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サーバ仮想化でネット販売サイトの信頼性向上を実現した日本地図センター

VMwareによるサーバの2重化で強固な耐障害システム基盤を構築
(2007年06月20日)

インターネットを通じて各種の地図データを販売するネット・ショッピング・サイトを運営する日本地図センターは、地図コンテンツの安定供給に向けて、サイトの信頼性を高めるべく、サーバ・プラットフォームを仮想化ソフトウェア「VMware」をベースとしたシステムにリプレースした。サーバ仮想化によるシステムの2重化が、商用サイトにどのような効果をもたらすのか、その最新事例を紹介しよう。

USER PROFILE
(財)日本地図センター
 http://www.jmc.or.jp/
所在地: 東京都目黒区青葉台4-9-6
設立: 1972年2月24日
事業内容: 国土地理院の地理情報を中心に、地図や 空中写真、数値地図など各種地理情報の収集、調査、提供、研究開発、普及活動を展開。

「地理情報の発信基地」を目指し
価値ある地図コンテンツを集約

 日本地図センターが、地図や空中写真などの地図データをインターネット上で提供する地図情報配信サイトをNTTデータとの共同事業として最初に立ち上げたのは、2002年のことだ。

 当初は、シンプルな3種類の地図データを提供していたにすぎなかった。その後、多様な地図情報を持つ民間のコンテンツ・ホルダーの製品が続々と加わり、地図情報や航空写真、デジタル・データ、GIS(地理情報システム)といったソフトウェアも含めて、幅広い分野の地図コンテンツをカバーし、決済機能も備えた本格的な地図ネット・ショッピング・サイト(http://net.jmc.or.jp/)へと発展していった。


日本地図センター ネットサービス部 主査 塩野良夫氏

 ネット・ショッピング・サイトの役割について、日本地図センターのネットサービス部で主査を務める塩野良夫氏は、「それまで地図情報は、各コンテンツ・ホルダーが個々に提供し、提供場所もそれぞれに分散し、利用者が必要な情報を見つけることは困難だった。

 そうした状況を打開するために、財団法人という中立的な立場を生かした『地理情報の発信基地』として、コンテンツを集約し、利用者が必要とする地理情報を効率的に提供する役割を担うことを目指すことになった」と説明する。

 日本地図センターのネット・ショッピング・サイトの大きな特徴は、他の物販サイトとは異なり、地図コンテンツを直接ダウンロード販売している点にある。利用者は、サイト上で決済を行って、必要なコンテンツを瞬時にダウンロードして業務や個人の用途に生かすことができる。

 現在、ネット・ショッピング・サイトに地図コンテンツを提供するコンテンツ・ホルダーは40社以上に増加し、販売する製品も130に上っている。さらに、製品の価格も数百円から数百万円まで多岐にわたるようになっているという。

地図情報の安定的な提供を目指し
高信頼のシステム基盤を構築

 このように、地図データが数・量ともに増大し、重要度の高いコンテンツを扱うようになるにしたがって、システムの信頼性を確保することが重要かつ緊急の課題になってきた。


日本地図センター ネットサービス部 主任 吉野智明氏

 というのも、それまでのシステムでは、ハードディスクの不具合など、ハードウェアの障害によるサービスの停止が年に数回の割合で発生していた。しかし、こうしたサービスのレベルでは、公的な情報も含め、貴重な地図データを一手に扱う発信基地としての責任を果たすことはできない。そうした意味でも、1日24時間サービスを継続できる環境を何としても構築しなければならなかった。

 日本地図センターのネットサービス部主任、吉野智明氏は、「大切な地図コンテンツを預かって販売するサービスを展開する以上、データ喪失やサービスの停止は絶対に避けなくてはならない。そのために安定した安全な供給が必要とだ判断し、システムの2重化も含めて具体的な検討に入った」と振り返る。

 こうした意向を受け、ビジネス・パートナーとしてシステムの構築と運用を担当していたNTTデータを中心に、システム再構築のプロジェクトがスタートすることになる。

 検討を行った結果、サーバを完全に2重化する必要があるとの判断から、ハードウェアを物理的に2組用意して並行稼働させるHA(高可用)構成のクラスタリング・システムが提案された。しかし、そのままの構成では予算を大きく上回ることが明らかになり、再度検討することになった。

 「HA構成のシステム提案の見積もり金額を聞いた瞬間、予算的に難しいと判断した。そこで、無理を承知のうえで、再検討をお願いすることにした」(塩野氏)


NTTデータ 第一公共システム事業本部イメージソリューション統括部 稲葉智氏

 そうした経緯のなかで、NTTデータが提案したのが、VMwareを使ったサーバ仮想化によるクラスタリング・システムであった。これによって、信頼性の確保とシステム予算の両方の要件が満たされ、構築プロジェクトが正式にスタートすることになる。

 サーバ仮想化の採用について、NTTデータの第一公共システム事業本部イメージソリューション統括部、稲葉智氏は、「VMwareでサーバを仮想化することによって、最小限のハードウェア構成で、要求に見合った信頼性の高いシステムを安価に構築できると判断した」と説明している。

 新システムでは、VMwareによって主要サーバ(IBM System x3850)の2重化を実現しており、一方のサーバに障害が発生した場合でも、もう一方のサーバが正常にサービスを継続することができる(下図参照)

 塩野氏によると、当初提案されたHAシステムに比べ、サーバ仮想化を採用した新システムの構築コストはおよそ半分に抑えられたという。また、設置スペースの面でも大きなメリットがあった。吉野氏は、「ハードウェア本体もサイズダウンでき、サーバ室に余裕で設置することができた」と話している。

付加価値の高い情報の提供に向け
サービスと利便性の向上

 サーバ仮想化によるシステムの2重化で、信頼性向上に成功した日本地図センターの次なる課題は、ネット・ショッピング・サイトのサービスおよび利便性の向上である。


サーバやストレージ、スイッチが1台のラックに収容され、設置スペースにも余裕が生まれた日本地図センター内のマシン・ルーム

 1つは、地図情報を提供するコンテンツ・ホルダーと、インターネット上で販売できる製品の数をさらに増やすこと。もう1つは、これまでインターネット上で扱えなかった契約書ベースの高度な地図コンテンツの取り引きを仲介できる仕組みを確立すること。

 そして、ネット・ショッピング・サイトを介して、コンテンツ・ホルダーの横のつながりを確立し、相互にサービスを連携させることで新たなビジネスを生み出すことである。すでに、その先駆けとして、国土地理院の電子国土サービスとコンテンツ・プロバイダーが提供する情報サービスを連携させた「地図info」と呼ばれる地域情報サービスの提供も開始されている。

 最後に塩野氏は、「Googleやyahoo!などポータル・サイトが無料の地図情報を提供している影響もあって、“地図は無料”といった認識も広がっている。しかし、そうした中にあっても、われわれは、インターネット取り引きの信頼性をさらに高め、より付加価値の高い地理コンテンツを提供するための発信基地としてブランドを高めていきたい」と締めくくった。

地図ネット・ショッピング・システムの仮想化

(Computerworld.jp)

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