Google Chromeが“Windowsの次”を担うキラー・アプリとなる可能性は?
「Internet Explorerのシェアを奪うことすら困難」と指摘する専門家も米国Googleが9月2日にリリースしたWebブラウザ「Google Chrome」は世界中の注目を集めた。しかし、ChromeがWebブラウザ・シェアの7割を占める「Internet Explorer(IE)」の牙城を切り崩し、ホステッド型アプリケーション普及の旗振り役となってWindowsプラットフォームを超越していく可能性はどうだろうか。
Microsoft関連の情報を提供する米国Directions on Microsoftでアナリストを務めるマット・ロソフ(Matt Rosoff)氏は、「Googleはユーザーに対し、Windowsベースのソフトウェアからホステッド型アプリケーションへ“移行”するよう働きかけている。その戦略において、Chromeは重要な存在だ。90年代初頭からMicrosoftは、このような“移行”に対して潜在的な脅威を感じている」と指摘する。
Chromeには高性能のJavaScriptエンジンをはじめ、Webアプリケーションをオフライン時でも利用できる「Google Gears」や、「Safari」でも使用されているオープンソースのブラウザ技術「WebKit」が備わっている。
Chromeのリリースに際し、Googleの共同創設者兼技術部門担当社長であるサーゲイ・ブリン(Sergey Brin)氏は、「ChromeはWebアプリケーションを稼働させるための強力な媒体になる」との見通しを示した。
調査会社である米国Gartnerのアナリスト、レイ・バルデス(Ray Valdes)氏は、「Chromeは単に既存のWebブラウザに対抗する位置づけにない」と指摘する。
「主戦場はWebブラウザではなくWebアプリケーションだ。今後は次世代のWebアプリケーションをサポートできるプラットフォームかどうかが重要になる。Googleは既存の技術だけでは次世代のWebアプリケーションを稼働させることは困難であると認識し、2年前からこの問題を克服できるプラットフォームの開発に取り組んできた」(バルデス氏)
Googleは長期的なWindows打倒計画の初期段階として、2006年にホステッド型アプリケーション・スイート「Google Apps」を投入した。これにはオフィス・スイートの「Google Docs」をはじめ、「Gmail」や「Google Calendar」などが包含されている。さらに同社は、オンライン・ストレージ・サービスも間もなく発表するもようだ。
しかし、音楽エンターテインメント企業の英国Virgin Entertainment GroupでCIOを務めるロバート・フォード(Robert Ford)氏は、「企業のITマネジャーの多くは、既存のパッケージ・ソフトからGoogleのホステッド型アプリケーションに移行することには消極的だ」と指摘する。
「(ホステッド型アプリケーションに移行することで)パフォーマンスが大幅に向上するということでもなければ、可能性は低い。それはChromeが登場しても同じことだ」(フォード氏)
Virginの社内ではIEが標準となっている。フォード氏は、「Chromeが登場したからといって、IEを変更する理由が見あたらない。Chromeが当社のあらゆるアプリケーションに対応できるかどうかを確認しなければならないし、Chromeを利用することで、われわれがどのような価値を享受できるのかも分析しなければならない」と語る。
MicrosoftのIEチーム担当ゼネラル・マネジャーであるディーン・ハチャモビッチ(Dean Hachamovitch)氏はChromeのリリースを受け、「ブラウザ市場は非常に競争が厳しいが、大半のユーザーは引き続きIEを使い続けてくれるものと期待している」との声明を発表した(関連記事)。
なおWebに関する各種指標を解析している米国Net Applicationsが行った8月のWebブラウザ市場調査では、IEが72.2%を獲得してトップの座を守っている(関連記事)。
調査会社の米国Forrester Researchでアナリストを務めるシェリー・マクレイシュ(Sheri McLeish)氏も、「IT部門の多くは現在利用しているIEに満足しており、Webブラウザの変更を促すのは至難の業だ」と語っている。
(Heather Havenstein/Computerworld米国版)



























