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クラウド・コンピューティング

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【インタビュー】

クラウドはITを“ビジネス・サービス”に変える

グリッドで培ってきたノウハウで、すぐれたクラウド管理を提供──プラットフォームコンピューティングCEO
(2009年05月12日)

 カナダのプラットフォームコンピューティングは、長年にわたってグリッド・コンピューティングの管理ソフトウェアを提供してきたベンダーである。同社の技術は、最近注目されているクラウド・コンピューティングでも大いに活用されており、高度な管理機能が高く評価されている。同社のCEOであるソニアン・ゾウ(Songnian Zhou)氏に、クラウド・コンピューティングの魅力と同社の特徴について語ってもらった。


プラットフォームコンピューティングのCEOを務めるソニアン・ゾウ(Songnian Zhou)氏

──クラウド・コンピューティング市場について

 プラットフォームコンピューティングは、1992年、分散コンピューティングの分野でHPCマネージメントを得意とするソフトウェア・ベンダーとしてスタートした。現在では、半導体や自動車などの製造業や銀行・証券といった金融業を中心に、商品開発におけるシミュレーションや分析を行うグリッド・コンピューティング環境で、当社の技術が活用されている。

 現在、多くの企業でデータセンターを構築・運用しているが、そこに設置されたリソースを活用し切れていないのが現状だ。従来のサーバ・クライアント環境では、システムの稼働率はせいぜい10〜25%程度で、非常に効率が悪かった。一方、グリッド・コンピューティング環境ならば、70〜99.5%という高い稼働率を実現できる。この効率性が認められ、サーバ/クライアントからグリッド・コンピューティングへ、そしてクラウド・コンピューティングへと、業界全体が土台を代えつつある。

 グリッド・コンピューティング技術は、多数のコンピュータを1つにまとめて、1つの巨大なコンピュータ・リソースを構築するものである。前述したような開発・研究における技術的アプリケーションや、金融商品におけるリスク計算アプリケーションなどを稼働させ、複雑な計算をさせるために活用されてきた。

 一方のクラウド・コンピューティングでは、ビジネス・アプリケーションなどを含めたすべてのアプリケーションを対象とする。ここで重要となるのは、やはり仮想化の技術だ。仮想化によって、巨大なサーバ・リソース上で多数の汎用的なOSを稼働させ、さまざまなアプリケーション・サービスを提供できるようになる。

 つまり、クラウド・コンピューティングで最も重要となるのは、これらグリッド・コンピューティング技術と仮想化技術をいかに融合するかという点だ。ここで、当社が分散コンピューティングの時代から十数年に渡って培ってきたワークロードとリソース管理のノウハウ・技術が役に立つ。

 当社のクラウド管理ソフトウェアは、ハードウェア、仮想化ソフトウェア、ネットワーク、アプリケーションなど、クラウドを構成するすべてのコンポーネントを対象としている点が特徴だ。グリッド技術に仮想化とプロビジョニングの技術を組み合わせ、アプリケーションとそのワークロードに応じたITリソースを自動的に割り当てて、ダイナミックに管理することができる。この機能によって、アプリケーションを止めることなく、仮想化された実行環境を異なるマシン間でスムーズに移動・移行できるプライベート・クラウドを企業内に構築することも可能となる。

 また当社では、クラウド・コンピューティングに関わるさまざまな企業と技術協力を行っている。この中立性は、当社の1つの特徴とも言えるだろう。例えば、シンガポールのInfocomm Development Authority(IDA)と協力して「Cloud Innovation Center(CIC)」を5月にオープンする予定である。これは、現地の企業や政府機関、ソフトウェア・ベンダーなどに無償でクラウド・ソフトウェアを提供するほか、コンサルティングやトレーニングを含めたクラウド・コンピューティングの教育を実施し、新しいコンピューティング・パラダイムを基にした製品やサービスの開発を促進する試みである。

 今後、クラウド・コンピューティングの時代は10〜20年は続くだろう。その中で、当社の技術資産は大きな価値を生み出すことができると確信している。


──クラウド・コンピューティングの利点とは

 クラウド・コンピューティングによって、IT業界に抜本的な変革が起きると感じている。いちばん重要な点は、ITを“ビジネス・サービス”に変えることができるという点だ。

 例えば、あるビジネス・パーソンが国外に出張に行く際に飛行機を使うとしよう。このとき彼が重視するのは、飛行機の機種でも、エンジン技術でも、燃料の種類でもなく、いかに効率よく、迅速・確実に現地へたどり着けるかという点のみだ。

 ITシステムを自身で購入して保有するには、多大な管理コストが必要となり、技術者も確保・教育していかなければならない。ITをオンデマンド・サービスとして利用できれば、コスト効率はたいへん高まるはずだ。また、クラウド管理ソフトウェアによって多くの作業が自動化されるため、自社でクラウドを構築しても負担は少なく済む。

 アプリケーションを迅速に提供できるという点もポイントだ。従来のITシステムの場合、速くても数カ月、長い場合は1年以上もかかって、ようやく1つのアプリケーションを提供できていた。クラウドならば、この時間を大幅に短縮することができる。

 徹底的な効率化・最適化を提供するクラウド・コンピューティングは、データセンター内のコンピュータが増加してスペースも電力も余裕がない状況、また現在のような厳しい不況にマッチしている。そして、サービス・ベンダーとなったIT部門が、ユーザーとWin-Winの関係を築くことができる仕組みであると確信している。

──企業がクラウド・コンピューティングを採用する際に採るべきステップは

 やはり、プライベート・クラウドから入るべきだろう。基幹業務をいきなり外部のサービスに移行するというのは、やはり無理がある。例えばAmazon.comが提供しているようなサービスを、社内IT部門が“プライベートAmazon”のような形で提供するのだ。

 ここで注意したいのは、いきなりすべてのアプリケーションをクラウドへ移す必要はないという点だ。データセンターの中に小さなクラウドを構築し、アプリケーションを少しずつ移行していけばよい。

──コンプライアンスの問題について

 国境をまたいでクラウド・サービスを提供する形態の場合、各国の法規制が問題となることは理解している。個人的には、制約をなくして自由にサービスを提供・利用できるようにすべきだと思っている。

 ただし、対策方法はあるはずだ。クラウド・コンピューティングの原則は、物理的なリソースと論理的なサービスとユーザーをきっちり分けることにある。重要なのは、ユーザーがどのデータにアクセスできるかということであって、実際にデータがどこにあるのかは問題ではないはずだ。アクセス権を適切に管理することができれば、コンプライアンスの問題はクリアできると考えている。


ハイパフォーマンス・グリッド・ソリューション「Platform Synphony」の管理画面とクラスターの稼働状況を表示する「Platform Cluster Health Dashboard」のダッシュボード画面

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