら上映企画を立てています。

 加えて、映画館側から企画が持ち込まれるケースも出てきました。ドリパスが採用する共同購入方式は、実は映画館にとっても大きなメリットがあります。上映前の段階で一定の観客数を見込めますし、チケットの販売数が定員に満たなかった作品は上映しなくてよいので、余計なコストもかかりません。

 例えば、先日は、「ハロウィーンの時期に合わせてゾンビ映画を上映したい」というある映画館からの依頼で立てた企画が上映にこぎ着けました。こうした単発の企画や、通常の上映方法では採算割れのおそれがある作品でも、ドリパスを使えば気軽にチャレンジしてもらえると思います。

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