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【解説】

初のAndroid携帯電話「HTC Dream」に、iPhoneほどのインパクトはなし

「モバイルOSオープン化の推進役だが、他社非互換OSの1つでもある」と専門家
(2008年09月22日)

米国Googleが推進する携帯電話/モバイルOSプラットフォーム「Android」を採用した初の市販製品「HTC Dream」(台湾HTC製)が、米国時間の9月23日にいよいよT-Mobileから発売される。GoogleおよびAndroid陣営にとっては記念すべきリリースとなるが、Appleの「iPhone」が登場したときのように熱狂的に歓迎されることはなさそうだ。

「iPhoneほどインパクトのある製品発表はそうそうない」

 初のAndroidフォンのリリースが目前となったが、一部の専門家は過大な期待を戒めている。「iPhoneほどインパクトのある製品発表はそうそうないと認識すべきだと思う。実のところ、iPhoneの発売が巻き起こしたような旋風が、携帯電話の世界で再び起こることはないだろう」と話すのは、米国の市場調査会社In-Statのアナリスト、ビル・ヒューズ(Bill Hughes)氏だ。

 T-Mobileは9月23日に、HTC Dreamの製品発表イベントを開催するが、この製品が実際に発売されるのは10月末になる見込みだ。米国の市場調査会社Strategy Analyticsは、Dreamが第4四半期末までの2カ月で40万台販売され、米国のスマートフォン製品市場で4%のシェアを占めると予測している。これに対し、AppleのiPhoneは、発売された四半期のまる3カ月で112万台の販売を記録している。

それでもAndroid携帯に注目する理由

 しかし、Android初の市販製品は、当初の販売こそiPhoneに及ばないとしても、いくつかの理由から、やはり注目に値する製品である。具体的には、GoogleがAndroidで携帯電話市場に本格的に進出するということ、それは携帯電話市場のオープン化につながる動きであること、そして、Androidの市場参入で、もともと製品が乱立している携帯電話/モバイルOS市場で競争が一段と激化することが挙げられる。

 GoogleはすでにAndroid携帯電話上で動作するアプリケーションを提供しているが、OSの設計に携わっていることで、同社は、より自由に多様なモバイル・アプリケーションを開発できるようになる。同社はかねてから、携帯電話業界では、ユーザーがダウンロードして使えるアプリケーションを携帯電話事業者が規制する場合が多いことに不満を表明してきた。また、携帯電話キャリアは、GPSやVoIPなど特定の電話機能を利用するアプリケーションの動作(キャリア各社の事業戦略上)を禁止することもある。Androidを利用することで、Googleは、ほぼあらゆるモバイル・アプリケーションの開発も可能になる。

 「われわれは、いずれはAndroidをベースに、広告や地図、検索など、Googleのオンライン資産を生かした魅力的なモバイル・アプリケーションが豊富に開発、提供されるようになると予想している」と、Strategy Analyticsのディレクター、ニール・モーソン(Neil Mawston)氏は、19日に発表されたリポートで述べている。(次ページに続く


写真は、HTCがau(KDDI)初のスマートフォンとして投入予定の「E30HT」。初のAndroid携帯「HTC Dream」のフォルムやスペックは、米国時間の9月23日に明らかになる

モバイル・アプリ開発者の願い

 しかしながら、Androidとて相互に互換性のない多数のモバイルOSの1つではある。よって、Androidが正式に登場しても、その対応アプリケーションが一気に出回るとは限らない。

 モバイル・アプリケーションの開発者は当然、Android以外にも、Symbian、Windows Mobile、BlackBerry、LiMo、iPhoneといった既存のモバイルOSに対応したアプリケーションの開発にも関心を持っている。現状、いずれのOSも互換性がないため、対応OSが決まっているモバイル・アプリケーションは、それOS以外のOSが搭載された携帯電話では動作しない。

 だが開発者には、すべてのOSをターゲットにするだけの時間はない。ヒューズ氏は最近のリポートで、「さまざまなOSが使われているのは、それぞれ限られたリソースしか持っていないアプリケーション開発者が、常に膨大にいるということにすぎない」と指摘している。

 「開発者は、最も多くのユーザーが見込めるモバイル・プラットフォームを探している」と、モバイル・アプリケーション開発者のためのコミュニティ、Forum Nokiaでマーケティング・ディレクターを務めるエリック・ジョン(Eric John)氏は最近のインタビューでこう語っている。Nokiaのスマートフォンに搭載されているSymbian OSが、米国でのシェアは小さいものの、現在のところ、携帯電話OS市場で最大のシェアを占めている。

モバイルOSのオープン化という潮流の中で

 2007年11月にその構想が発表されて以降、Androidは、かなりの数の開発者を引きつけてきた。多くの開発者にとっては、Android対応アプリケーションを、Googleが運営するストアで配布できるという点は非常に魅力的に映るかもしれない。今後登場するAndroidアプリケーションの種類や品質は未知数だが、AndroidがオープンなモバイルOSの新顔として要注目なのはやはり事実だ。


米国Motorolaがまもなく世界発売する多機能携帯電話機「ROKR EM30」は、LiMo Foundationが策定したLinuxベースのモバイルOSを採用している

 Symbianは先ごろ、同社のOSをオープンソース化すると発表しており、LiMo FoundationもLinuxベースのオープンなモバイルOSプラットフォームを開発済みだ。LiMo Foundationのグローバル・マーケティング・ディレクター、アンドルー・シキアー(Andrew Shikiar)氏は、「現在のオープン志向の流れは否定できない」と話す。確かにそうかもしれないが、Microsoftや欧米のスマートフォン市場で大きなシェアを持つカナダのResearch In Motion(RIM)、Appleの製品を含むすべてのプラットフォームがオープン化することはありそうもない。

 In-Statのヒューズ氏は次のように述べている。「すべては相対的なものでしかない。皮肉な見方をすれば、オープン化の動きは、根本的な変化というよりも、ライバルとの立場の違いを強みとして訴えるマーケティング戦術と言えるだろう」。米国携帯業界のこれまでの歴史から見て業界は以前よりはオープンになるだろうが、一部の人が考えるようなオープン化の理想的なあり方は決して実現しない、というのがヒューズ氏の見方だ。

 最後に、Androidが一部の開発者から批判を浴びていることも付け加えておきたい。Androidソフトウェア開発キット(SDK)の更新計画について、Googleが十分積極的な情報提供を行っていない、というのが彼らの言い分だ。また、Googleが最近、Androidアプリケーションのコンテスト受賞者50人にだけAndroidの最新版を提供し、他の開発者がバグの多い旧版を使っているのをその時点では放置したことで憤慨した開発者もいる。

(Computerworld.jp)

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