CESで披露された「Slate PC」、企業にとってのメリットは?
うわさの「iSlate」との比較からビジネス・ツールとしての可能性を考える米国MicrosoftのCEO、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏が1月6日、「2010 International CES(Consumer Electronics Show)」の基調講演で、「Slate PC」という新形態のタブレットPCを披露した。
バルマー氏の講演は、さまざまな憶測が乱れ飛んでいるAppleのタブレットPC「iSlate」の機先を制する格好になった。
iSlateは、今月下旬に開催されるAppleのイベントで発表されるとうわさされているが、その真偽は定かではない。観測筋は、AppleのiSlateがiPhoneと同様のブームを巻き起こすと見ており、同社がiSlateの年間目標販売台数を1,000万台に設定しているとのうわさもある。
タブレットPCというコンセプトは目新しいものではない。MicrosoftがWindows XP Tablet PC Editionでそのコンセプトを初めて打ち出して以来、10年近くにわたって存在しているが、今まではこのコンセプトがユーザーに受け入れられたとは言い難い状況だった。
しかし、今ではiPhoneやDroid、Nexus Oneといった“ミニ・タブレットPC”と言えそうなスマートフォンが登場し、ネットブックやスマートブックのような小型コンピュータも人気を集めている。こうした中、いよいよタブレットPCの時代の幕が上がったようだ。
大方の観測筋と同様に筆者は、Slate PCはiSlateよりすぐれれたビジネス・ツールになると考えている。OS、オフィス・アプリケーション、Webブラウザで支配的地位を占めているMicrosoftは、企業がすでに日常的に使っているアプリケーションと、タブレットPCの付加的な機能性や生産性をシームレスに統合したユーザー・エクスペリエンスを提供できる立場にあるからだ。
一方、iSlateも大成功を収めるだろう。iPhoneに匹敵する成功になるかもしれない。iPhoneがスマートフォンに革命を起こしたように、iSlateは革命を起こす可能性がある。しかし、発売から3年近く経過したiPhoneは、企業市場での支持獲得にいまだに苦戦しており、普及はコンシューマ市場にとどまっている。
両者とも、搭載するツールや機能は似たようなものになるかもしれない。しかしMicrosoftは、業界における立場から見て、Slate PCとデスクトップPC間でデータをシームレスに同期、統合する機能を、ユーザーが特別なアプリケーションなしで利用できるようにすることができそうだ。
また、Apple製品を使うとしたら、同社が握っている製品のコントロール権をユーザー企業が奪取しなければならない。デスクトップPC、ノートPC、携帯電話、タブレットPCのいずれであっても企業で使うのであれば、デバイスの一元的な管理やメンテナンスを行うためのActive Directoryのようなツールが必要になる。
さらに、企業は規制上の義務やコンプライアンス要件を抱えている。電子メールやボイスメール、インスタント・メッセンジャー(IM)などのコミュニケーション・ツールの監視やログ取得の手段が必要になり、また、どのプラットフォーム上にある機密データでも保護できる方法を用意しなければならない。
iPhoneとWindows Mobileの競争が参考になるとしたら、「iSlate」のほうが有望ということになる。しかし、人気のある製品がすぐれたビジネス・ツールであるとは限らない。Microsoftは、コンシューマに受けるガジェットの代わりに、企業に有益な生産性ツールを提供できる立場にあると筆者は考えている。
(Tony Bradley/PC World米国版)



























