福祉・介護アプリケーションをクラウドに移行し、
サービスの価値向上を図るワイズマン
どのようなシステムであっても、コストメリットと信頼性とは相反する部分があり、それらを両立するのは至難の業だ。そんななか、医療と福祉の両分野で全国に業務支援システムを提供するワイズマンは、汎用性の高い仮想化技術とセキュアなクラウド基盤の採用によってその両立に成功している。カギとなったのは、パッケージからハウジング、そしてクラウドと、常に顧客の利便性を最優先にサービスを進化させてきた努力の積み重ねであった。
福祉施設・事業者向けシステム開発の
旗手としてクラウドに踏み出す
もはや日本社会における高齢化の進行は既定路線となっており、国も各種法整備をはじめ、来る本格的な高齢化社会への対応に追われている。そうしたなか、とりわけ多くの人々が関心を抱いているのが、いかに適切かつ効率的に高齢者をケアするかといった課題である。高齢者の生活の質を向上するためには、実はITの活用も欠かせない要素となっているのだ。
2000年4月に介護保険制度が開始されて以降、請求事務が電子化され、ITを使わないことには業務が成り立たない状況となった。その結果、それまであまりITになじみがなかったこの分野でも一気にIT化が進んでいったのである。このような福祉・介護業界にITを広げるための一翼を担ったのが、岩手県盛岡市に本社を置くワイズマンである。同社は1990年に社会福祉法人向け情報システムの開発・販売を開始して以来、福祉分野におけるシステム開発のパイオニアとして、業務効率の向上に貢献することで、医療・介護に携わる人々をサポートしてきた。とりわけ介護事業者向けシステムでは、常に業界トップクラスのシェアを維持し続けている。
そんなワイズマンでは2005年、それまでパッケージで提供していた福祉施設・事業者向け事務システムをASP(Application Service Provider)サービス化した。同業他社に先駆けたこの試みは、顧客に大きな利便性をもたらし、高い評価を得た。
そして2010年には、ASPサービスを支えるインフラ基盤をクラウド環境へと一新する。これにより、2012年に予定されている介護保険法改正と今後も続く法改正に対応しつつ、顧客がより安定したコストで安心して継続的に利用できる環境を整えたのである。同社福祉事業本部 福祉サポート部で部長を務める磯浩行氏は、クラウドの採用に至った経緯について、次のように話す。
「ASPサービスの提供を開始した頃は、まだクラウドという言葉も存在しなかったが、その後技術もどんどん進化してクラウドや仮想化といった話をしばしば耳にするようになった。そうしたなか、ASPサービスが拡大を続けている一方、定期的に法改正が行われることも分かっていたので、状況を分析した結果『長期的に見れば、今あるインフラを一から作り直してでも、よりメリットのある環境に移行するべきだ』という結論に達したのだ」
わずか半年でクラウド・システムを構築
クラウドの導入を決定したワイズマンでは、2008年に入ると複数のクラウド・サービスを詳細に検討した。その結果、機能面、コスト面、そして同社の要望に対する提案内容の確かさなどが決め手となり、新日鉄ソリューションズが提供するIaaS(Infrastructure as a Service)基盤「absonne(アブソンヌ)」を採用することとなった。absonne(アブソンヌ)は、大企業のニーズに対応した環境を擁しており、顧客からの要件に合わせたカスタマイズが自由に行えることが特色となっている。
ワイズマンから提出されたRFP(提案依頼書)を受け取った新日鉄ソリューションズでは、最適な仮想化技術を採用するために同社のシステム研究開発センターで複数の仮想化技術のベンチマークを比較した。厳密な検討を行った結果、Windows Server 2008 R2および標準搭載されている仮想化テクノロジー「Hyper-V」を活用したクラウド環境の構築を提案する。ワイズマン側はその提案内容を高く評価したことで、いよいよ具体的なシステム構築へと着手した。
数ある仮想化技術の中からHyper-Vを選択した理由について磯氏はこう述べる。「当社が提供しているサービスが、パッケージ販売の時代から一貫してWindows上での利用を前提として開発されてきたことから、まずはその親和性を重視した。加えてコストメリットの高さやマイクロソフトのテクノロジーで固めることでシステム全体にわたって一貫して手厚いサポートを得られることも重要なポイントとなった」
こうしておよそ半年という短期間でシステム構築は完了。2010年11月にいよいよクラウドによるワイズマンASPサービスの稼働を開始したのである。
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