「Kumo」から「Bing」へ――マイクロソフト、新検索エンジンを発表
「グーグルの牙城を崩す影響力はない」と専門家米国Microsoftは5月28日、かねてより噂されていた検索エンジンの新ブランド「Bing」(開発コード名:Kumo)を発表した。ただしアナリストらは、「検索エンジン市場のシェア拡大には貢献するだろうが、Googleの存在を脅かすような影響力はない」との見解を示している。
MicrosoftはBingを「decision engine(意思決定エンジン)」と位置づけている。Bingは2008年に買収した米国Powersetの検索技術をベースとしている。同技術は、ユーザーが入力したフレーズ(文章)から「ユーザーの知りたいこと」を理解し、それに基づいて検索結果を返すというもので、従来のキーワード型検索エンジンとは発想が大きく異なる。
BingとGoogleの個々の機能を比較すれば、BingのほうがGoogleよりもすぐれている場合もあるだろう。しかし、調査会社の米国Sterling Market Intelligenceでサーチ・アナリストを務めるグレッグ・スターリング(Greg Sterling)氏は、「Bingは現在利用している検索エンジンから乗り換えたいと思うような、刺激的なものではない」とし、以下のように語る。
「(Bingは)Microsoftにとって新しい爆弾投下ではあるが、現状の市場を劇的に変えるものでもない。それはMicrosoftも認識しているだろう。彼らは(Bingの発表を)プロセスの終わりではなく始まりと考えている。今後、MicrosoftがBingの機能を、どのように拡充させていくかに興味がある」
スターリング氏は、Googleの牙城は崩せないものの、米国AOLやAsk.comの検索エンジンからユーザーを奪うことはできるかもしれないと指摘する。
米国Gartner Groupでアナリストを務めるアレン・ワイナー(Allen Weiner)氏は、「Bingの技術は、Web検索の世界では目新しいものではない。(Bingの発表は)Microsoftが競合他社に追いついただけのことだ」と指摘する。
かねてからワイナー氏は、次世代の注目すべき検索として、「データの視覚化」「セマンティック検索」「リッチ・メディア検索」を挙げている。しかしBingにはこれらがない。ほかの主要な検索エンジンもこれらを実装していないが、将来的に実装する方向で開発に取り組んでいる。
とはいえワイナー氏も、Bingに一定の評価を与えている。
「BingはLive Searchに比べ、格段に精度が向上している。インタフェースや検索結果表示などにも努力が認められる。また、競合するサービスに引けを取らない検索結果を導き出すためのアルゴリズム作成にも労力を割いている」(ワイナー氏)
ちなにみにある内部関係者によると、「Bing」という名称は、「bing(ビン)」という語感が、人間が何かを探し出したときに発する音に似ているという理由で命名されたという。
Bingを発表したMicrosoftのCEO、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏は「Bing」という名称について、「短くて世界中の人にわかりやすく、かつネガティブなイメージを与えないという理由から選択した」と語っている。
Bingが市場に受け入れられるかどうかは、6月3日の正式発表後に判明する。一方、Googleは検索エンジンの機能拡張だけでなく、新しいオンライン・サービスを積極的に市場に投入している。5月28日、Googleは電子メール、ブログ、写真管理、wiki、ドキュメント共有などを統合したコミュニケーション・ツール、「Wave」を発表している。
(Elizabeth Montalbano/IDG News Serviceニューヨーク支局)
























