グーグル、インターネットのスピードアップをもくろむ
WebのTCPトランスポート層に改善を加え、遅延を軽減する取り組みGoogleのエンジニアらが先ごろ、Webのさらなる高速化を目指し、TCP通信速度の改善手法を策定し、提案している。
同社の「Make the Web Faster」チームが提唱するTCP速度改善法の1つは、TCPの輻輳ウィンドウサイズ初期値を上げるというものだ。
同チーム・メンバーのユチャン・チェン(Yuchung Chen)氏は1月23日付けのブログ記事の中で次のように述べている。
「TCPはインターネットの馬車馬のようなもの。Webコンテンツを運び、さまざまな種類のネットワークをまたいで働くようデザインされている。かたやWebブラウザは一般的に、実際のリクエストを送信するより前に並列TCPコネクションを開くようになっている。こうした手法によってTCP固有の制限が解消されているわけだが、これは多くの場合において遅延の長期化やスケーラビリティの低下を招いている」
チェン氏はまた、「われわれの研究で遅延を緩和するカギはラウンド・トリップの削減にあることがわかった。現在、TCPを改善する複数の方法を実験している」と語った。
この実験を通じて同氏らが導出し、提唱している手法の1つが上述した改善法ーーすなわち、TCP輻輳ウィンドウサイズ初期値を増加させるというものだ。
「TCPコネクションの開始時にやり取りされるデータは、現在3つのパケットから成る。すなわち、3回のラウンド・トリップがごく小さな15Kサイズのコンテンツを送信するわけだ。われわれが行った実験においては、IW10(10パケットの輻輳ウィンドウサイズ初期値)にすることでWeb転送のネットワーク・レイテンシを10%以上削減できた」と、チェン氏は言う。
Googleはまた初期タイムアウト期間を3秒から1秒へ短縮したいと考えている。
「3秒というラウンド・トリップ・タイムは数十年前の最適レベル。今日のインターネットではタイムアウト時間をもっと短くする必要がある」(チェン氏)
米国IDCのアナリスト、アル・ヒルワ(Al Hilwa)氏は、Googleの提案は「入念な研究の結果であるように思える」と評価し、こう続ける。
「こうした方法が広く導入されれば、実質的にほぼすべてのネットワークでパフォーマンスおよび遅延問題が改善されるだろう。ただし問題なのは、望ましいパフォーマンスを得るためには、この機能をまんべんなく実装させなければならない点だ。新しいTCP/IPスタックは古いスタックと連動することになるだろうが、コネクションの両サイドにこのような改善が施されたほうがメリットが」(ヒルワ氏)。
さらにGoogleは、アプリケーション・ネットワークの遅延を低減するプロトコルとして同社が開発した「TCP Fast Open」や、TCPのPRR(proportional rate reduction)機能を使用するよう勧めている。
「パケット・ロスの発生は、ネットワークが無秩序状態に陥っている、もしくは輻輳していることを意味する。新たな損失回復アルゴリズムであるPRRは、ネットワークの輻輳中に失われたパケットを回復し、スムーズに再送してくれる機能だ。喪失の程度に応じて伝送速度を調整する同アルゴリズムは、現行のメカニズムよりも動作が速い。PRRはすでにLinuxカーネルに含まれており、TCP標準の一部とするプロセスも進められている」(チェン氏)
チェン氏によれば、Googleはノイズの多いモバイル・ネットワークにおけるパケット・リカバリを高速化するアルゴリズムの開発にも取り組んでいるという。
(Paul Krill/InfoWorld)



























