マイクロソフトのバルマーCEO、経済の“リセット”に伴う厳しい見通しを語る
今後18カ月間で最大5,000人のレイオフ、ただし戦略投資分野では新規採用も米国Microsoftは1月22日、低調に終わった2009年度2Q(2008年10-12月期)決算と、最大5,000人におよぶレイオフを発表した。同社のCEO(最高経営責任者)、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏は、現在の景気は完全な調整局面に入っていると述べ、当面の間、経済が以前の活気を取り戻すことはないという見解を示している。
Microsoftは22日、前年同期比で純利益が11%減となる2009年度2Q決算を発表した(関連記事)。加えて、今後18カ月の間に、最大5,000人をレイオフすることも明らかにしている。
発表後、バルマー氏は経済アナリストとの電話会見において、「経済が『リセット』され、縮小が進んでいる。一気に回復することはなく、最低水準から再構築されていくことになるだろう。我々は、経済がすぐに持ち直すことはないと予想している」と語った。同氏の見通しでは、経済状況が好転するまでには1〜2年かかる可能性があり、Microsoftとしては重点分野を絞り込み、長期にわたってコストを抑制していく方針だと述べている。
その一方でバルマー氏は、検索サービスなどの戦略投資分野を中心に、数千人規模の人員採用を行う予定であることも明らかにしている。こうした分野には大きな成長のチャンスがあると考えているという。
バルマー氏は、同社のビジネスの前向きな側面を積極的に強調する一方で、現在の経済危機については極めて現実的な見解を示している。
「現在の経済的混乱が規模、範囲とも前例のないものであることは確かだ。そのため、テクノロジー関連業界全体で見ると、一部の技術は普及が遅れるかもしれない。だが、IT業界とMicrosoftの前進を阻むものは何もないと思う。経済の一時的な停滞は深刻だが、それはあくまで一時的なものだろう」(バルマー氏)
全体としては不調だった2Q決算だが、中には好調な事業もある。例えば、「Office SharePoint Server」や「Office Communications Server」、基幹業務ソフトウェアの「Microsoft CRM」などは、いずれも2ケタ(パーセント)台の増収を記録している。同様に、サーバ&ツール事業も26四半期連続の2ケタの成長となった。同社にとって長年の弱点だったオンライン広告収入も、7%増加した。ただし、オンライン・サービス事業(OSB)全体では横ばいにとどまっている。
エンターテインメント&デバイス部門も、クリスマス商戦でゲーム機「Xbox 360」の売れ行きが好調だったことで増収となったと、MicrosoftのCFO(最高財務責任者)クリス・リデル(Chris Liddell)氏は述べた。リデル氏によれば、Xbox 360の同四半期における販売台数は過去最高の600万台に達したという。だが同氏は、個人消費の鈍化が続けば販売が落ち込む可能性もあるとの警戒感を示した。
バルマー氏、リデル氏とも今後の見通しについては全般に厳しいと述べている。リデル氏は、従来の同社見解を繰り返すかたちで、「市場の変動が激しいため、2009年度の残る2四半期の業績については正確に予想することはできない」とした。
ただし、リデル氏はMicrosoftの今後の業績基調を左右しそうな重要な市場動向にも言及した。同氏によると、Microsoftのビジネスにとって最大の関心事は、今後のPC販売動向だ。PCの売れ行きは、Windowsクライアント事業、サーバ&ツール事業、「Office」製品を手がけるビジネス事業部門(Business Division)などの収益に影響するという。
「Microsoftでは(当初)、PC市場が10〜12%成長するものと見込んでいたが、横ばいとなったため、2Qにはクライアント事業の業績が大きく悪化した。PC市場の減速は、予想した以上に急激で深刻なものだった」(リデル氏)。
PC販売が低迷し、購入者が安価なネットブックに注目したことから、2009年度2QのWindowsクライアント事業は8%の減収となった。
オンライン・サービス事業も、「景気が好転し始めるまで、広告支出は低調に推移するものと見られる」ため、見通しは暗いとリデル氏は説明する。
それでもなお、Microsoftは継続的な売上が見込める強力な事業を持っており、そのおかげでビジネスの一部は「マクロ動向の影響を免れるだろう」とリデル氏は語った。“継続的な売上”とは、サブスクリプションや長期契約などによって経常的に発生する収入のことで、企業はそれらを業績見通しに織り込むことができる。
Gartnerのアナリスト、ニール・マクドナルド(Neil MacDonald)氏は、「少なくとも、個人からの売上と企業からの売上、継続的な売上と非継続的な売上とがミックスされているという点で、Microsoftの収入モデルは、一般的な企業のそれよりも優れている」と指摘している。他のIT企業が受けるであろう経済的ダメージも、同社の場合は「継続的な売上」の存在によって軽減される、というのが同氏の見解だ。
だが、今回の決算は、Microsoftの財務的健全性がいかにWindowsクライアント事業に依存しているかをあらためて浮き彫りにした。マクドナルド氏は、同社がWindowsクライアントへの依存による業績変動のリスクを補うには、Windows事業において継続的な売上につながる販売方式の比重を高めなければならないだろう、と述べている。
(Elizabeth Montalbano/IDG News Serviceニューヨーク支局)
























