企業ユーザーのためのソーシャル・メディア利用ポリシー考現学
許可/禁止の境界線は? 個人の活動に制限を設けるべきか…。多くの企業では、特定のWebサイトやソーシャル・メディアへのアクセスを禁止している。しかし東日本大震災ではソーシャル・メディアが一定の役割を担った。今回の震災からソーシャル・メディアへの接続を見直す企業も多いだろう。では、どのような接続ポリシーにすればよいのだろうか。本稿では、企業システムからソーシャル・メディアを利用する場合に、考慮すべき点について考えてみたい。
ソーシャル・メディアの特性を理解する
一口に「ソーシャル・メディア」と言っても、さまざまな種類があり、その特性は異なる。まずは、ソーシャル・メディアに対する筆者の解釈を明確にしよう。
■ブログ
旧メディアで例えるなら雑誌。一つのテーマに対して突っ込んだ内容も書けるが即時性に劣る。多くのブログは一つの記事が数百文字程度で、それ以下だと体裁が悪い。震災下でブログを書く余裕のある人は多くないだろう。
旧メディアで例えるなら新聞。リアルタイム性が強く、Twitterよりも保存性がよい。写真も掲載できる。震災後、少し落ち着いてから被災地の状況を発信するには便利である。ほかのSNSと違い、情報の多くが不特定多数に公開されているのが特徴。
■SNS
旧メディアで例えるなら業界紙、あるいは宅配専門の雑誌。位置付けとしてはFacebookに近いが、基本的に閉鎖環境で利用される。「サロン」と表現したほうがわかりやすいかもしれない。ソーシャル・ゲームを提供するサービスもSNSの一つと考えてよいだろう。
旧メディアで例えるなら放送。基本的にはリアルタイム・コミュニケーションしかない。初期の頃「今、〜している」という意味で「〜なう」という表現が流行したが、「今」を共有するのがTwitterの本質だ。現在の被害報告や、今すぐ必要な情報を要求する場合に便利である。
付け加えると、作り込まれたWebサイトは書籍に似ている。1つのテーマに対して深く掘り下げた内容を記述できるが、速報性で劣る。ブログで数千文字を超えると、なかなか読んでもらえないが、最初から長文用に構成したWebサイトなら、なんとか読める。
社員が“個人”として情報公開する理由
ソーシャル・メディアの利用は、企業PR部門の大きな課題である。無視することはできないが、制御することも難しい。ではどのような利用ポリシーを策定すべきだろうか。
ここで考慮すべきは、ソーシャル・メディアの登場によって変化した消費者の購買意志決定モデルである。
従来、消費者が商品の購入決定をする際には、意思決定モデル(プロセス)があると言われている。消費者はその製品に注目し(Attention)、次に興味をもち(Interest )、欲しいと思い(Desire)、記憶に残った(Memory)あとで購買行動に出る(Action)。この意志決定モデルを各段階の頭文字を取って「AIDMA」と呼ぶ(Mを抜いてAIDAとする場合もある)。
その後インターネットが普及し、検索エンジンとブログの発達により、「AISAS」というモデルが提唱された。これは注目(Attention)、興味(Interest)、検索(Search)、購買行動(Action)、評価の共有(Share)という流れだ。
また最近では、ソーシャル・メディアによるコミュニティ内では「SIPS」モデルが機能すると言われている。次ページのような共感(Sympathize)、確認(Identify)、参加(Participate)、共有・拡散(Share&Spread)という流れだ。
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