米国の大学が教室内での「Kindle」の使用を禁止に
視覚障害者団体の申し立てを受けての措置米国にある3つの大学が、教室内で米国Amazon.comの電子ブック・リーダー「Kindle DX」の使用を、今後奨励しないことに同意した。情報へのアクセスという点で、視覚障害者が不利な立場になるとの申し立てを受けての措置だ。
米国司法省(DOJ)は1月13日、ケース・ウェスタン・リザーブ大学、ペース大学、リード・カレッジの3校が、教室内でのKindleの使用を推奨しないとの内容でDOJと合意したことを明らかにした。
米国の視覚障害者団体である全米視覚障害者連合(NFB)と米国視覚障害者委員会(ACB)は、Kindleを使用することで視覚障害のある学生が差別されることになるとの申し立てを行っていた。この申し立ては、障害に基づく差別を禁じた米国障害者法を根拠にしている。
今回、名前のあがった3校は、Kindle DXを教室で使用するAmazon.comのパイロット・プログラムに参加した6つの大学に含まれている。同じく、このプログラムに参加したアリゾナ州立大学も、1月11日にDOJおよび2つの障害者団体と合意している。
そのほかの大学は、2009年末の時点で、Kindleを教室内で使用しない方針を明らかにしている。
Kindle DXは、ディスプレイに表示したテキストを音声に変換する「Text-to-Speech」機能を搭載しているが、メニューやナビゲーション・コントロール機能に対応するテキスト/音声変換機能は搭載していない。また、一部のユーザーから、音声が聞き取りにくい、変換された内容が不正確であるといった指摘も出ていた。
NFBの広報担当者クリス・ダニエルセン(Chris Danielsen)氏は、今回の合意が視覚に障害のある学生にとって一定の前進になると評価している。「Kindle DXにはテキスト/音声変換機能が搭載されているが、視覚に障害のある人が介助なしで本を選んだり、音声機能を起動させたりすることは不可能だ」と述べている。
Amazon.comの広報担当者によると、同社は、視覚障害者でも各機能に容易にアクセスできるようにKindleの改善に取り組んでいるという。現在、同社の開発チームは、音声ベースのメニュー・システムを開発しており、大きなサイズのフォントも追加される予定だが、これらの新機能が搭載されるのは、2010年半ば以降になるとのことだ。
今回合意した各大学は、今後、全盲や弱視の学生によるデバイスへの完全なアクセスが可能になるまで、Kindel DXやそのほかの電子ブック・リーダーを購入したり、利用を推奨あるいは奨励したりすることを差し控えることになる。
また、大学側は、電子ブック・リーダーを使用する場合、視覚に障害のある学生が目の見える学生と同じ資料や情報にアクセスし、同じ作業に参加し、同じサービスを受けられるように保証することでも合意している。
DOJと各大学との合意は、Kindleのパイロット・プロジェクトが終了した時点で有効になる。
司法次官補のトーマス・ペレス(Thomas Perez)氏は、声明の中で「先進技術は、大学が教育にアプローチする方法を体系的に変えつつあるが、障害のある人にもほかの学生と同じ機会を保証するものでなければならない。今回の合意は、すべての人に平等な教育機会を提供することの重要性を改めて示すものとなった」と述べている。
(Grant Gross/IDG News Serviceワシントン支局)



























