グーグルの新たなWebメディア・フォーマットに賛否両論
最大の論点はコーデック「VP8」のパフォーマンス米国Googleが5月19日、High-Definition(HD)ビデオ・コーデックの「VP8」をオープンソース化したことを受け、Webブラウザ上で「Adobe Flash」や「Microsof Silverlight」のようなプラグインなしでHDビデオを再生するビデオ・コーデックを巡る議論が起こっている。
Googleは2010年2月に米国のOn2 Technologiesを買収し、VP8を獲得した。VP8は、5月19日に発表されたオープンで、ロイヤリティ・フリーのWeb用メディア・ファイル・フォーマット「WebM」の一部として、Googleを含むコントリビューターによってソースコード、仕様、API(Application Programming Interface)がメンテナンスされることになった。
観測筋は、GoogleがVP8をオープン規格として公開すれば、HTML5とともに利用可能なほかのHDビデオ・コーデックにかかわるパフォーマンスや、法律上のさまざま問題が解決される可能性があると見ていた。
これまでのところ、WebブラウザでのVP8サポートは、市場のリーダーである米国Microsoftを考慮に入れなければ、急ピッチで進められている。その一方で、VP8のパフォーマンス上の問題を懸念する声も上がっている。
ノルウェーのOperaと米国Mozillaはそれぞれ、拡張子「.webm」のビデオを再生できる自社Webブラウザのテスト版を作成済みだ。GoogleのWebブラウザ「Chrome」のベータ版も対応している。米国Adobe Systemsも、FlashでVP8ビデオを再生できるようにすると表明している。
Free Software Foundation(FSF)は、GoogleがVP8をオープンソース化したことを称賛している。FSFは2010年2月に、Googleにこの措置を取るよう呼びかけていた。
しかし、ビデオ・コーデックの専門家のあいだでは、米国AppleやMicrosoftがHTML5用のビデオ再生コーデックとして採用した「H.264」に、VP8がどの程度太刀打ちできるのかを巡って意見が分かれているようだ。ただし、VP8のパフォーマンスが以前のOn2の触れ込みほどではないという点については、専門家の意見は一致しているようである。
「ファイルの圧縮に関しては、VP8はH.264にはとても及ばないようだ」と、ジェーソン・ギャレットグレーザー(Jason Garrett-Glaser)氏は、ブログに公開した分析記事で述べている。同氏は、ビデオをH.264でレンダリングするためのオープンソース・ライブラリ「x264」の開発者の1人だ。同氏がテストしたところ、VP8はビデオの復元でも、より多くの処理能力が必要に思われたという。
ギャレットグレーザー氏は、VP8のこうした現状は問題であると指摘する。Googleが仕様をまとめ、MozillaやAdobeなどの企業がサポートを急いでいることから、パフォーマンス改善に必要な変更を加えることが難しくなっていると考えられるからだ。
「準備期間を設け、その段階で問題をクリアしてから、大々的に発表したほうがよかった」(同氏)
また、ギャレットグレーザー氏は、VP8のパフォーマンスは、HTML5用のビデオ・コーデックのもう1つの候補である「Ogg Theora」よりはすぐれていると分析している。また、ストリーミング・メディア・コンサルタントのジャン・オザー(Jan Ozer)氏も、VP8とH.264を比較したが、両者のパフォーマンスはほぼ同等であると報告している。
(Joab Jackson/IDG News Serviceニューヨーク支局)



























