グーグル、電子ブック販売事業の計画を明らかに
「年末までに新たな販売方法を出版社に提供する」と同社Googleは6月1日、出版社に対してオンライン電子ブックの新たな販売方法を年末までに提供すると発表した。電子ブックはニッチな技術と見られているが、同社の市場参入により、この分野のビジネスが一気に開花するかもしれない。
Googleは、出版社が任意のWeb対応デバイス向けに書籍を販売できるようにしようとしている。計画では、スマートフォンなどで電子ブックをダウンロードできるようになる見込みだ。ただし、米国Amazon.comの電子ブック・リーダー「Kindle」やソニーの同「Sony Reader」に比べれば、スマートフォンの小さな画面は長時間の読書には不向きだとの声もある。
「われわれは一貫して、書籍の利用方法や販売方法を増やす手助けをすると表明してきた」と、GoogleはComputerworld米国版への電子メールで述べた。「われわれは、パートナー出版社の書籍に対するオンライン・アクセス権をユーザーが購入するという書籍の新しい販売方法を、年末までに提供することを目指している。電子ブックのエコシステムを構築し、出版社が任意のデバイスに対応した電子ブックを販売できるようにしたいと考えている」
アナリストのロブ・エンダール(Rob Enderle)氏は、「Googleの参入で電子ブック技術が爆発的な発展を遂げるかもしれない。GoogleはAmazon.comよりはるかに大きなリーチを持っている。Amazon.comも大きいが、基本的には小売業者だ。これに対してGoogleは、Web全体を扱っている」と語った。なお、Amazon.comも1日、Kindleの大画面モデル「Kindle DX」を当初計画より前倒しで6月10日に発売することを発表した。
任意のデバイスから電子ブックにアクセスできるようにするというGoogleのアプローチは、いずれ主流になるだろうと、エンダール氏は語った。「手持ちのデバイスが何であれ、ユーザーはそれで何かを買って読みたいと考えるものだ」と同氏。
KindleはWebブラウザとして使えるため、Googleブック検索にアクセスできそうだ。しかし、エンダール氏によれば、Amazon.comに無線で直接接続して書籍を購入するように意図的に設定されているとう。同氏は現在、あらゆる文書をデスクトップPCからKindleにメールして読んでいるが、それと同様に、ユーザーがいずれはデスクトップPCでGoogleブック検索から書籍をダウンロードし、Kindleにメールして読むようになる可能性もあると考えている。
その一方でエンダール氏は、「Kindleは、Googleの新プロセスに対応しておらず、このプロセスにおいて効率的に機能するように変更を加えなければならないだろう」とも指摘した。ちなみに、Sony Readerには無線通信機能がなく、ユーザーはまずデスクトップPCでコンテンツにアクセスし、PCにSony Readerをケーブルでつながなければならない。
Googleの広報担当者、ゲイブリエル・ストリッカー(Gabriel Stricker)氏は、「各種の電子ブック・リーダーやPC、スマートフォン、そしてネットブックからGoogle電子ブックにアクセスできるようになるだろう」と述べた。だが、エンダール氏は、KindleやSony Readerのようなデバイスでのアクセス・プロセスは、スムーズにはいかないだろうと見ている。
また、同氏は「Googleへの力の集中が著しく進みそうだ」と述べた。Googleが電子ブックを手がけることで、電子ブック技術の普及が大きく進む可能性がある一方、Googleが強大な力を手にするおそれがあるというのだ。
Googleは計画の詳細を明らかにしておらず、現時点でComputerworld米国版のいくつかの問い合わせに回答していない。しかし、この週末に米国ニューヨークで開催された展示会「BookExpo 2009」で、Googleの戦略提携担当ディレクター、トム・ターベイ(Tom Turvey)氏が発言した内容からすると、Googleのパートナー出版社が設定する電子ブックの価格は、Amazon.comより高くなると予想される。
Amazon.comは電子ブックを1冊9ドル99セントで販売しているが、ターベイ氏は、BookExpo 2009で「Googleは出版社が書籍のデジタル版をハードカバーの新刊と同様の価格で販売することを認めるだろう」と語った。ちなみにハードカバーの新刊は、26ドル程度で販売されている。
さらにエンダール氏は、Googleには電子ブックの不正販売の防止という、出版社にとって重大な問題が残されていると指摘した。しかし、新興国では、教育者がコンテンツを迅速に学生に行き渡らせる方法を求めており、電子ブックを任意のデバイスに配布できるようになれば、大きな前進になるだろうと付け加えた。
電子ブックの成功を左右する要因の1つは価格だ。Amazon.comは2月に発表した「Kindle 2」の価格を359ドルとしたことで、景気後退のさなかに高価すぎると批判を浴びた。当時、米国Gartnerのアナリスト、バン・ベイカー(Van Baker)氏は「この価格では、電子ブックはニッチ市場にとどまるだろう」と指摘した。さらに同氏は、どのようなデバイスでも読めるようになれば、電子ブックはその魅力を増すだろうと述べていた。
(Matt Hamblen/Computerworld米国版)



























