大手企業で「iPhone」によるサポート・コストの削減に成功
iPhoneの導入は社員の満足度と生産性の向上を大いに期待できる──フォレスター社員に「iPhone」を使用させた場合の安全性と管理性に不安を感じている企業は少なくないが、Forrester Researchの調査によれば、3社の大手企業が何千台ものiPhoneを導入し、成功を収めているという。
企業におけるiPhone導入のいちばんのメリットは、社員の満足感と生産性の向上にあると、Forrester Researchは4月13日に発表したレポートの中で述べた。
米国Kraft Foods、米国Oracle、米国Amylin Pharmaceuticalsの3社について12ページにおよぶレポートを執筆したテッド・シャドラー(Ted Schadler)氏は、メリットはそれ以外にもあると書いている。「調査対象とした企業は、社員を幸せな気持ちにさせて生産性を上げるばかりでなく、サポート・コストの削減にも貢献したという点が、ほかの携帯デバイスにないiPhoneのメリットだと話していた」
「コンシューマITがエンタープライズITを凌駕するケースがしばしば見受けられる“テクノロジー大衆主義”が幅を利かせている現代では、社員に好きなツールを使わせたほうがうまくいく場合がある。社員がiPhoneを使用して幸福になるなら、それを積極的に支援したほうがよいだろう。やる気を増した社員と、ITと社員の新たなコミュニケーション・パイプという見返りが得られるはずだ」(シャドラー氏)
とはいえ、iPhoneを導入する際にまったくトラブルがないわけではない。例えば、カレンダー機能を使った場合のiPhoneと「ActiveSync」との連係は、「エンド・ユーザーが抱える最大の問題」だと同氏は説明した。
シャドラー氏による3社の調査レポートでは、管理ツールやメッセージ配信保証ツールに関しては、「BlackBerry Enterprise Server」より性能が劣ることもわかっている。そのほか、一部のユーザーがVPN(Virtual Private LAN)のサポートを受けられない、カット&ペースト機能がない、Flashに対応していないといった問題があるそうだ。だがこれらの問題も、今夏に次期バージョンの「iPhone 3.0」が出荷されれば解決するだろう。
Kraftでは、2009年1月時点で2,000人近い社員がiPhoneを使用しており、ユーザー数は年末までに4,000人を超える見込みだ。iPhoneの使用を認めることについて、社内のグループに「新技術の活用」を促し、ひいては企業文化の変革が可能になるところが重要なメリットだと同社では考えている。一方で、カレンダーの同期と、個人契約している電話のアカウントからAT&Tの企業用アカウントへ社員を移す作業が、直面しているいちばんの問題だという。
Oracleにおいては、1月時点で約4,000名の社員がiPhoneを使っていた。年内に、さらに幾つかのアプリケーションを同デバイスに追加する計画を立てているそうである。OracleのIT部門は、iPhoneを導入したことで、どこへでも持ち運べるコラボレーション・アプリケーションおよびビジネス・アプリケーションを社員に提供できるようになった。しかし、管理ツールが未熟であるという問題も残っている。
Amylinで2月にiPhoneを使用していた社員の数はおよそ150人だが、やはり年末までには650人へ増える見込みだとForresterは述べている。iPhone導入の主なメリットは、ほかのデバイスを使っていたころよりもユーザービリティが向上したこと、音声およびデータ通信プランの年間契約料を1デバイスあたり360ドル節約できたことなどだという。ただし、社員はまるでノートブックPCかネットブックのようにiPhoneを酷使し、電子メールのやり取り以上の作業をするため、バッテリーがすぐに切れてしまう点に不便を感じているそうだ。
シャドラー氏は今回の調査を通じて、IT管理者たちはデバイスやネットワーク、通信料金プランなどの管理をエンド・ユーザーに任せ、携帯デバイス関連業務には手を出さないのが最善と学んだようだと結論付けた。しかし、デバイス運用ポリシーやデバイス管理に対する制御権は手放してはいけないと、同氏はIT部門にアドバイスしている。
もっとも、こうしたプロセスをうまく機能させるためには、自社の社員がiPhoneを問題なく使えるだけのサポート・リソースをAT&Tが保有しているか、IT部門が確認しておく必要があるという。
また、IT部門が体系的なポリシーを規定して、iPhoneに高度なセキュリティを適用することも大切である。例えば、社員には自分専用のiPhoneを購入させ、デバイスにアクセスするためのPINを使用する際は会社のセキュリティ・ポリシーに従うことを書面で誓約させたり、退職時には同デバイスのデータを遠隔操作で消去することに同意させたりといった手を打っておこう。
さらにシャドラー氏は、コミュニティ主導型のサポート・モデルを立ち上げて、相談事はユーザー向けのwikiで発言するなど、自己解決システムを奨励するのがよいと話している。
iPhoneの導入を検討している企業は、まずは3か月のパイロット・プログラムを企画して、同デバイスの使用を段階的に進め、需要が殺到しないよう気を配らねばならないと、シャドラー氏は警鐘を鳴らした。「乗り換えを希望するユーザーばかりか、初めて携帯デバイスを手にする社員までもが大勢詰めかけてくる様子には、ただただ驚くことだろう」
(Matt Hamblen/Computerworld米国版)
























