タブレット端末を業務に活用し、情報共有やBCPを推進
全国ソリューション事業本部を中心とした約2,800ユーザーにタブレット端末を配布、業務効率化を模索するKDDIスマートフォンやタブレット端末の普及はとどまるところを知らぬ勢いであり、その業務への活用を検討しているIT担当者は多いことだろう。しかしながら、コンシューマの文化によって発展してきたこれらスマートデバイスを、どのように企業のシステムに取り込めば良いのかについては、いまのところ明確な答えは示されていないようだ。そうしたなか、KDDIでは自社製品であるタブレット端末を社員に配布、自ら業務で使用することでその利便性を模索中だ。この試みは、当初の予想外の使用法を見出すなど、確実に効果を示しつつある。
タブレット端末の可能性を自ら検証
携帯電話ブランド「au」を中核に、国内外で情報通信サービスを展開するKDDI。大手電気通信事業者として豊富な経験とノウハウを蓄積する同社は、昨今成長が著しいスマートフォンやタブレット端末市場においても、WiMAXサービスの提供に代表されるようなモバイルユーザーのニーズにマッチしたサービス展開で確実な進化を見せている。
このようにスマートデバイスを販売する側にあるKDDIであるが、同社はいま、自らの製品であるタブレット端末「MOTOROLA XOOM™Wi-Fi TBi11M(XOOM)」を社員に支給し業務に活かそうという取り組みを推進しているのである。
XOOMが配布されているのは、ソリューション事業本部の営業部門とSE、間接部門のスタッフ約2,000名、それに他部門の営業担当者などを合わせた合計約2,800名。XOOMは、OSにAndroidを搭載しており、10.1インチの液晶パネルにメインとサブ2台のカメラを備えるタブレット端末である。
KDDIがXOOMを業務の中で活用するに至った理由について、導入プロジェクトの事務局を務める同社ソリューション事業本部 ソリューション営業本部 営業推進部の推進2グループリーダーで課長の高田聡氏は次のように説明する。
「タブレット端末が、これから企業の業務の中でどのような用途を見出すことができるのかを模索しているうちに、まずは我々自ら自社製品を用いて営業デバイスとしてや時間、資源を有効に活用したいというのが最大の動機。XOOMの一般のユーザーとしての立場から、カタログや会議資料の配布/閲覧など、大画面を備えるタブレットならではの試みを実施している」
XOOMの主な使用方法は、営業担当者が取引先で製品のカタログや資料などを画面で表示しながら提案を行ったり、社内の会議で紙の資料の代わりに電子化された資料をそれぞれの社員がダウンロードして閲覧したりといったもの。これに加えて、在宅勤務や出張時にはXOOMによる社内システムへのリモート操作も可能になっている。
業務で使うデータは、XOOM側には保存せず、クラウドのストレージ環境を活用している。そのため、端末の紛失や盗難時といった万が一の場合の情報流出を未然に防ぐのはもちろんのこと、クラウドに保管するデータのアクセス権限を部門やプロジェクトのメンバーなどの属性に応じて振り分けることで、共通の資料を用いたペーパーレス会議の促進にもつながっているのである。
「XOOMはPCと比べてコンパクトで起動も速い上に、ページめくりや拡大・縮小などの操作が直感的に行えるところが、営業先や会議でのパンフレット、資料の閲覧に適しているようだ。社内会議の参加者がいきなり増えたとしても、XOOMを使えば会議資料をプリントアウトすることなく即座に共有できてしまう点も業務の効率化に貢献している」と高田氏は語る。
広がる予想外の活用法
KDDIでは、XOOMを社員が利用することで、仕事のやり方に当初は予想しなかった変化も現れているという。
「事務局では、比較的売れ筋の製品を優先してカタログを電子化し公開していたのだが、実際に取引先でそれを用いる営業担当者からはめったに売ることのない製品から順番に電子化して欲しいという要望が強かった。これは予想外の反応で最初は驚いたのだが、理由を聞いて納得した。営業担当者は、良く売れるような製品のカタログは従来通り紙のものをカバンに常に入れて持ち歩いているが、お客様との商談中にふとした流れから何年か前に提供していて現在はあまり積極的にセールスを行っていない製品について問い合わせを受けるような例が多いのだという。なので、そのような場面でもすぐさまカタログを紹介できるようにしたいというわけだ。このような使い方はXOOMとクラウド・ストレージの組み合わせならではのものだろう。ユーザーがきっかけとなってこれまでとは違う仕事のやり方に変わったということ、そして思いもかけないビジネスチャンスの拡大につながっているということは、タブレット端末の活用を考える上でもとても興味深い」(高田氏)
また、会議でのXOOMの活用についても、社員が資料のアップロードに親しむようになるに従い浸透しているようだ。KDDIでは、商品説明会や経営状況を説明する会議、そして役員会議では原則としてペーパーレスで行うというルールを設けているが、それ意外は特に会議でXOOMを使用しなければならないという決まりはない。それでも、最近は紙の資料を人数分コピーするのか、それとも共有サーバにアップロードするのかとなると、後者を選択する社員が確実に多くなってきているのである。
高田氏はこう評価する。「資料の見やすさや検索・管理方法など閲覧システムの利便性を高めることで、比較的小規模なミーティングを中心にXOOMの利用が増えた。その結果、紙資料が自然と削減され、ペーパーレス化にも貢献できた」
さらに、営業担当者については、これまでであれば一旦会社に戻って行っていた業務が外出先で行えるようになったことや、資料がすべて外出先で手に入るようになったことから、会社に戻る回数を減らすことができたという声もかなり耳にするという。
「このことは、社員の移動コストの削減に貢献している。加えて将来的には、オフィスそのものの低コスト化にもつながるのではないかと期待している」(高田氏)
このように様々な活用効果を表しているXOOMだが、その利用レベルには社員間の差もある。高田氏は、「タブレット端末のような新しいものを使いこなすのが得意な人と苦手な人の間で格差が生じてしまう。XOOMの導入前にも使い方の周知を行って来たが、今年4月からはXOOMへのビデオ配信によるITリテラシー教育も実施している。年内には全員が慣れるのではないかと思う」と述べる。
- 1
- 2



























