CW_Welcomeバナー

ソフトウェア開発

RSS

「Web 2.0は企業システムをどう変えるか」──IT業界の論客が議論

(2006年04月13日)

 米国カリフォルニア州メンロパークで4月12日に開催されたIBDNetworkのイベントでは、企業情報システムにおけるWeb 2.0の役割をテーマにパネル・ディスカッションが行われ、Web 2.0の今後について、SAPやジンブラ、アドビの幹部など、IT業界の論客が議論を繰り広げた。

 パネル・ディスカッションでは、まずSAPベンチャーズのApolloストラテジー・グループのディレクター、ジェフ・ノーラン氏が、「Web 2.0で最も厄介なのは、Web 2.0とは何かということを明快に説明することだ」と口火を切った。

 同氏は、Web 2.0について、アプリケーションの疎結合による連携、すなわち「アプリケーションは固定的に結合する必要はない」という考え方を特徴とするREST(Representational State Transfer)アーキテクチャに基づくものだと定義する。

 さらに同氏は、コラボレーションはWeb 2.0の大きな要素だが、その形態は必ずしもブログやWikiにとどまるものではないと強調。ユーザーによってアプリケーションを“アドホック”に生成できることもWeb 2.0の一部だが、その実現方法はそれらを組み合わせる“マッシュアップ”だけとは限らないと指摘した。

 そのうえでノーラン氏は、ブログやWikiを先駆けとして、より魅力的なモデルが登場する可能性が高いという見方を示した。

 これに対し、BEAシステムズの元CTOで現在はジンブラの社長兼CTOを務めるスコット・ディーツェン氏は、マッシュアップの重要性をあらためて強調した。マッシュアップでは、サービスを迅速に組み合わせて新しいアプリケーションの構築を実現する。

 「Web 2.0を魅力的なものにしているのは、Web上のコンテンツやサービスを、単に完成されたものとして利用するのではなく、新しいものを作成するための素材として利用するマッシュアップの概念だ」(ディーツェン氏)

 ただし、マッシュアップには解決しなければならない問題も残されている。法律事務所パーキンス・コイエのパートナー、マイケル・グレーザー氏は、企業でマッシュアップを採用する場合には、ライセンスの問題に注意を払う必要があると指摘した。

 また、アドビ システムズの法人営業担当幹部トッド・バーク氏は、「企業のCIOやCTOは、どうすればWeb 2.0を社内アプリケーションの改良に役立てられるのかを模索している」と述べた。

 Web 2.0が企業にもたらす効果として、ジンブラのディーツェン氏は、生産性の向上を挙げる。例えば、ユーザーが電子メールに費やす時間の減少などを実現できるとしている。

 「(企業では)電子メールとカレンダーがWeb 2.0のキラー・アプリケーションになるだろう。電子メールは、Webとの連携性を持たせることでより便利になる。ユーザーが作業を中断しなくても電子メールを利用できるようになれば、生産性は確実に向上する」(ディーツェン氏)

 一方、SAPのノーラン氏は、Web 2.0が既存のアプリケーションに取って代わるという考え方には異議を唱える。「現在考察が加えられているWeb 2.0は、構築済みのものを置き換えるものではなく、新しいタイプのアプリケーション基盤の構築を目的としている」

 SAPはアプリケーションのコンポーネント化の概念を支持しているが、Web 2.0については、アプリケーションのコンポーネント化と同じ次元では考えていないとノーラン氏は強調した。

 「Web 2.0では、ITに対するコントロールは緩やかなものになる」(同氏)

 パネル・ディスカッションでは、聴衆からも、「Web 2.0は単なる技術ではなく、サービス・ベースのアプリケーション基盤を提供する」、「広義のWeb 2.0には、モバイルの世界とPCの世界の融合が含まれる」といった意見が出された。

 また、論議はWeb 2.0の法的責任の問題にも及び、そうした問題の一例として、グーグルのサーバに自らのデータが保存されたことを問題視する組織がグーグルを提訴したことが取り上げられた。

 パーキンス・コイエのグレーザー氏は、「こうした問題は、法的に未解決の領域に属している」と語った。同氏が所属する事務所はグーグルの代理人を務めている。

 「ほとんどの企業はグーグルに取り上げられることを望んでいる。それを望まない企業は、そう意思表示しなければならないだろう」(グレーザー氏)

 パネル・ディスカッションでは、新しいアプリケーションのビジネス・モデルに関しても、会員制、ライセンシング、広告の各モデルについて検討が加えられた。

 SAPベンチャーズのノーラン氏は、「つい1年前までは、顧客が会員制モデルを支持する動きはほとんど見られなかった。だが今後は、ライセンシング・モデルを採用する新興ソフトウェア会社は、資金調達に苦労するようになるだろう」と述べた。

 聴衆の1人は、マイクロソフトのOfficeパッケージはWeb 2.0によって打撃を受けるだろう語った。同氏は、アジアなどの地域ではOfficeの海賊版を不法に使っている人が多いが、ジンブラのような企業は、Officeが提供する機能を合法的に利用することを可能にすると指摘している。

 ジンブラはオープンソースのメッセージング/コラボレーション技術を提供している。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

記事詳細テキストバナー

ページの先頭へ戻る