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【インタビュー】

「OHAへの共通理解があるから、技術的な細分化は生じない」――グーグルのAndroid担当者

「OHA各社独自のアプリケーションや機能の乱立」という懸念に答える
(2007年11月09日)

米国グーグルの携帯電話向けアプリケーション開発プラットフォーム「Android」が話題を呼んでいる。IDG News Serviceは、Androidのコア技術を開発した米国アンドロイドの元・共同設立者で、現在、グーグルで同プラットフォームの技術担当を統括するリッチ・マイナー氏にインタビューする機会を得た。同氏は、「OHAメンバーから技術的な細分化を回避する合意を取り付けている」とし、同じような取り組みがある中で、あえてAndroid/OHAを立ち上げた理由を説明した。

 米国グーグルが11月5日に発表した、Androidプラットフォームとその提供計画(関連記事)を受け、メディア各社は、Androidと、これに伴いグーグルが発足させたアプリケーション開発団体のOpen Handset Alliance(OHA)について、さらに多くの情報を引き出すための取材攻勢を展開している。

 IDG News Serviceが行ったマイナー氏への取材は、電話による短時間のインタビューながら、懸念されているAndroidの技術的な細分化はOHA全加盟企業の合意の下に生じないこと、また、市場で似たようなLinuxベースのモバイル・アプリケーション開発プラットフォームがすでに複数存在する中でグーグルがあえてAndroidを立ち上げた理由について語った。インタビューの要旨は以下のとおりだ。

――市場ではAndoroidと似たモバイル向けLinuxイニシアティブがすでに複数立ち上げられている。Andoridはこれらと競合し、状況を一層複雑にするのではないだろうか。

マイナー氏:既存の(モバイル向け)Linuxの取り組みを見ると、Linuxを基盤としながらも、用意されたプラットフォームは完全にオープンでないものが多い。あるいは、たとえ完全にオープンかつLinuxベースであっても、Androidが持つほとんどの要素、具体的にはビデオ・コーデック、MIDIシーケンサ、音声認識といったものが欠けているはずだ。
 つまり、グーグル以外の既存の取り組みは、携帯電話の開発に必要な完全なるスタックを提供できていないのだ。これに対しわれわれは、携帯電話をリリースするために必要なすべての要素を組み入れることを目指している。Androidは、市場競争力のあるスマートフォン、あるいはハイエンド機能を搭載した携帯電話を開発するために必要な完全なスタックを提供する。

――Androidの発表では、ブラウザに関する説明が非常に興味深かった。本当に、PCブラウザと同じユーザー・エクスペリエンスがモバイル・デバイス上でも実現するのか。

マイナー氏:そうだ。これは(オープンソースの)Webキットを使用したブラウザ技術に基づいている。アップルが「iPhone」にプリインストールしているのと同じブラウザ技術であり、ノキアの携帯電話「Series 60」でも採用されている(関連記事)。つまり、Androidのブラウザは、アップルが「Safari」ブラウザで使用している同じWebキット・コアをベースとしたデスクトップ・ブラウザの機能をすべて搭載しつつ、モバイル環境への高度な最適化が図られている。素晴らしいモバイルWebエクスペリエンスが実現するはずだ。

――iPhoneの話が出たところで、アップルがOHAに参加していない理由は? グーグルとアップル間でこれについて話し合われているのか。

マイナー氏:アップルのことはアップル自身に聞くべきだ。私には答えられない。

――Androidを採用する各社には、広い範囲で改変できる自由が与えられている。だが、これがかえってプロプライエタリな拡張機能やカスタマイズ機能の開発といった細分化を促し、結果的にデベロッパーがアプリケーションをすべての携帯電話に対応させるために修正しなくてはならないという、本来の目的と逆行する現象が起きるのではないだろうかか。

マイナー氏:よい質問だが、OHAメンバーは、(OHAが規定する)非細分化の条項に合意している。具体的には、Androidプラットフォームの細分化を促したり、結果的に異なるバージョンのプラットフォームを生み出す行為はしないという基本合意だ。つまり、われわれはこの問題をあらかじめOHA機構に組み込み、メンバー全員から合意を取り付けたうえでAndroidを進めているのだ。

――それは、グーグルが何らかの形でメンバーに強要できる拘束力のある義務なのか、それともOHAメンバーが各自誠意を持って努力する緩い形のコミットメントなのか。

マイナー氏:最も重要なこととして、すべてのOHAメンバーがなぜこの精神に合意しているかと言えば、それは、彼らがOHAにおける最重要課題の1つが「活力あふれるサード・パーティ・デペロッパー・コミュニティの創出」であることを認識しているからだ。また、Androidプラットフォームの一体性を乱せば、サードパーティ・アプリケーションにも悪影響が出るとの認識でも一致しており、だれもそのようなことは望んでいない。

――グーグルはAndroidのOSコンポーネントをシングルOSとしてとらえているのが、それとも複数のOSとしてか。

マイナー氏:われわれはこれを「プラットフォーム」ととらえている。AndroidはLinuxを基盤としながらもOS以上の役割を果たすからだ。完全なる(携帯電話の)スタックと言えるだろう。開発にあたっては、ハードウェアに始まり、すべてのソフトウェア・レベル――Linux OS、デバイス・ドライバ、すべてのミドルウェアからアプリケーションに至る――まであらゆる努力を尽くした。Linuxベースの携帯電話に向けた、きわめて高度に最適化されたスタックなのだ。

――グーグルはかねてより、デベロッパー、携帯電話機メーカー、移動体通信キャリアにに対して、携帯電話関連コンポーネントの採用と応用について多くの柔軟性を持たせると主張してきた。ならば、OS部分を取り替えて、異なるLinuxベースのOSを採用することも可能なのか。

マイナー氏:Androidのリリース時には、Linuxの特定リリースをサポートすることになるわけだが、Androidプラットフォームとデバイス・ドライバの基底にLinuxが置かれているかぎり問題はないはずだ。Androidは、Linux以外にSymbianなどの異なるOS上で機能する類のアプリケーション・セットではない。あくまでLinuxを基盤としている。

――(Androidプロジェクトで作られる)Linuxディストリビューションは「Android」と呼ばれるのか。

マイナー氏:そうだ、携帯電話向けのディストリビューションは「Android」という名称になる。ただし単なるLinuxディストリビューションではなく、携帯電話向けに最適化された画像、データベース、音声認識、ビデオ・コーデックなど多彩なコンポーネントを備えている。つまり、Androidでは、Linuxベースの携帯電話として必要なソフトウェアの要素がすべて提供されるのだ。

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