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Macは「企業コンピューティングの有力選択肢」になれるか?

米国企業ユーザーが評価する、Mac OS Xプラットフォームの「管理性」「価格」「セキュリティ性能」
(2005年04月11日)

 アップルコンピュータが戦略的なプライスタグを付けたデュアルCPUの「Xserve」サーバを擁して、企業コンピューティング市場でのプレゼンス向上をもくろんでいる。同社は、メール・サーバやWebサーバといった企業ネットワークのフロントエンドでの利用を突破口に、デルなどの有力なPCサーバ・ベンダーと一戦交える構えだ。今回は、Macプラットフォームを活用している米国の企業ユーザーの声を紹介しよう。



マーク・ホール
Computerworld米国版

 2005年1月、Webサイトのブランドチャンネルは、アップルコンピュータを「世界で最も影響力を持つブランド」と評した。むろん、ポータブル音楽プレーヤー「iPod」の世界的大ヒットがこうした評価をもたらしたわけだ。

 もっとも、企業のオフィスを見渡すかぎり、こうした評価にすぐには同意できないかもしれない。企業のITマネジャーが自社のクライアントPCに選ぶのはもっぱらWindowsマシンであり、PCベンダーにとっても今日、最大の顧客は法人なのだから。

 米国のIT市場調査会社IDCが発表した2004年のPC市場シェアで、アップルは10位にランキングされている。この順位は中国のレノボよりも2つ低いのだが、IDCがこの調査が実施したのは、IBMがPC事業をレノボに売却する前のことである。

クリエイティブ・ユースでは依然、Macの独壇場が続く

 一方、出版やデジタル・コンテンツなどの分野では、依然、アップルが首位を独走している。グラフィック・デザイナーの83%、企業のデザイン部門の77%、さらには広告代理店の65%がMacを利用しているという結果が、米国の市場調査会社トレンドウォッチの調べで明らかになっている。

 キム・ビキトラナンダ氏は、ダラス・モーニング・ニュースで800台のPCと250台のMacを管理する、デスクトップ・サポート・エンジニアである。Windowsにも出版業務で利用できるアプリケーションがあるのは認識しているが、「そうしたアプリケーションは、Windowsでは安定的に稼働しない。Macで利用するときほど速くないし、シームレスでもない。PCはMacの代替にはなり得ないということだ」と、同氏は述べている。

 ホーム・デポでシニア・エンジニアを務めるブルース・コービー氏は、米国アトランタにある同社の本社オフィスで使用しているビデオ制作機器をアップグレードする際、Mac以外の選択肢は考えもしなかったと話す。「PCの採用を検討したことは一度もない。ビデオを制作するうえで、MacでできることがWindowsではできないのだ」(コービー氏)

 結局、ホーム・デポのビデオ制作部門は、PowerPC G5を2個搭載した「Power Mac G5」(写真1)を標準採用することにした。このマシンは2GBのメモリを実装し、アップルのラックマウント型ストレージ「Xserve RAID」(写真2)上に4TBのアクセス可能領域を持っている。


写真1:PowerPC G5を2個搭載した「Power Mac G5」

 またコービー氏は、ビデオ編集にアップルのビデオ・オーサリング・ソフト「Final Cut Pro」を利用しているという。同社のビデオ制作部門では、外部のフリーランサーを雇い、10分から45分のビデオを毎年300本近く制作している。内容は多岐にわたり、社内スタジオでCEO(最高経営責任者)のプレゼンテーションを録画することもあれば、フォークリフトの安全運転を呼びかけるプログラムを倉庫で撮影することもある。コービー氏によると、フリーランサーの「ほとんどがMacを利用している」そうだ。そして、同氏自身ももちろんMacのヘビー・ユーザーである。


写真2:ラックマウント型ストレージ「Xserve RAID」

コスト・パフォーマンスでデル製品をしのぐ?

 UNIX系OSへと変貌を遂げて登場したMacの現行OS、Mac OS Xは、膨大な処理能力を必要としていた科学者の間でも注目を集めるようになった。米国ピッツバーグ大学で遺伝子を研究しているビル・ヴァン・エッテン氏は、Macが科学者の“お気に入り”になったのは、使い勝手がよいうえ、UNIXの科学系アプリケーションをそのまま利用できからだと話す。「科学研究者としては、UNIX以外のOSにはいかなる価値も見いだせない」(エッテン氏)

 Mac OS XはUNIXそのものではない。だが、ユーザー・インタフェースや管理ツール・コードを別にすれば、事実上、オープンソースUNIXと呼んでも過言ではない。Mac OS Xのソース・コードは、OpenDarwinプロジェクトのWebサイト(http://www.opendarwin.org/)でだれもが参照することができる。アップルでは、Mac向けのApache、MySQL、JBossなど、80に上るオープンソース・プロジェクトのソフトウェアを、同社製ハードウェア上で利用できるように調整を進めている。

 MacでUNIXアプリケーションが利用できるという事実は、ユーザーにとって確かなメリットである。「科学者は、自身の研究のために、UNIXアプリケーションを山ほど使用しなければならない」と語るのは、チルドレンズ・ホスピタル・オブ・オークランド・リサーチ・インスティテュート(CHORI)のシニア・システム・アナリスト、ベン・ヘインズ氏だ。CHORIは、米国立衛生研究所から研究助成金の提供を受けている組織の中でも、トップ10に入る研究所である。

 また、エッテン氏も、「WindowsでUNIX環境を構築するのは技術的には可能だし、アプリケーションも動くことは動くだろう。だが動作は遅く、不安定で、問題だらけだ」としている。

 生物科学研究所ブロード・インスティテュート(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)でデスクトップ・サポート・チームのリーダーを務めている、スタン・ダイアモンド氏によれば、研究所のデータセンターにあるサーバの95%がUNIXベースで、そのうち20%がMacだという。UNIXがベースでなければ、オラクルは同社の「Oracle 10g」をMacに対応させなかっただろう。米国オラクルのワールドワイド・アライアンス&チャネル部門ディレクター、サンジャイ・サドゥー氏は、「われわれは、Mac OS Xというプラットフォームを重要視している。現行バージョンの洗練された機能は、実にすばらしいものだ」と述べている。同氏はさらに、アップルが科学研究やクリエイティブ/アート分野、教育分野で支配的な立場を確立していることに触れ、オラクルもここに注力して利益を享受したいとした。オラクル自身も自社のデータセンターにXserveを導入して、4,000名の従業員が利用する電子メールやボイスメール、カレンダー機能を提供する「Oracle Collaboration Suite」を稼働させている。

 Macを利用することで、オラクルはコスト削減効果も得ている。デュアルCPU搭載ながら低価格のXserveは、デルの「PowerEdge 1850」とも十分競合できる製品だ。PowerEdge 1850は、2.8GHzのXeonプロセッサ2個と2GBのメモリを搭載し、SCSIベースのストレージは600GBの容量を備える。Windowsライセンスが25ユーザー分同梱されて、デルの直販サイト上の価格は、2005年1月時点で1万2,717ドルとなっていた。

 一方、Xserveは2.3GHzのPowerPC G5プロセッサを2個搭載、RAMは2GBで、580GBのATAストレージを利用できる。Mac OS Xの使用クライアント数は無制限となっている。この内容で価格はわずか6,299ドルという破格ぶりだ。

 Linuxを稼働させる場合でも、Xserveを利用した方が安くつく。Linux愛好家でもあるピッツバーグ大学のエッテン氏が、120ノードのサーバ・クラスタ・システムにXserveを採用したのも、コスト・メリットが大きいという理由からである。企業のIT部門にとってMacは、今や彗星のごとく出現した“低価格ソリューション”となったのだ。

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