仮想化の導入効果はどう測るべきか
導入時に客観的な数値に加えて“感覚値”も考慮して業務の重要度を評価する「仮想化の導入効果は、ROI(投資対効果)を算出して客観的な数値を求めるだけではなく、それぞれの企業が自社の“物差し”で測るべきである」――7月21日に開催された「成長企業のための仮想化活用セミナー」のパネルディスカッションにおいて、日本仮想化技術の代表取締役社長兼CEO、宮原徹氏がこう語った。
「企業の成長戦略を支えるITインフラ最適化とは」というテーマが掲げられたこのパネル・ディスカッションで宮原氏は、「仮想化のROI(投資対効果)を、どのように考えるべきか」という問いかけに対し、「仮想化のROIを算出することは難しい。仮想化はシステム構成要素の1つにすぎず、より重要なのはその上で動作し、実際の業務を担うアプリケーションである」と答えた。
同氏は、「仮想化を導入する際は稼働中の物理サーバの使用率を数値化するのが一般的だが、測るまでもなく使用率が低いことはわかっている。われわれは、それぞれのサーバが業務のなかでどれぐらい重要かということを、顧客に評価してもらうようにしている。そうした評価は極めて感覚的なものになるが、業務の棚卸しを行って必要なサーバを見極めるためには有効な手段だ」と語った。
このパネルディスカッションに出席した、デル SMBマーケティング本部 エンタープライズシニアブランドマネージャーの木口弘代氏も、「サーバを仮想化すること自体が目的になるわけではないため、そのROIは単純に台数のみで算出できるものではない」と、同様の意見を述べた。
「企業の経営層の多くが、数字に固執するあまり自社のIT環境にまつわる諸問題を正しく理解できなくなるという傾向がある。例えば、どのようなシステムでも運用コストが発生するが、経営層にとってそのROIは理解しにくい。なぜなら、障害の発生などのネガティブなインパクトがあって初めて運用の重要性がわかるからだ。そうした意味からも、仮想化の導入効果を単純な物理的ROIだけで考えるのは危険である」(木口氏)
このような背景を受けてデルは現在、“Backroom to Boardroom”というスローガンを掲げ、企業の経営層がITへの理解を深められるように支援する活動に注力しているという。「このようなパネルディスカッションやイベントなどを通して、デルが培ってきたIT活用のナレッジを、ユーザー企業の経営層にもわかりやすい形で公開していきたいと考えている」と木口氏。
仮想化運用の基本を見直し
業務の適不適を見きわめる
今回のセミナーでは、デル SMBマーケティング本部 ブランドマネージャー、白石慶子氏が、今日の仮想環境が抱える課題について講演を行った。
現在、多くのユーザー企業で仮想化の導入が進み、そのメリットが広く認知されるようになった。その一方で、「仮想化の導入によって生じる新たな課題も明らかになってきた」と白石氏は指摘し、その1つとして「仮想化でサーバの運用が効率化された一方で、ストレージの仮想化はまだ広く普及していない」ことを挙げた。
「ストレージについても、共有化を進めるとともにスケーラビリティを高め、必要なときに必要なキャパシティをユーザーに提供できるようにすべきだが、それをどのように実装するかということが大きな課題である」(白石氏)
続けて同氏は、無計画に作成し続けた仮想マシン群が、物理インフラの設計時に想定したキャパシティを超えてサーバ・リソースを逼迫するような状況が出てきたことも、仮想化にまつわる課題の1つとして挙げた。
そのうえで白石氏は、「常時負荷がかかるような業務や、複数のワークロードのピークが同時に訪れるようなケースは仮想化に適していない。こうした業務の適不適を考えることは仮想化運用の基本だが、あらためて注意を促したい」と語った。
また、仮想化の導入効果について白石氏は、「サーバ、ストレージ、I/Oといったインフラ・コンポーネント、そしてIT環境全体の最適化のために仮想化は有効な手段である。だが、仮想化のメリットはそれだけにはとどまらない。戦略的なIT投資を可能にするという点も、仮想化がもたらす重要なメリットである」と述べたうえで、「そうした戦略的投資の実現には、デルのプロフェッショナル・サービスがきわめて有効である」と強調した。
「デルでは、仮想化の黎明期からグローバル体制で取り組んできた。そうした取り組みで培った実績は、プロフェッショナル・サービスにおいても存分に生かされている。さまざまなサービス・ポートフォリオを用意しているので、ぜひ活用していただきたい」(白石氏)
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