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ウォルマート、RFID導入計画を一部変更

導入店舗数は1,000に到達も、物流センターの計画には遅れが
(2007年03月08日)

 小売大手の米国ウォルマート・ストアーズでは、RFID(Radio Frequency Identification)を利用する店舗数が4月までに1,000店に達する見通しとなった。その一方で、同社の物流センターでのRFID導入は予定どおり進んでおらず、アナリストとユーザーの一部からは計画の先行きを懸念する声も出ている。

 ウォルマートの広報担当者によると、2006年末までに137の同社物流センターのうち12のセンターでRFID技術を導入するという当初目標を達成できなかったという。その理由について、同社のRFID&配送システム担当ディレクター、サイモン・ラングフォード氏は、「店舗のRFID対応に専念する方針に変わったため」と説明している。

 ウォルマートは、米国防総省とともに、RFID導入を推進する世界有数の先進ユーザーとして広く知られている。


 ウォルマートがRFID導入計画を開始したのは10年前のこと。当時、主要サプライヤー100社に対し、2005年1月までに商品の梱包ケースおよびパレットのすべてにRFIDタグを取り付けるよう義務づけた。現在、RFID対応サプライヤーは600社に上っている。

 ラングフォード氏は、物流センターのRFID導入こそ遅れたものの、ウォルマートのRFIDへの取り組み全般は計画どおり順調に運んでいるとし、むしろ「(RFID導入のペースは)昨年より早まっている」と強調する。

 だが今回のウォルマートの方針転換について、ABIリサーチのアナリスト、マイケル・リアード氏は、ウォルマートが目指すサプライチェーンの可視性を強化する取り組み全体が遅れると見ている。

 物流センターにRFIDが導入されれば、サプライヤーからの商品の入荷状況を把握できるようになるが、導入できなければ、商品の状況を知ることができず、ウォルマートはRFID技術がサプライチェーンにもたらすメリットをフルに活用することができない、と同氏は指摘する。

 これに対し、ウォルマートのラングフォード氏は、まず店舗でRFID技術を導入すれば、在庫を監視したり、問題にすぐに対応したりすることが可能になり、需要の急増に早急に対応しなければならないサプライヤーとウォルマートとの協力態勢が強化されると反論する。

 RFID技術により、各店舗は在庫切れ商品を減らし、陳列棚を常に商品でいっぱいにすることができるというのがラングフォード氏の主張だ。ウォルマートにおけるRFID対応店舗数は、2005年1月時点では100店舗にすぎなかったが、今年4月末に1,000店舗に到達する見通しだ。

 「当社は店舗レベルのRFID対応を重視している。社内(物流センター)だけに注力すれば、サプライヤーには何のメリットも提供できなくなる。RFID導入への道を歩み始めた際、われわれはどうすればサプライヤーの売上げを増加させ、顧客のために陳列棚に商品を用意できるかを熟慮し、何よりも(サプライヤーと)ともに享受できるメリットを優先させた」(同氏)

 ラングフォード氏は、RFID技術の利用により、商品の在庫切れが30%減少し、店舗倉庫から陳列棚への商品の移動効率が60%向上したと評価している。

 「店舗におけるRFID導入によって、初期段階の成果が見えてきたところだ。物流センターでの導入はもう少しあとになる」(同氏)

 RFIDが同社の全物流センターで採用される時期について、ラングフォード氏は明言を避けた。ただし、現在RFIDを導入している5つのセンターでは、すでにサプライチェーンの効率が向上していると説明した。

 そのうえで同氏は、「当面は、店舗と店員が入荷物を商品棚に移すプロセスの支援に専念する必要がある」と強調している。

【サプライヤー事例】
米国プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)

 P&G(オハイオ州シンシナティ)は、ウォルマートが商品へのRFIDチップ取り付けを義務づけた主要サプライヤー100社の1社である。同社では、このプロジェクトによって、特にタイミングが重視されるプロモーション期間中の商品の配送プロセスの精度が向上したとしている。

 この点について、同社グローバル・オペレーション担当広報のポール・フォックス氏は、「正しい製品を正しい時間に正しい場所に確実に配送できることは、何事にも代え難い」と説明する。

 「(RFID導入によって)当社内で大幅な業務改善が進んでおり、さまざまなプロセスの合理化とさらなる効率化が促進されている。どの商品が出荷されるのかを把握でき、商品ケースの誤配や数量ミスがなくなった」(同氏)

 RFID技術がもたらすメリットは、従来のバーコード・システムよりもはるかに大きいという。例えば、バーコードとは異なり、RFIDタグはそれぞれ固有のIDを持つため、作業員が同じRFIDタグを誤って2回スキャンすることもなくなる。

 P&GではRFIDによる自動化によって、物流センターへの商品の配送プロセスも短縮したという。これまでは、パレットにはり付けられたバーコード・データを手作業で読み取るのに20秒かかっていたが、RFIDの導入によって5秒で済むようになったという。

 1999年当時は1枚2ドルだったRFIDタグの価格も現在では10セント未満となり、経済面でも有望な技術になったと同氏は話している。

 P&GがRFID技術にこれまで投じた資金(フォックス氏によれば数百万ドル)は回収されつつあるという。「基本的に、当社とウォルマートとの実りあるコラボレーションとして評価している」(同氏)

 もっとも一部のアナリストは、ウォルマートのRFIDプロジェクトがすべてのサプライヤーに恩恵を与えていると評価するには至っていない。ABIリサーチのアナリスト、マイケル・リアード氏は、RFID技術のコスト効果がバーコード・システムよりもはるかに優れているかどうかを見極めるには、今後さらなるデータの収集が必要だとしている。

 実際、ウォルマートのRFID&配送システム担当ディレクター、サイモン・ラングフォード氏は、(RFIDによって)業務効率と精度が改善したのは第2世代のRFID技術を採用してからだと説明する。

 同氏によると、ウォルマートの主要サプライヤー100社が2005年にRFID技術を導入した当初は、この技術の使い方を学ぶのに苦労した企業もあったという。しかし、こうした早期導入者の教訓のおかげで、このあとに続いた小規模サプライヤーのRFID導入はスムーズに進んだ、と同氏は強調している。

(マーク・ソンジニ/Computerworld オンライン米国版)

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